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「連続小説」それいけ!!モグリール治療院④~筋肉とかわいいはいつだって大正義~

前回のあらすじ! 色々あって輸送隊がいなくなったよ!
というわけで私、ヤミーちゃんと愉快な仲間のパーティー、モグリール治療院は危うく迷宮への挑戦を諦める事態に陥りかけたけど、隊長のモグリールが私財をなげうって幌馬車とそれを引っ張る牛を2頭買ったことで、無事に迷宮に挑めることになった。


今回挑む迷宮は、冒険者の街スルークハウゼンの南に位置する広大な落涙の大地を、果てまで通り抜けた先に広がる未踏の迷宮、忘却の墓所。古代の都市遺跡をまるごと水と泥に沈めた巨大な沼地と無数の湖からなる迷宮。
冒険者の帰還率5%、帰ることも忘れる程の財宝が溢れているのか、帰ることも出来ないくらい厳しいのか、とにかく未知でわからないことだらけ。スルークハウゼンからの距離も健康な人の足で最短5日。負傷した義足の元冒険者の集まりでは厳しかったと思う。

「幌馬車買ったのは正解だったかもねー」
牛の上に跨って頭を撫でまわすと、私の被っている狼の毛皮が怖いのか、ぶもーと鳴き声を上げる。
ちなみに馬車だけど、移動速度は馬のほうが速いけど物を運ぶ力は牛に分がある。大量の食糧と水と荷物を積んでいるから、牛のほうがいいというモグリールの判断らしい。
あと私がなぜ狼の毛皮を被っているかというと、北にある故郷の掟で、ナイフ1本で狼の群れの頭目を狩って、その毛皮を被ることで一人前の戦士として外に出ることを認めてもらえるから。
「どのみち僕たちは歩きだし、馬よりは歩調を合わせやすいね」
牛を引きながら先頭を歩くヤーブロッコが、周りを細かく見渡しながら時折ふり返る。
だいたい移動の時は発見能力の高いヤーブロッコが先頭、指揮を執るモグリールと地図作成に長けたクアック・サルバーが真ん中、野生の勘が働く私がしんがりを務めている。

地平の向こうに、他の冒険者を運ぶ馬車がいくつも見える。私たちはどっちかっていうと慎重派だから出立がかなり遅れたけど、それでも冒険者は後から後から山のように続いていく。一人前を表す黒鉄以上の冒険者のほとんどが、私たちと同じ道を進んでいるのだ。
「だったら初めからみんなで行っても良かったんじゃない?」
「そういうわけにもいかないんだよ。固まって動くと安心感があるけど、数を恐れない強力な魔獣にでも襲われたらひとたまりもない。連携が取れずにあたふたしている間に、腹いっぱいになるまで食われるだろうね」
モグリールが先に進んでいた冒険者のものであろう馬車の残骸を指さしながら説明してくれる。反対に数が少なかったら、小回りが利いて対処もしやすい、とも。
遠くの空に無数の猛禽の群れが見える。あの群れの下では今頃、血みどろの冒険者たちが必死になっているのかもしれない。


特に大きな襲撃もなく砂だらけの大地を歩き続けて5日、私たちの目の前に現れたのは光を煌めかせる広大な水面。そこから植物のように生える、無数の真っ赤な煉瓦造りの塔。それに迷路のように入り組んだ煉瓦の壁。
「ここは古代の城塞都市だったんだろう。それがある時を境に水に沈んだ、そんなところか」
クアック・サルバーが紙に地形と目印を記していると、湿地の向こうの教会のような遺跡から、愉快なラッパの音を響かせながら、筋骨隆々で手足は丸太のように太く、首も胸も猛牛のように太い、すべてが分厚い肉の塊のような大男が腰布1枚の姿で現れる。
「ようこそ、冒険者のみなさん! 筋肉大聖堂へ!」
え? なんて?
「ようこそ、筋肉大聖堂へ!」
大男が右腕を曲げて、大きな力瘤を作りながら繰り返す。筋肉大聖堂、2回聞いてもさっぱり意味がわからないけど、筋肉を讃える教会でもあるの? どういうこと?
「そこのお嬢さん、ササミ肉が枝豆を押し込まれたような顔をしているので、特別に説明してあげよう。筋肉大聖堂とは筋肉を愛する者の集う冒険者の拠点であーる!」
「いや、全然わかんないから!」
大男が肩と肘を前に突きだすような姿勢を取り、胸の厚みと二の腕の太さを強調する。もちろん筋肉を見せつけられても私には何にも伝わらない。むしろ力を込めて伝わるような人いるの?

