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ポタジェガーデン入門

私は土いじりが好きだ。ただし花や野菜を上手く育てることは苦手だ。

元々耕して種や苗を植えてその成長を楽しむ事を生活の一部にしたいタイプだ。
実家にいた頃は畑の一角で、一人暮らしの時はプランターで気が向いたものを育てていた。野菜は概ね栄養不足のような状態になることが多く、花も淋しげな咲き方だったが好きなのだ。

嫁いで来て気になっていた庭。芝生が枯れて雑草も伸びている。
何か作りたい。でもたぶん上手く育てられないから夫と義母に宣言するのも気が引ける。とりあえず小さなプランターにハーブを植えて悶々としていたところ、義母が「庭に除草剤撒こうかな」と言ってきた。チャンスだ。
「庭を整えてみるので除草剤は待って欲しい」と伝えた。
それから芝生を剥がす日々となった。数ヶ月の堕落生活で筋力が落ちていたようだ。かなりの重労働だった。  

芝生を剥がすこと一週間。やっと土だけの庭になった。もう一度掘り返し芝生の根を取る工程に入る。テンションが下がるので3分の1だけ先に整えてあとは気長に芝の根退治をする事にした。

さて、どんな庭にしようかな。
野菜も花も育てたい。色々調べていたら「ポタジェガーデン」というものがあった。

ポタジェガーデン

ハーブや野菜などを同じ敷地内に植え、観賞と収穫の両方を楽しむヨーロッパ伝統の菜園スタイル。

ステキすぎる!おしゃれすぎる!初心者向けではない気もするけどやってみよう。
とりあえず種を買って野菜は苗が出始めたら考えよう。

コンパニオンプランツという植物の組み合わせがあり、お互いの特性を生かして自然の力で防虫や生育促進ができるらしい。
これもステキじゃないか。組み合わせ一覧を見て庭のプランを練っていく。
コンパニオンプランツの中で優秀なのがマリーゴールドだった。
トマトやなす、葉物野菜とも相性が良く防虫効果が高い。

とりあえずマリーゴールドを買いに行こう。
何軒か回り最後に念のため立ち寄った近所の小さな花屋さんで見つけた。今日入ったばかりですよ、と。ナイスタイミングだ。

お店の人に防虫効果を尋ねると「あぁ、匂いがあるからね。まー。虫つくけどね」
ですよね。
今まで改めて愛でることはなかったが綺麗な花だ。
この花から麦わら帽子に発想と飛ばすとはあいみょんは天才だなぁ、と考えながらお会計を済ませた。

種とマリーゴールドとこれから買う苗の配置を考えていると義母がひまわりの種を持ってきた。
一等地はひまわりになった。

芝の根退治も平行しているがこちらは地味な上だいぶ腰をやられる作業だ。ある程度の深さまで掘り起こし根っこや石を取っていく。
正直しんどい。掘れば石に当たるので本当に捗らない。
もし今「がんばっているあなたの願いを一つ叶えましょう」と言われたら『掘り返した石を金塊に換えてください』と言う。絶対。

そんな事を考えながら作業していると最近鳥と目が合う事に気がついた。

名前は分からないがよく見かける白と黒の鳥と後頭部が青い綺麗な鳥が隣の家の屋根や時には庭に降り立ちこっちを見ているのだ。

小鳥のお友達。メルヘンである。

どこぞの姫さまのように窓を開けたら小鳥がチチチと集まってくるあの感じとは違いだいぶ距離を保って見られてるけれど何かしら私に興味を持っている様子だ。
なんだろうな、と思っていたある日。
ふと外を見ると鳥達は掘り返した土をつついて虫を食べていた。
ご飯待ちの視線だったのか。そりゃそうだ。
うっかりメルヘンチックになってしまった。

虫には申し訳ないが鳥達の期待に応えたい。もちろん掘り返して出てきた虫やミミズには土を被せてあげるが鳥達は見ている。私が家に入るとお食事に来る。
腰は痛いがモチベーションが上がり芝退治は半分となった。
でもあまり急がないようにしよう。

毎日少しずつ整っていく庭を見ているととてもいい気分だ。

今後まめさくポタジェガーデンがどのようになるかとても楽しみなのである。






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