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まめな滞在記 ~中尾拓実さん~

みなさん、こんにちは。まめなプロジェクトです。

2023年6月から8月まで3ヵ月間、まめなに滞在してくれた中尾拓実さんに、まめなを訪れた背景、過ごした日々の様子、そして体験を通して感じたこと、考えたこと、自分の変化などを綴ってもらいました。

この記事が、まめなに興味を持ってくださっている方々に届きますように。




はじめに

はじめまして、中尾拓実といいます。
神奈川県出身、高卒無職の19歳です。

大学受験に燃え尽きてしまい、進路未定のまま高校を卒業してしまいました

2023年6月某日、そんな僕が、ひょんなことからまめなで暮させてもらうことになりました。

誘われるがままに向かったのは、広島県は大崎下島。
限界集落の真ん中に建つ、綺麗にリノベされた大きな古民家。
「暮らしを自分たちの手に取り戻す」というミッションを掲げるそこは、いわゆる「エコビレッジ」とも「シェアハウス」とも「ゲストハウス」とも違う、なんとも不思議な場所でした。

全てが未知のこの場所で、都会育ちのニートが体験した、古くて新しい「暮らす」の姿。
「自由」「人」「食」「やりたいこと」の4つのテーマから、その一端をご紹介します。


横浜から夜行バス・電車・バスを乗り継いで16時間
三方を山に囲まれる久比集落


「自由」と暮らす

まめなでは、一日中何をして過ごしても構いません。
あまりの自由さに、はじめは少し戸惑ったほどです。

とはいえ、せっかくはるばるやって来たんだから、色々やってみないともったいないと思い、農作業を手伝ってみたり、地域の子どもたちと一緒に遊んだり、釣りに連れて行ってもらったり、、

他の人が釣った魚でこの笑顔

ご近所のびわを収穫したり、庭の草刈りをしたり、地域の方からもらったおすそ分けでみんなでスイカ割りをしたり、、

いたずらするのも、自由(⁈)

地域のおばあちゃんたちと一緒にご飯をつくるイベントに混ざったり、小学校の体育館でバレーボールに混ざったり。

これが最高に楽しい

気がつけば、充実しすぎて時間の流れが3倍速く感じるほど、濃密な日々を過ごすことができました。

まめなでは、存分に自由を謳歌できます。

ただし、何をするのも自由ということは、逆に言えば、自分から何かを仕掛けたり、積極的に巻き込まれにいかないと、何も起きないということでもあります。

何をやってもいいし、何もやらなくてもいい。
そんな、ときに退屈や孤独とも隣り合わせの「圧倒的な自由」を体験できるのが、まめなの暮らしです。

地域のおばあちゃんと雑談するきりさん
よりどころをたくさん持っている人


「食」と暮らす

日中の自由時間もさることながら、僕は朝晩の食事の時間もまた大好きでした。

まめなでは、ご飯は自分たちでつくります。
各々が、自分にできることを見つけて協力し合いながら、みんなでワイワイつくります。
自分ができないことは、潔く他の人に任せるのもポイントです。

この日はビビンバ
一人でつくって食べたければ、それもアリ

まめなのご飯の特徴は、料理に使う野菜を、なんとその都度畑から収穫してくることです。
ここ久比集落では、おばあちゃんたちがそれぞれの家で野菜を育てています。
だから、まめなもその暮らしに倣っているのです。
ちなみに、その畑のことを久比の人は「農床」と呼んでいます。

のうとこ・のーとこ

農床から食卓まで。
手触りを感じながら、自分たちでつくるご飯は、とてもおいしかったです。

つまみ食いするだいごさん
隙を見せるのがじょうずな人


「人」と暮らす

そんな豊かな暮らしを求めて、まめなにはさまざまな人が訪れます。

若手の建築家さん、奄美大島で働く旅好きな女性、ヨット好きなシンガポールの大学教授、虫が苦手な東京の高校生、経営企画室に勤める元不登校の社会人、ハーバード大学に入学予定のインターナショナル旅人などなど。

世界中から代わる代わるやって来る、とても一言では書き表せない個性豊かな人たちと、寝食を共にし、ときには夜な夜な語らう暮らしは、とても楽しいものでした。

食事中の他愛のない会話も、とっても刺激的

まめなの常駐メンバーや、地域のおばあちゃんたちとの交流も含めると、ほんとうにたくさんの人に出会った3ヵ月でした。
そうして多様な生き方に触れることで、自分の価値観をぐっと広げることができるというのは、まめなに長期間暮らすことの大きなメリットだと思います。