「それにしても非常にかわいらしいお嬢さんだ。いや、わんわんおだ! わんわんお嬢さんだ!」
筋肉男が、私の被ってる狼の毛皮を撫でまわそうとしている。やめろ、気持ち悪い。
「ようこそ! 筋肉大聖堂へ!」
「お待ちしておりました!」
大男の背後から、彼ほどじゃないけど筋肉のすごい男が2人現れる。大男同様、身に着けているのは腰布1枚。正確には腰布とたくさんの筋肉。そして双子と思うぐらいよく似た顔。
「おお、素晴らしいわんわんおですな!」
「わんわんお美少女ですな!」
新たな筋肉男ふたりも毛皮を撫でまわそうとしてくる。やめろやめろ、なんなんだ、お前ら!
私が思い切り筋肉男の手を振り払うと、
「おっと失礼。吾輩たち、鍛錬と犬に目がないものでしてな」
大男が筋肉男ふたりの間に割って入り、両腕を肩の高さに上げて、肘を曲げて力瘤を見せつける。
「このふたりは我が高弟のサイド・チェストとラット・スプレッド、そして吾輩がモスト・マスキュラーである」
3人が両手を頭の後ろで組んで、脇と腹筋と太ももを見せつけるように力を込める。
なんだろう、この不快感。見ていてものすごく腹が立つ。
「ようこそ! 筋肉大聖堂へ!」
「うるさい!」

煉瓦と石で造られた筋肉大聖堂は元々古代の教会を利用したもので、2階部分まで水に浸かってひどく朽ちているけれど、建物自体はまだ崩壊の兆しもなく、中心には円形の台座のような、闘技場を思わせる巨大な岩が置かれている。その周りには両方の拳を胸の前で合わせた力強い姿の黄金の筋肉男の像がびっしりと並び、左右には激しく燃え盛る炎の台座が一対。
言われなくてもひと目でわかる。これは決闘の場所、私たちは挑戦者として呼び込まれて、相手はおそらく筋肉男たち。
「それでは某、サイド・チェストから」
サイド・チェストと名乗る男が岩の上に駆けあがり、なんていうか得体のしれない変な歌を歌いながら両腕を額の前にくるように構えて踊り出す。そして歌が止むと同時に、腰をぐっと落として身構え、静かに深く息を吐き出し始めた。
「始めいっ!」
筋肉男たちの師匠っぽい立場の大男の掛け声と共に、サイドが手足をがむしゃらに振り回して、ばたばたとみっともなく動き回る。
「ねえ、モグリール、あれ、なんの踊り?」
「さあ、なんだろう。とりあえず上がってみたら?」
筋肉男の奇妙な踊りは、医者として色んな人と接してきたモグリールも知らないみたいで、彼とは別の分野で物知りなクアック・サルバーもまったく知らないらしい。

「じゃあ、行ってくるね」
私が岩の上に飛び上がろうとすると、ラットなんとかってもうひとりの筋肉男が乱入して、サイドの動きを手で遮って、またしてもよくわからない不気味な歌を口ずさみ、同じように腰を落として静かに息を吐く。
そしてゆっくりと右拳を握って前に突き出し、またゆっくりと拳を戻して、今度は左足を大きく斜め上に蹴りだす。
なるほど、ちょっとわかってきた。これは格闘の型だ、型をゆっくりと見せているわけだ。しかもただの型ではない
みたいで、時々顔の前を腕で覆ったり、腰を引いて下がったりしている。
「わんわんお嬢さん、もしや見るのは初めてかな。これは通称ひとりパンクラチオン、姿の見えない戦士との戦いを神に捧げ、旅人の無事を祈願するものである」
岩の上ではゆっくりとした戦いが繰り広げられ、ラットが左脇腹に目に見えない痛手を受けて、苦痛に顔を歪めながら右拳を振り回し、膝をついて拳を掲げる。どうやら勝負がついたっぽい、どっちが勝ったのかさっぱりわからないけど。
「敗北した姿をさらすとは未熟者共め! こうなったら吾輩が出るしかないではないか!」
モスト・マスキュラーが気合いを入れて飛び上がり、岩の上に着地して、またしてもよくわからない歌と踊りを披露する。

