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画家と詩人の往復書簡 2020.7.1

先生、あなたは、鏡に映った私。
白い足の裏に縫い止められた黒い影。
背中に張り付いている羽根。
先生、あなたは、水たまりを覗き込む私を、
水たまりの中から見つめている。

口から出るものは嘘、目に入るものは本当。
ひとも自分さえも騙して
幻想に埋没する私を、
じっと見ていてください、

先生、言葉が過つ時
私にはなす術もありません。

孤独は瞬く星のようで
途方もなく隔たっている。

けれど見上げればそんな星々が
大勢いることを知れる。

あらゆる破壊があっても
永遠はひとつも傷つかないのに
今だけを生きるしかない私。

けれどかけらを拾い集めて
街は息を吹き返す。

先生、私は抗いたい、
それでも信じてもいたい。
ひとも自分さえも騙して
幻想に埋没する私を、
どうか、じっと見ていてください。

画・二宮敏泰 詩・豆塚エリ

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