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JIGGER'S SON『ワンダイムの夢』レビュー/すべては君がその手を伸ばせばいい

ラジオ番組から生まれた『ワンダイムの夢』

JIGGER’S SON『ワンダイムの夢』は、1997年3月20日発売のシングル『素敵な日々』のカップリングに収録されています。
『ワンダイムの夢』は、宮城・東北で放送されていた、坂本サトルさんがDJを務める同名のラジオ番組から生まれた楽曲だそうです。
番組の制作スタッフは、宮城で知らぬ者はいない、ラジオDJの”本間ちゃん”こと本間秋彦さん。
当時、ラジオの制作会社で働いていた本間秋彦さんが、この番組の担当ディレクターで、番組タイトルもまた、本間さんが名付けたそうです。
同番組内の、「番組タイトルと同じ曲を作る」という企画のもと、リスナーから募集した歌詞を参考に作詞され、編曲もバンドメンバーのみのアレンジで作られたとのこと。

「坂本さとる ONE DIMEの夢」(1996年3月終了)にて制作された楽曲。詞に使用されたフレーズのいくつかはリスナー応募からの採用で、共作詞を「L.O.D.(Listener of One Dime)」とし印税も折半している[1]。シングルリリースが急遽決まったため収録された。

wikipediaより

ワンダイムとは、アメリカの10セント硬貨のことで、1アメリカドルの10分の1の価値だそうです。(1ドル100円とすると、ワンダイムは10円)
「ワンダイム硬貨から始まる夢」とは、ほんの些細な、小さな夢からでもスタートすればいい、スタートできる、そんな意味合いでしょうか。

(追記)
シューイチラジオ(ファンコミュニティ『サトル部』アプリでの配信ラジオ)でのサトルさんのお話によると、
「公衆電話に10円玉を入れて、オーディションの電話をかける。そこからスタートする夢」みたいなイメージだそうです。かっこいいですね。

ラジオ番組で制作された曲ということで、
「まだ見ぬ君が胸を痛めて 誰かを思っていることを知っている」というフレーズは、顔が見えないリスナーと手紙やメールで深いやりとりをする、ラジオDJとリスナーの関係を表しているようです。
「僕の声は君に届いているだろうか」というのも、ラジオDJからリスナーへの呼びかけを想起させます。

夢を見ること

「夢を見る力をもっと」
これは、佐野元春さんの「太陽」(アルバム『THE SUN』(2004年)収録)という歌に出てくるフレーズですが、いま、「夢を見る力」という言葉の意味が、とてもよくわかります。

長引くコロナ禍によって日本の社会に深く食い込んだ傷あと。
一線を越えてしまったような、ショッキングで暴力的なニュース。
何か大事なものが損なわれてしまったようで、世界はもう悪い方向にしか進んでいかないんじゃないかと、打ちひしがれ、諦めの思いに捕らわれてしまいそうです。
自分の手に負えないような、「社会の不安」や「不誠実な現実」に直面すると、未来に夢を見ること、より良い明日を想像する気持ちが奪われてしまう。
夢を見るにも「力」が必要なんだ、と実感しています。

絶望的な状況の中でも、夢を持たないと、明日に希望をイメージしていかないと、その明るい日はいつまでもやってこない。
その「夢を見るための力」を、縋るような思いで歌の力を借りて、絞り出して、なんとか生きていく。

目に映ること 手に触れるもの 
香しい花 柔らかな愛 
出会いと別れ 幾千の歌 
すべては君がその手を伸ばせばいい

美しくあたたかな言葉の韻律に、世界の愛おしさを思い出す。

心震わすメロディーと、優しく力強い歌声に、希望を見出し、
「すべては君がその手を伸ばせばいい」というフレーズに、
背中を押してもらう。

JIGGER’S SON『ワンダイムの夢』は、今なお、大人が聞いても、
明日を夢見る力をくれる1曲だと思います。

JIGGER’S SON『ワンダイムの夢』

悲しいほど青い空に 
不思議な歌が流れ出してく
まだ見ぬ君が胸を痛めて 
誰かを思ってることを知ってる Ah

小高い丘で君は泣いてる 
涙も出さず声もあげずに
吹き抜けていく 風はやさしい 
そのうちにそっと君を癒すだろう

どんな夢を見てたの? 
僕の声は君に届いているだろうか

空に放り投げたワンダイム 君のもとへ
いつのまにか置いてきた 忘れ物を探しに行こう
空に吸い込まれるワンダイム 確かに光って
きっと見つけられるさ これから始まる 
それは僕らの ワンダイムの夢

目に映ること 手に触れるもの 
香しい花 柔らかな愛 
出会いと別れ 幾千の歌 
すべては君がその手を伸ばせばいい

空に放り投げたワンダイム 君のもとへ 
いつの間にか置いてきた 忘れ物を探しに行こう
空に吸い込まれるワンダイム 確かに光って
きっと見つけられるさ あとはその手を伸ばせばいい

空に放り投げたワンダイム 見つけてくれるまで
きっと待っているはず これから始まる 
それは僕らのワンダイムの夢

JIGGER'S SON『ワンダイムの夢』

※歌詞は耳コピです。間違っている箇所があるかもしれませんのでご了承ください。


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