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消耗品なんかじゃない
会社員をしていた頃、プリンターのある部屋に行くことが好きだった。
個人情報を取り扱っていたのでセキュリティのかかった閉鎖空間の片隅にある唯一の息抜きの場所。
窓の外を眺めながら色んな思いを巡らせていた。
入社した頃に比べてシステム開発が進み仕事量がどんどん少なくなっていった。
私が辞めても誰でも補うことができるんだろうなと思うとやる気が湧かなかったし、やる気なんて湧かなくても誰でもできるような作業をしていた。
いつも時間を持て余して目を開けたまま寝ていたくらいだ。
それに私の部署は1人また1人と心が蝕まれて去って行ってしまった。
人間関係は悪くないはずなのに、考えを脳内に巡らせる時間が多すぎて追い込まれてしまったのだろうか。
消耗品とは利用頻度が高く消費サイクルが早いものを指すらしい。
最近の若者はすぐに仕事を辞めると言われているがまるで消耗品みたいじゃないか。
使えなくなったら新しいものを補充する。その繰り返し。
組織とはそういうものなのかもしれない。
でも一つの駒として扱われるのが嫌だった。
私がフリーランスで活動しようと思ったきっかけは色々あったけれど、これも一つの理由なのかもしれない。
私は消耗品なんかじゃない。
でもそれはみんなに言えることだ。
デザインに関しても制作が終わって納品して「はい!さようなら!」は少し寂しいなと思っていて出来れば長く付き合っていけたら嬉しいなと思っている。
サポートの後も困ったらいつでも連絡してほしいし悩み事があったら私の力で解決できることがあればお力になりたい。
そして私もその方の得意なことで頼れることがあればお願いしたい。
足りないところを得意な人で補えるように。
きっと誰にもその人だけの役割があるはず。
そうやって目には見えなくても手と手を取り合っている。
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