え? これ最後まで見ないとダメなの? 正直すごい嫌なんだけど。

「それではこれより、我らがモスト・マスキュラー先生によるひとりパンクラチオンをご覧いただきます」
「我らがモスト・マスキュラー先生の技術は、某たちとは比較になりません。なぜなら先生は、空想の姿が見えない戦士などではなく、実在の戦士の魂と戦うからなのです」
ねえ、その我らがと先生をつける呼び方、気持ち悪いからやめて。
「そして戦士の魂を倒し、冒険者への激励と祝福の祈るのです」
「ごらんください、我らが先生と戦士の魂との戦いを」
降りてきた筋肉男に挟まれながら説明されて、じっと目を凝らしてみる。左右から伝わってくる湿った熱気、岩の上の男から湧き出てくる霧のような汗、思わず顔全体をしかめたくなる煩わしさに目を細めると、確かに筋肉男の正面に一体、ゆらゆらと輪郭を揺らしながら立っている真っ白い人影が見える。
人影は手に長い剣のようなものを握り、もう片方の手には大きな盾のような塊を構え、じりじりと間合いを詰めていく。
「ねえ、ひとりパンクラチオンだっけ? それって武器もアリなの?」
「いえ、もちろん素手同士の戦いですよ」
どっちがどっちかわからないけど、筋肉が説明するにはルール的にはひとりパンクラチオンは素手同士の戦いらしい。
だったらあの戦士の魂、剣と盾持ってるから反則なんじゃないの?
しかし、筋肉男にもモグリールたちにも全く見えてないみたいで、戦士の魂が剣を振るうと、それを避けた様子を見て、今のは顔面の回し蹴りだ、とか適当な解説をして適当に納得している。

それにしても素手なのにうまく戦ってる。剣が横に振るわれたら上体を後ろに逸らし、突きにきたら片足を後ろに引いて幅を狭め、盾でぶつかられたら後ろに跳び、隙を突いて拳や蹴りを繰り出している。
でも戦士の魂は攻撃を受けても霧を叩くように散って、そのまま大振りの拳を何度も繰り出す。
「ああ、戦士の魂に避けられましたね」
「いや、しっかり当たってたよ!」
どうやら戦士の魂には攻撃が効かないらしい、でも戦士の魂の攻撃は効き目があるみたいで、モストの顔はしっかりと腫れあがって、鼻や目の上からも血が流れている。
え? これってちゃんと勝てるの?
「ヤミーちゃん、ずいぶんと見入ってるけど、こういうの好きだっけ?」
戦士の魂が見えてないモグリールたちには、私が妙にのめり込んでいるようにしか見えないようだけど、私の前で繰り広げられているのは一方的な戦いだ。いくら筋肉が多くても攻撃が効かないんだったらどうにもならない。実際これまで何度も拳を当てて、普通だったら有利に戦えているのに、じりじりと殴られ斬られ体力を削られている。
「ええい、このままでは!」
モストが筋肉男の像を掴み、戦士の魂に向けて振り回す。拳の通らない戦士の魂に金属による攻撃が効くかわかんないけど、これまで何度も戦ってきたわけだし多分効くんだと思う。
筋肉男の像をぶつけられた戦士の魂は、やっぱり霧のように像を素通しさせて、無防備なモストの顔に拳を繰り出す。
「いや、効かないの!?」
「黄金の像駄目だ! 銀にしておくべきだった!」
銀だったら効果あるのか知らないけど、ちょっとこれ、どうするの? いくら初対面の気持ち悪い連中でも、目の前で死なれると困るよ。
「大丈夫です! 我らがモスト・マスキュラー先生は負けません!」
「その通りです! なぜなら我らがモスト・マスキュラー先生は無敵の筋肉を持つからです!」
だから、その筋肉が通用してないんだって!

こうなったら仕方ない。私の攻撃だって通じるとは思えないけど、最悪モストを担いで岩から降ろすことはできる。そうすれば戦士の魂も、勝利に満足して戦いをやめると思う。
私は地面を蹴って岩の上まで飛び上がり、戦士の魂とモストの間に着地して戦いに割り込む。
「わんわんお嬢さん! 加勢は無用、吾輩はまだ負けたと決まったわけではない!」
「どう見ても無理でしょ!」
モストを一蹴して岩から落として、戦士の魂と向かい合う。それにしても間近で見るとますます不思議、顔もわからないし全体的に真っ白で輪郭もあやふやだけど、なんとなくこの人が生前どんな人でどんな装備を身に着けていたのかわかる。
それと、こんなところで戦わされて怒っているのも、なんとなくだけど伝わってくる。
「わんわんお嬢さん! 無茶だ、降りてきなさい!」
「昔、村の長老から聞いたことがある。死した戦士の魂はやがて戦の神の宮殿に運ばれる。けれど運ばれそこなった哀れな魂は、悪霊として人々を襲うとかなんとか」
長老は続けて教えてくれた。そして悪霊に襲われた人は、奴らに対抗するために……なんだったかのう、まあ早々出くわすことなんて無いから大丈夫じゃろう、と。
駄目だ、あのおじいちゃん、全然役に立つこと言ってなかった!

