ゴリラーマン| 高校数学教師

主に統計についてnoteで記事を書いています。統計的な推測を教える際に参考になれば嬉し…

ゴリラーマン| 高校数学教師

主に統計についてnoteで記事を書いています。統計的な推測を教える際に参考になれば嬉しいです。統計検定2級,簿記2級を取得しています。最近はSQLの勉強をしています。筋トレ/サウナ/スポーツ/読書/朝活/食事

マガジン

最近の記事

指導要録はChat GPTの力を借りよう

指導要録に記載する所見の作成は、教育現場における大変な業務の一つです。生徒一人ひとりに合わせた所見を一から考えるのは、時間とエネルギーを要します。そんな中、ChatGPTを「デジタル部下」として活用することで、業務効率が格段に向上しました。私自身、AIを使い始めてから所見作成にかかる時間は半分以下に減り、余裕を持って他の業務に取り組むことができるようになりました。 ただし、AI活用には注意点もあります。特に、生徒の個人情報を入力することは厳禁です。個人情報の取り扱いには細心

    • 信頼区間の幅の調整方法について

      0.信頼区間の幅とは? 信頼区間の幅は、信頼区間の最大値から最小値を引いた値です。 例えば、信頼区間が [0.504,0.696] のとき、幅は 0.696−0.504=0.192 となります。 高校数学では次の2種類の区間推定が扱われます。 母平均の区間推定 母比率の区間推定 1. 母平均の区間推定 母平均 m は、標本平均 X‾、標本数 n、母集団の標準偏差 σ を用いて、以下のように表されます。 ここで、□ は信頼度に応じて変化します。 (例えば、90%

      • 数Bで学ぶ区間推定の秘密

        0. 推定について 推定は大きく「点推定」と「区間推定」の2つに分けられる。高校数学では「区間推定」のみを扱う。 そして高校数学では母平均の区間推定と母比率の区間推定の2つを学ぶ。 以下に、母平均と母比率の区間推定について順番に説明する。 1. 母平均の区間推定について 母集団全体の平均(母平均)を知りたい場合、全員のデータを取ることは難しいので、代わりに標本(母集団の一部)を取って、その標本から母集団の平均を推測する。これが「区間推定」の基本的な考え方である。 たと

        • 母比率と標本比率について正しく理解していますか?

          標本比率と母比率 まず、標本比率 R とは、サンプル(標本)の中で特定の事象が起こる割合のことを指す。例えば、100人中60人がアンケートで「はい」と答えた場合、標本比率 R は 60/100=0.6 になる。対して、母比率 p とは、母集団全体における「はい」と答える割合で、これが本来知りたい真の値だ。 ① Rの期待値がpになる理由 標本比率 R の期待値(平均)は母比率 pになる。これは、サンプルを無作為に選んでいると、サンプル比率 R の平均が母比率 p に近づい

        指導要録はChat GPTの力を借りよう

        マガジン

        • 統計的な推測
          11本

        記事

          標本平均の標準偏差σ/√n(標準誤差)の意味を理解しないのはもったいない

          生徒と教授の研究室でのお話 生徒:なぜ標本を使う必要があるんですか? 教授:良い質問だね。基本的に、母集団全員を調査するのは現実的じゃないんだ。例えば、日本人全員の平均身長を知りたいと考えて、全員の身長を測るなんて無理だよね? 生徒:確かに無理そうです。 教授:そこで、母集団から無作為に一部を抽出して標本を作り、その標本のデータから母集団の様子を推測するんだ。これを「推測統計」って言うんだよ。 生徒:なるほど、標本から母集団を推測するわけですね。それで、標本平均の期

          標本平均の標準偏差σ/√n(標準誤差)の意味を理解しないのはもったいない

          nが大きいと二項分布は正規分布に近似できる理由

          二項分布とは? 二項分布は、「成功」と「失敗」のように、2つの結果がある試行をn回繰り返すとき、成功する回数を表す分布だ。例えば、コインを10回投げて表が出る回数は、成功が「表」、失敗が「裏」となる二項分布で表せる。 正規分布とは? 正規分布は、山形のグラフの形をしていて、平均の周りにデータが集まり、遠ざかるほど少なくなる分布だ。例えば、身長のデータが正規分布に従うことが多い。たくさんの人の身長を調べると、平均身長の近くに多くの人がいて、極端に高い人や低い人は少なくなる

          nが大きいと二項分布は正規分布に近似できる理由

          なぜ正規分布を標準正規分布に変換するのか

          先生:「今日は正規分布と標準正規分布について勉強していこう。正規分布って知ってる?」 生徒:「なんとなく聞いたことはありますけど、正直よくわからないです。」 先生:「まず、正規分布は自然現象や社会現象でよく見られる形の分布なんだ。たとえば、テストの点数や身長のデータが正規分布に近いことが多いよ。特徴としては、平均が一番多くて、その値が山の頂点になる。そして、左右対称な形をしてるんだ。」 生徒:「平均が一番多くて、左右対称なんですね。それで、正規分布ってどういう式で表され

          なぜ正規分布を標準正規分布に変換するのか

          正規分布曲線の式の謎

          生徒:先生、正規分布の確率密度関数ってどうやって作られるんですか? 先生:うん、いい質問だね。じゃあ、まずは次の関数から考えてみようか。 生徒:左右対称で真ん中が一番高い、山みたいな形ですね! 先生:そうそう。この形が正規分布に似ているんだよ。だけど、まだこれだけじゃ正規分布の「確率密度関数」にはなってないんだ。というのも、いくつか問題があるんだ。 生徒:どんな問題ですか? 先生:まず、今の関数だと山の頂点が固定されている。正規分布だと、山の頂点、つまり「平均値」が

