10万ルール?買い物上手は節税上手! ママ起業で失敗しない備品の買い方!
失敗しないママ起業専門税理士のあさかわひろきです。
今日は、ママ起業で失敗しない、備品と税金のおはなしです。
起業の準備にあたって、色々と買わなければならないものがありますよね。
パソコン、プリンター、机、椅子、キャビネット等々、、、。
実は、これらの備品のついて、わりと細かい税金のルールがあります。
このルールを知っていると知らないとでは、その後の税金が全然違ってくる可能性があります。
今日は、この備品購入と節税のポイントを学んで、買い物上手になってください。
備品の買い方も迷わない!『失敗しないためのママ起業養成講座』(オンライン)
1. 備品はすぐには経費にならない?
買った備品は、どれもすぐに経費になると思っていませんか?
実は、原則、すぐには経費になりません。
備品ごとに経費にできる年数(専門用語で「耐用年数」)が決まっていて、その年数で経費にしなければなりません。
例えば、耐用年数が5年の備品を25万円で買った場合。
買った年(1年目)に経費にできるのは、5万円(25万円÷5年)だけです。あとの20万円(=25万-5万円)は2年目以降に持ち越しとなります。
でも、たった数百円の鉛筆1本買っただけなのに、わざわざ鉛筆の耐用年数を見つけて、経費の計算をするなんて、相当面倒くさいですね。
そこで、以下のように、金額に応じて、割り切ったルールがあります。
2. 備品の経費化1:鉄板の10万円ルール
10万円未満の備品であれば、買った瞬間、経費にできます。
100均で変える小物から安めのパソコン家電まで、大半の備品は10万円でおさまります。
このルールの恩恵を受ける備品は多いです。
当たり前と思っている「備品は経費」。
実は、このルールのおかげなのです。
3. 備品の経費化2:意外に知らない20万円ルール
10万円以上の備品を買ったら、面倒くさい耐用年数の計算は避けられないのでしょうか?
実は20万円未満の備品であれば、もう少し楽な計算ができます。
それは、
「だまって3年で経費」
もし、12万円の備品を買った場合、経費にできる金額は以下のイメージです。
1年目(買った年):4万円
2年目 :4万円
3年目 :4万円
10万円ルールよりかは面倒くさいですが、
・備品ごとの耐用年数を調べなくてよい
・3年で経費にできる(通常の耐用年数は3年以上の場合が多いです)
といったメリットがあります。
とはいえ、12万円を払ったのに、1年目に経費にできる金額は4万円なので、なんか損した気分になりますね。
4. 備品の経費化3:禁断の?30万円ルール
どの方でも適用できるルールは20万円未満までです。
しかし、これとは別に、ある条件をクリアした方だけが利用できる特例があります。この特例、なんと30万円未満の備品を、すぐに経費にできるのです。
10万円ルールのパワーアップバージョンみたいですね。
気になる条件は、主に以下のとおりです。
・青色申告制度の適用者であること
・1年で適用した30万円ルールの総額が300万円までであること
この辺から見ても、青色申告はやるべきですね。
5. まとめ:備品の経費化で覚えておきたい3つのルール
色々なルールがでてきましたが、結局、どうしたらよいのでしょうか?
以下の3つの基本ルールを順番に覚えていれば大丈夫です。
基本ルール①:10万円ルールをしっかり利用する。
備品の価格が1個99,999円と100,000円とでは雲泥の差です。性能や機能もそこまで変わらないのであれば、なるべく、10万円未満のものを検討しましょう。
基本ルール② :青色申告制度の適用者になって、30万円ルールを上手に使う。
10万円以上の備品でも30万円ルールが使えれば安心です。上限(300万円)はありますが、全額経費にできるので、計算の手間や節税の機会が広がります。
基本ルール③ :20万円ルールが適用できるか確認する。
10万円以上20万円未満の備品を買った場合で、
・白色申告の方
・青色申告だが、30万円ルールの上限300万円を使ってしまった場合。
10万ルールや30万円ルールよりは面倒くさいですが、20万円ルールを適用しましょう。
6. 備品の数え方:1個?1組?金額の判定
これで、10万円ルール、20万円ルール、30万円ルールの3つのルールが理解できたかと思います。
ところで、このルール。なんでもかんでも1個で金額を判断してはいけません。
・通常、1組(1セット)で取引されるもので、
・1個ではなく複数が合わさってはじめて機能するような備品
については、その複数を1組と捉え、その1組で金額を判断します。
例えば、机と椅子の応接セット。
机が7万円、椅子が5万円だったとします。
この場合、机と椅子、バラバラで判断するのでしょうか?それとも机と椅子を1組として判断するのでしょうか?
捉え方によって、10万円ルールの適用が変わってきます。
応接セットの場合、机と椅子はセットではじめて機能し、販売される(取引される)と考えます。よって、応接セットは、机と椅子合わせて「1組」です。
つまり、1組12万円(=7万円+5万円)で金額を判断するので、10万円ルールは使えません。この場合、20万円ルールか30万円ルールの適用を考えましょう。
このように、ルールを適用する際、単位が1個なのか1組なのか、備品の取引単位を判断してから適用する必要があります。
7. 備品の経費化に関するおまけの知識
「10万円ルールと30万円ルールがあれば十分!20万円ルールって使えないな」
と思った方もいるかと思います。
鋭い意見ですが、税金の世界は、もう少し複雑です。
税金の1つに償却資産税というものがあります。
一定額以上の備品を購入すると、それに税金がかかるのです。
ただし、償却資産税の対象から外れる備品があります。
これが、10万円ルールと20万円ルールの備品です。
つまり、30万円ルールの備品は償却資産税に対象になり、10万円ルールと20万円ルールの備品は、償却資産税の対象外になります。
勘のいい方はお分かりですね。
ポイントとなるのは、1個20万円以上30万円未満の備品。このゾーンは、20万円ルールと30万円ルールのどちらも適用できます。
早めに経費にして所得税を抑えたいなら、30万円ルールが有利です。他方で、償却資産税を抑えたいなら、20万円ルールがいいですね。
所得税と償却資産税の両方を比べて、トータルで税金が安くなるように選択する。
これが、究極の節税上手かもしれません。
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