でもおじいちゃんから聞いた悪霊は、足のない姿をしていた。これは突破口になる気がする。目の前の戦士の魂にはまだ足がある、でも悪霊には足がない。ということは、誰かが足を千切った後の姿が悪霊ということになる。
つまり足だったら攻撃が効く可能性が高い。
戦士の魂が剣を振りかざすのと同時に、がら空きになった足に、試しに触る程度の蹴りを入れてみる。しっかりと足を蹴った感触が伝わってくるし、相手の動きもわずかに止まる。
よし、足には通用する。だったら足も他の部分も同じ体なわけだし、私の攻撃は足から上にもきっと効く。自分を信じるんだ。私は強い、なぜなら強いからだ!
「わんわんお嬢さんの攻撃が通用している! 筋肉でも通用しなかったのに! なぜだ、かわいいからか!?」
「知らないけど、そうなんじゃないの?」
私は踏み込んできた戦士の魂の膝を槍のように蹴り抜き、膝が逆方向に折れて下がった頭を思い切り殴る。戦士の魂は頭から兜のような白い塊を飛ばし、がくがくと全身を揺らしながら両手を地面につき、真っ白い顔を私に向けて、形こそわからないけど戦意を失っていない瞳を向ける。
「さすが、死んでも立派な戦士だね」
私は戦士の頭を蹴り上げて、ダメ押しでもう1発回し蹴りを叩きこんで、しっかりとどめを刺しておいた。

「なんということだ! 戦士の魂が!」
「我らがモスト・マスキュラー先生! いったいわんわんお嬢さんの前で何が起きているのです!?」
「我らがモスト・マスキュラー先生! あのわんわんお嬢さんが何をしたのです!?」
戦士の魂が岩の上に突っ伏して、周りから次々と同じように白い人影が湧いてきて、私の周りを取り囲んでいく。そして全員が揃って両膝と両手をついて、土下座するような姿勢で語りかけてくる。
「アナタガ現レルノヲ、ズットオ待チシテオリマシタ」
「我ラハ死シタ戦士ノ魂、戦ノ神ノモトニ運ンデホシイ」
「ナノニ我ラハコンナトコロニ縛リツケラレテシマッタ」
「コンナトコロデ戦ウノハ嫌ダ」
なるほど、どうやら戦の神の宮殿に行きたいらしい。いや、そんなのどこにあるのか知らないけど。
でも多分、迷宮の奥にそういうのもありそうだよね。


戦士の魂を次々と幌馬車に積み込む。どうやら彼らは自分の意志で遠くまで行けないようで、自分たちに触れるものに運んでもらうことでしか移動できないらしく、私が運んであげることになった。
その結果、総勢何百人の戦士たちの魂が馬車の上に山のように積み重なったけど、重さがないみたいで牛の負担にはならないし、木や石にぶつかっても擦り抜けてくれるから邪魔にもならない。見た目も私以外には普段と変わらないから目立つこともない。
「吾輩、シャーマンの才能があり、戦士の魂を呼び止めることが出来たが、まさか彼らが困っていたとは知らなかった。耳周りの筋肉をもっと鍛えておくべきだった……」
「ちなみにシャーマンっていうのは神や精霊と対話が出来る術者のことね」
モストの不親切な説明を、クアック・サルバーが補足してくれる。
どうやらシャーマンの才能はそこまでではないようで、せいぜい呼び出した戦士の魂を使って、ひとりパンクラチオンの腕を磨くくらいしか出来なかったみたいだ。
もっと実力のあるシャーマンであれば、精霊や死者の魂を使って魔法のような効果を発揮したり、自分の体に降ろして力を高めたり、そういうことも出来るとか。
「私もそういうの出来るの?」
「話を聞く限り、ヤミーちゃんはシャーマンではなく地縛霊設置人の才能があるみたいだね」
「それって何が出来るの?」
「そんなに詳しくないけど、悪霊を直接捕まえて運んだりとか」
どうやら魔法のようなことは出来ないみたいで、世間的にもまったく人気のない上に、ものすごく限られた範囲でしか役に立たない。悪霊自体はシャーマンや僧侶、神官、聖戦士、対魔師と対抗手段はいくらでもあるので、わざわざ地縛霊設置人を選ぶ人も少なく、冒険者の中でもひとりもいない、ある意味でものすごく珍しい技術ではある、ってクアック・サルバーが教えてくれる。
「全然うれしくない!」
「まあまあ、一般冒険者職のいないうちのパーティーではありがたい技術だよ。なんせヤミーちゃん以外、悪霊と対抗する手段がない」
モグリールも慰めの言葉をかけてくる。
「あ、でも魔法を閉じ込めた使い捨ての術符も買いこんであるから、対抗できなくもないですよ」
ヤーブロッコが悪気はないんだろうけど、残酷な現実を突き付けてくる。今、その情報いらない。
「マアマア、コウシテ我ラトモ話セルノデスカラ」
「その通り。わんわんお嬢さんには、ぜひ吾輩たちのひとりパンクラチオンの師範になっていただきたい」
今、その慰めもいらない!

