見出し画像

【BL】「蟷螂の檻 5」⚠ネタバレ感想⚠ ※スペースの話もしてる!

どっきどきの最終巻……!!!

読みたいような読みたくないような、まだこの話に浸っていたい気持ちが強かったのだけど、読んだ。

……最初辺り(火事から出てきた裸彦)と最後辺り(とある廃診療所の二人)の差が激しすぎん???
いや、これは本人(裸彦)にとっては大真面目なんだろうけど、健一さん八つ当たりされるかのように刺された(二箇所もね!)けど、いや……(笑)

行為中であったから、そのような格好だったと分かりますが、窓にはめられている板ごと倒れたり、健一さんの荷物を奪って、その姿のままどこかに行こうとする後ろ姿はもう、ダメ……wwww
スペースでそのような話をされてましたが、作者様自身も笑っていたことから、笑っていいところなのねと思ったら、思い出し笑いしてしまうほどツボってしまったという……(笑)
後輩さん(でしたっけ?)の作ったお手製の裸体典彦さんの紙スタンド、アクスタにならないかなと思ったりもしてしまうほど、ある意味お気に入りの場面でした。
どうして裸体になったのかは、スペースを聞いてなるほどと思いましたし、典彦さんは裸であろうが気にせず、坊ちゃんを捜しに行くだろうなと思いつつも、うん……(笑)
にしても、後々再開する二人の場面を見て思ったのですけど、典彦さん、歩いて東京まで行ったということになるのですか……?
だとしたら、本当、『慾』が凄まじい……。

執着攻めが大好物であるので、様々な執着攻めを見てきましたけど、この攻めは今までに見たことがないものでした。見たかった!と思っていても、実際見ると、怖気づいていたりもしてますね。
そんな風になったのは、父親からの虐待が大きな原因だった、ということが後に分かると、この方も不憫であったんだなと思います。
一般的な愛情を知らなかったものだから、坊ちゃんに対して、歪な愛で接していたものだから、一時期は坊ちゃんに拒否られていたりもしていたけど。
けど、それに対しても、何故拒むのかと思うぐらいだったのかな。
そんな典彦さんも最後には、泣く感情が現れていたりもしていたのだから、少しは変わったのかな。うーん、でも、この泣くは嬉しくも悲しくも見えなくもないというか……。
ようやっと自分の腕の中に坊ちゃんが!と、本当にこれで良かったのかと後悔……なのか、そんな風に見えた、かな。難しい。表現するの、難しい。

坊ちゃんもなー。あの好きであったはずの手を離してしまった後悔が、ずーーっと引きずっていて、他の人にとっては穏やかな日常であっても、坊ちゃんにとっては苦痛でしかないし、だから、陽の当たらないところで共に過ごしていくのだろうなと思うと、納得、するような部分もあったり、本当にこれで良かったのかなと思ったりと、ぐるぐるしていたら、お腹辺りがぐるぐるしてきて、なんとも言えない気持ち悪さには、最後辺りを思い返す度になってる。
 で、そのエピの最後で、坊ちゃんが肝試しに来ていた子どもに微笑む表情にぞっとしてしまった。
 かつて、幼い頃の坊ちゃんが見た、蘭蔵君がニタリみたいな表情をしていたことを思い出したのもあり、坊ちゃん(子ども)からはそのように見えているんだなと思いました。

そんな気持ちを少しでも払拭されたのは、典彦さんはやり手であって、畳の下貯金をして、戸籍を変えて、あと株をやって、生活に困らない暮らしをしてめちゃハッピー✌️✌️的なことをスペースで話された時は、盛大に笑いましたね。本当に面白すぎる(笑)

で、坊ちゃん(蘭蔵君もそうだが)を献身的に世話をし、いなくなってからもずーーっと捜していた飯田さんの人柄の良さが出ていて、本当、この人も好きすぎて、當間兄弟の兄貴的存在にも見えて、あの僅かに一緒に暮らしていた描写は、とても好きなところでした。
あの学生時代の、宿に行った時も坊ちゃんと行為しているのを想像してしまうぐらいに、その先に期待してしまったりもするけど、何とか理性を保ち、ありきたりな言葉しか掛けられないもどかしさを感じている部分も、切なく感じたりもして、好きなんですよね。一生、坊ちゃんという呪縛から逃れないんだろうなと思ったり。