          二項分布のありがたさ

          登場人物: Aくん(高校生、二項分布の必要性を感じていない) B先生(統計学の先生) Aくん「先生、コインを10回投げて表が出る回数をXとするとき、期待値とか分散を求めろって問題が出たんですけど、確率分布を書くのが面倒なんです。どうしたらいいですか?」 B先生「確率分布を全部書き出すのは確かに大変だね。10回分の確率を計算するのは手間がかかる。そんなときに便利なのが 二項分布 なんだよ。」 Aくん「二項分布?それって何ですか?」 B先生「二項分布っていうのは、成功

          分散(標準偏差)を考える理由

          Aさん: 「教授、僕は今、二つの会社のどちらに入社するか迷っています。どちらも月の売り上げの平均は100万円で同じなんです。でも、どちらが良い会社なのか分かりません。」 教授: 「それは興味深いね、Aさん。でも、平均だけではどちらの会社が安定しているかは分からないよ。安定した会社を探すためには、『分散』と『標準偏差』という概念が重要だ。」 Aさん: 「分散って何ですか?標準偏差は聞いたことがありますが…」 教授: 「分散は、データがどれだけ平均から離れているかを示す指標

          分散(標準偏差)を考える理由

          E(aX+b)=aE(x)+b(期待値の1次変換)

          店長:サイコロを1回投げて、出た目×1万円をプレゼントします。6が出たら6万円だよ!参加費は4万円ね。 Aさん:期待値を計算して、このゲームが得かどうか考えてみよう。サイコロを1回投げたときの期待値は3.5 だから、3万5千円か。って、ぼったくりじゃねーか! 店長:そこまで言うなら仕方ない。本日は出血大サービスで、サイコロの目を2倍して、さらに4を引いた数×1万円をプレゼントします。参加費は変わらず4万円ね。 Aさん:2倍は良いけど、4を引くってなんか損してそうだな。ま

          E(aX+b)=aE(x)+b(期待値の1次変換)

          期待値と平均の関係性

          期待値と平均は同じだと言われてもピンと来ない人は多いと思います。 (私をもそのうちの一人でした) そこで高校生に向けて、ストーリーを考えてみました。厳密には違う部分と私の都合のいい解釈が入っています。明らかにおかしな部分は指摘していただけると幸いです。 登場人物 A教授: 統計学の専門家 B生徒: 教授の学生で、確率に興味がある B生徒: 「教授、期待値と平均って同じものなんですか?違いがよくわからないんですが…」 A教授: 「良い質問だね。期待値と平均は同じように思わ

          私が休職を乗り越え職場復帰できた理由

          3年前、私は数週間の休職を経験しました。最初は体調不良を感じつつも、休むほどではないと思っていたましたが、ある日、突然動悸が激しくなり、朝ベッドから起き上がることすらできなくなりました。原因は明白でした。 仕事のタスク量が限界を超えており、頭の中は常に仕事のことでいっぱいでした。休みも取れず、身体と心に大きな負荷をかけ続けていました。 性格的に、自分でいうのもなんですが、真面目で完璧主義なところがあります。問題が発生した時、自分の能力が足りないからだと感じていました。大げさ

          私が休職を乗り越え職場復帰できた理由

          1-3 本業を頑張って市場価値を高めよう

          教員として働いていると、日々の業務に忙殺され、自分の市場価値を意識することは少ないかもしれません。しかし、キャリアを広げるためには、今の職務をどのように取り組むかが重要です。本業を頑張り、市場価値を高めるためには、具体的な成果を見える形にし、他業種のように数字で示すことがカギになります。 まずは職務経歴書を書いてみよう 職務経歴書は転職活動において、あなたの経験やスキルを他者に伝えるための重要なツールです。教員にとって、職務経歴書を書くのは一見難しいと感じるかもしれません

          1-3 本業を頑張って市場価値を高めよう

          1-2 教員におすすめの資格(市場価値を高める)

          教員としてキャリアアップを目指すと同時に、転職の選択肢を広げるためには、資格取得が大変有利です。 市場価値が高いスキルを持っていれば、万が一現職が辛くなった場合でも、「やめればいい」という安心感を持つことができます。 そこで今回は、取得の難易度やコストパフォーマンスを考慮し、特におすすめの7つの資格を紹介します。 それぞれの資格の特徴を理解し、自分の強みに合うものを見つけて、ぜひ挑戦してみてください。 1. 日本語検定 おすすめ理由: 日本語能力検定は、特に外国語として日

          1-2 教員におすすめの資格(市場価値を高める)

          1-1 転職サイトに登録しよう

          こんにちは。ゴリラーマンです。 1.市場価値が高い教員の記事の詳細となっています。 転職サイトに登録する理由 その理由を4つのポイントに分けて解説します。 ・外部からの評価を受け、客観的に判断できる 教員としての仕事に慣れてくると、自分自身の仕事に対する評価が内向きになりがちです。転職サイトに登録することで、他の業界や専門家からのフィードバックを受け、自分のスキルや経験がどのように評価されるかを客観的に知ることができます。これにより、自分の市場価値を冷静に判断する手助

          1-1 転職サイトに登録しよう