私は自分のいまいちな才能に不満を抱きながら、さらに奥へと進むことに決めたのだった。


ちなみに筋肉大聖堂だけど、筋肉をもっと増やせば戦士の魂にも通じるかもしれないと鍛え直すことになり、当面の生活費として黄金の像を運び出して、しばらくお休みすることになったみたい。努力の方向が間違ってる気もするけど、体を鍛えるのもひとつの正義なのだから。


(続く)

おまけ①「ヤミーちゃんの休日」

番外編「虎の尾を踏んでも大変なんだからドラゴンの尻尾なんて踏んだ日には人類滅ぶよね」

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この小説はなるべく珍しい職業を出そうってコンセプトのファンタジーなわけですが、今回登場させたのが【ひとりパンクラチオン】です。
元ネタはひとり角力とかひとり相撲といって、稲の精霊と3番勝負を取って神に相撲を捧げたり、大道芸として見世物にしたり、そういうのです。
それを冒険者の励ましにと変換したのが、ひとりパンクラチオン。でもそのままだとちょっと単発ネタが過ぎるし、突き詰めると某筋肉バキバキ漫画のリアルシャドーっぽさが出ちゃうので、幽霊と戦わせることにしました。

今回も、RPGっぽく、装備画面的なものを載せておきます。
ヤミーちゃんにもやっとサブクラスが付きました。今後役立つことは少なそうですけど。ごめんね、ヤミーちゃん。これも訳があるの。

モグリール
輸送隊指揮官(サブクラス:医師)
コネストーガ 2頭の牛が引く大型の幌馬車、暴れ牛による攻撃も可能
医療キット  簡易的な医療キット
大型道具箱  背中に背負った身の丈ほどもある道具箱
       大型の同時発射式ロープ付き投擲銛が仕込んである
連装道具箱  両肩に担いだ複数の箱、小型の手裏剣を連射式で撃てる

ヤミー
ウルフヘズナル(サブクラス:地縛霊設置人)
新米つぶし  大いなる蹄の蹄鉄をそのまま利用した半月状の打撃武器
グレイプニル 魔法の力が宿った鎖
狼の毛皮   板金と鎖帷子を仕込んだ背面防具
豪傑セット  怪力の指輪10個・剛腕の腕輪2個・剛力の足輪
       豪傑30人分以上の強化

ヤーブロッコ
どぶさらい(サブクラス:墓掘り)
四突万能     歯が4つに分かれた大型のクワ
         側溝や泥をさらうのに便利
人間万事塞翁が馬 大いなる蹄の角から削りだした頑丈な槍
顔面保護具    ガラス製のゴーグル+顔の下半分を覆う布
         臭いに強い耐性がある

クアック・サルバー
偽造師(サブクラス:???)
???    武器、今回も出番なし
偽造書類   本物と見間違うレベルの偽造書類、ギルドも黙認
ペストマスク 嘴状の仮面、毒耐性+臭い耐性

モスト・マスキュラー
ひとりパンクラチオン(サブクラス:シャーマン)
筋肉  筋肉は時に剣よりも強い武器となる
筋肉  筋肉は時に鋼よりも硬い防具となる
筋肉  筋肉は時に金よりも輝く宝石となる
パンツ パンツくらい履くのは人類の最低限のたしなみ