あと、蘭蔵君。最初の頃は、偏見的な目で見ていたんですわ。……心に余裕が無かった私情があったというか。
しかし、回を重ねるにつれて、美都枝さんが心を病む前の会話の、「大きくなったら一緒に遊んであげてね」という言葉をずっと覚えていたり、自分が育郎の兄なんだとも思い、ずっと自分なりに坊ちゃんのことを守ろうとしていた姿に心を打たれまくってました。
兄弟が大性癖だからというのも、大きな理由なのだけど。
あの日からずっと、蘭蔵君の中では、坊ちゃんは泣いていて、その泣き声が聞こえなくなったと思えば、もう会えないということで。こんなにも悲しい別れ方はあるかっ!??
けど、最後の最後まで狂わせた原因である存在だと思っていたので、蘭蔵君と一緒に暮らす、だなんて微塵も思っていなかったのでしょうけど。
ただ純粋に好きだと思っていた弟君のことを、そう思われていなかったというのが、本当に悲しすぎる。
だから、その分、健一さんの「お兄ちゃん」として、陽の下で笑える日々を過ごして欲しいと思います。最終話の最後、泣くかと思った……。
どちらも陽の当たらない生活をしていた者同士であったし。

そういえば、坊ちゃん、蘭蔵君、典彦さんって、よくよく考えてみれば、異母(父)兄弟なんですよね。典彦さんが長男、蘭蔵君が次男、坊ちゃんは三男って……。
けど、両親を考える(そうなった経緯とか)(特に典彦さんと蘭蔵君)と……闇が深い……。

さち子さんもかなり振り回された挙げ句、重荷を背負わされた哀れな分家だと思います。けど、そうだとしても、全ては『蘭蔵君のため』だったのでしょうか。
彼の境遇に心を痛めていたなって、10年後、飯田さんとの会話で思い出した。
その後も変わらずに言葉を教えていた、という会話に、想像して、微笑んでしまいましたね。
健一さんと再開した際には、さち子さんに対しては、「あちこ」と惜しい!というような言い方であったのに、健一さんは「けんいち」ときちんと言えて、そんなことも相まって、ぶわっと涙が込み上げそうに……今、書いている時に滲んできた…………。

そんでもって、スペースで作者様が話されていた、典彦さんが坊ちゃんに行なったことは、肯定するものではないと仰っていたことから、10年後のさち子さんのふつふつと怒っている様子から、ああこれが世間の評価だ、本当に赦されるべきではないと。あと、坊ちゃんとは友情で結ばれていたけど、結局はあの男の元に行った=裏切られたとも思い、それに対しての怒りとも見え、到底赦されない行為であったことがうかがえます。

周りがこんなにも、當間育郎と深山典彦という者に振り回されていたのかと思うと、ある意味影響力が凄かったなと。

うーん……やっぱり、この作品は色々な面で読者側にも、衝撃を受けさせ、影響を与えたと、一読者は思います。

こんなにも1ヶ月程度、1つの作品(BLジャンルにここまでなったのは、初めて)に対していつまでも浸ろうと思いませんでしたし。

まだ浸っていたいと、同人誌やら、メイトの他にとらのあなの特典も買った程です。

本当に本当に出会えて良かったなと思える作品でした。

出てきたキャラ達が皆、魅力的で、一人一人の物語りがきちんと丁寧に描かれていたので、本当にもっと掘り下げて欲しいと思ってしまったぐらいです。
人によっては、これはBLではなくなってしまいますが、それでも読みたいと欲が出てしまったり。それぐらい心に残る作品となりました。

これからは、「蟷螂の檻の中の人」が楽しみで仕方ないです。
藍郎君と咲山さんとの恋❤の行方とその周りの人達の絡みを楽しみにしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?