ただ、出会いが多いということは、お別れをする回数も多くなるので、その度に寂しい気持ちに浸ることになるのは、デメリットかもしれません。(笑)

一期一会を感じるお見送り

ちなみに、いくら周りに面白い人たちがいるからといって、四六時中誰かと一緒に過ごさないといけないということでもありません。
自分の裁量しだいで、一人の時間を過ごすこともちゃんとできます。

僕も、一人でのんびり本を読んだり、料理をつくったり、景色を眺めながら考え事をしたりして、自分と向き合う時間もたくさん過ごしました。

つねに人と関わることもできるし、つねに自分と向き合うこともできる。
それが、まめなの暮らしです。

一人でふらりと、海辺へ


「やりたいこと」と暮らす

そして、まめなの最大の特徴は、誰でもマイプロジェクトに挑戦できるということです。

久比の資源をいかしたものづくりをしてみるもよし、地域の人たちを招いてイベントを開くもよし。
「やりたい」と思い立ったら、何でもすぐに実践してみることができます。

一人でいきなりマイプロジェクトに挑戦するというと、敷居が高く感じるかもしれません。
しかし、まめなにはすでに様々なプロジェクトに取り組んでいる人がたくさんいるので、仲間を巻き込んだり、先達に示唆をもらうことができます。
だから、安心して自分のやりたいことをやってみることができるのです。

まめなでBarを運営するわたるさん(左)とお菓子工房を手掛ける佐々木さん(右)
オセロが強い人(左)と、オードリーが好きな人(右)

僕自身も、マイプロジェクトとして、約3か月間の滞在の集大成となるイベント企画に挑戦しました。

そして、ちょうど同時期に滞在していた学生団体の人たちと一緒に、久比の郷土料理をつくって振る舞いました。


久比のうどん汁
おかげさまで大盛況

バレーボールに混ぜていただいた皆さんや、いつも美味しい酢の物をおすそ分けしてくださったおばあちゃん。
たくさんお世話になった地域の方々に、感謝の気持ちを伝えたいと思って企画をしました。

うどん汁をよばれに(食べに)来てくださった皆さま、調理に手を貸していただいた皆さま、本当にありがとうございました。

食後には成果発表スピーチもしました

これで皆さんに恩返しができたのかは分かりませんが、自分たちの手でイチから企画をして準備・調理・振る舞い・片付けまでをやり切る体験をさせていただけたことは、僕にとってかけがえのない学びとなりました。

プロジェクトを始める前は、自分なんかにできるのだろうかと不安や躊躇があったのですが、今は心の底から、勇気を出して挑戦して良かったなと思います。

僕は3ヵ月間のまめなでの暮らしを通して、微かな、しかし確かな自信をつけることができました。
この経験を糧に、これからも新たな体験に挑戦をしてみたいと思います。

大きくなって、また帰ってきます


おわりに

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

まめなで過ごした約3ヵ月間は、ほんとうに感動的で、かけがえのない体験でした。

その感動をどうにか皆さんにもおすそ分けしたいと思って筆をとりましたが、やはり言葉だけでは、僕の感動や体験そのものを表現し尽くすことはできませんでした。

つきましては、皆さんにおかれましては、本滞在記の内容だけでまめなを理解した気には決してならず、ぜひ実際に体験しに行かれてみていただきたいと思います。
きっとまめなの皆さんは、温かく迎えてくださるはずです。

最後になりますが、こんな不束者を寛大に受け入れてくださり、また挑戦を傍でサポートしてくださった黒澤季理さん、後東航さん、福島大吾さん、佐々木正旭さん、更科安春さん、梶岡秀さんをはじめとするまめな関係者の皆さま、

たくさんのおすそ分けと、ご厚意・ご協力をいただいた久比うどん汁保存会会長・小林増也さんをはじめとする久比の皆さま、

集大成に挑戦するきっかけをくださり、一緒にイベントをつくってくださった、矢吹はるひさん、山本陸さんをはじめとする島会議の皆さま、

そして、イベント企画に快く手を貸してくださった叡啓大学インターンの飯田夏さん(※本滞在記に使用した写真の多くは、なつさんが撮ってくださいました)となずなさん、そらさん、まなさんに、最大限の感謝を述べて、本滞在記を締めくくらせていただきます。

本当にありがとうございました。
僕はこれからも、みなさんからいただいた恩を、大事に抱えて生きていきます。

今後とも、このご縁が続きますように。
そしてまずは、本滞在記が、皆さまへのささやかな恩返し・恩送りになるといいなと、祈っております。

今日もまめに、よい一日を


文章・中尾拓実
写真・飯田夏