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深夜に洗面所でおやつを食べながら、結婚について考えてみた

ある日の深夜0時頃、私は洗面所の珪藻土マットの上に三角座りしながらおやつを食べていた。
食べていたものは、最近特にお気に入りのコンビニスイーツ、「ファミリーマート・オレンジアールグレイの紅茶シフォンサンド」だ。
なぜ、深夜にそんなものを、わざわざ洗面所で食べていたのか…
これには深い深い訳があったのである。
 
 
私の夫は、ほとんど間食をしない。
三食の食事をモリモリ食べる代わりに、「おやつ」を食べる習慣はない。
その一方で、私にとってのおやつは、大袈裟かもしれないが人生の楽しみの一部だ。
同棲を始める時、結婚する時にどんなカップル・夫婦でも、意見が合わない部分をすり合わせる必要が出てくると思うが、我が家ではこの「おやつ問題」が物議を醸した。
簡単な話だ。
私はおやつが食べたい。
どれくらい食べたいかというと、三食の食事の量を少し抑えてでも必ず食べたい。
おやつを食べることで、明日も仕事を頑張ろうと思える。
夫はそれを止めたい。
毎日おやつを食べるなんて、身体に悪いよと繰り返し言う。
もしどうしても食べたいなら、添加物の少ないものにして、コンビニスイーツやポテトチップスは減らした方が良い、と。
 
 
同棲当初はそんなことを話題に喧嘩もしたが、最近ではそのようなことはなくなった。
夫が、私に言っても仕方のないことだと諦めたのだ。
「こんな時間におやつを食べると身体に悪いよ」と言われることはあっても、おやつを食べること自体を止められることは今ではほとんどない。
私は私で、夫の言う通り添加物は減らした方が良いのだろうと思ってはいるが、その手軽さからスナック菓子も未だによく食べる。
ただ、質の良いものを買える時にはできるだけそちらを選ぶことにしている。
最近では、ポテトチップスも添加物のほとんど入っていない健康志向のものも沢山ある。

夫が私のおやつ習慣を受け入れてくれたにも関わらず、私は今、深夜の洗面所で夫の嫌がるコンビニスイーツを食べている。
もちろん、夫に見つからないようにコソコソ食べているのだ。
ちなみにこのコンビニスイーツは夫の目の前で買ったもので、夫もその存在を知っている。
そして私がコソコソ洗面所で食べている間、夫は私が歯を磨いて戻ってくるのをベッドの上で待っている。
寝る前に夫婦2人、ベッドでゴロゴロしながらハグタイム…私たち夫婦にとって欠かすことのできない、毎日の大切な習慣だ。

私がこのような奇妙な行動をする理由はただひとつ。
面倒なこと(「こんな夜中におやつを食べると身体に悪いよ!」)を抜きに、最高に幸せな瞬間を二つ同時に味わいたかったのだ。
夫との寝る前のハグタイム、そして大好きなおやつを食べる瞬間は私にとってどちらも至福の時だ。
おやつを頬張って幸せを感じた後、夫に抱きしめてもらって更に幸せを感じる。
そんな贅沢をしてみたくなったのだ。

時々、思うことがある。
結婚することなく一人で生活していれば、誰に文句を言われることもなくおやつを食べられる。
自分の好きな時に好きなことをすれば良い。
結婚すると、面倒なことが増えるし、自由ではなくなる。
結婚は不自由だなぁ、と。

それは決してネガティブな気持ちではない。
不自由だからこそ、愛おしいのだ。
夫が私におやつの食べ過ぎを注意するのは、私に健康で長生きして欲しいからだ。
自分自身よりも、夫の方が私の身体のことを大切に思ってくれていることを、私は知っている。
二人で生きることの不自由さを感じながら、夫の愛を実感している。

結婚とは、自由と引き換えに大きな暖かさを得ることなのかもしれない。
そう思った。
洗面所でスイーツを食べながら…。

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