マズローの自己実現理論
〜学びのアウトプット☆シリーズ〜
自己実現理論とは…
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したもの。
5段階の欲求とは…
①生理的欲求:生きていくのに必要な基本的な本質的欲求
②安全の欲求:安心や安全な暮らしへの欲求
③社会的欲求(愛の欲求):交流や帰属、愛情を求める欲求
④承認欲求(尊厳欲求):他者からの尊敬や認知を願う欲求
低レベル→他者からの尊敬や注目を求める
高レベル→自己からの評価を欲求する
⑤自己実現欲求:潜在的に持つものを開花させ、なり得る全てになり切りたいと感じる欲求。
※これが満たされない限り、新しい不満がでるらしい。
⑥自己超越:"目的の遂行・達成のみをピュアに求める" という領域を指す。つまり、見返りを求めず、自我を忘れて、ただ目的のみに没頭するステージ。
欲求の現れ方
①〜⑤の優先順に並んだ欲求は、基本的には、下位の欲求(①)から満たされ、上位の欲求が現れてくるが、下位の欲求が「満たされるはずがない」と諦めた時にも、上位の欲求が現れてくることもあるのだそう。
基本的に、一度満たされた欲求はいくら刺激しても、モチベーション向上には結びつかないとされる。
また、自己実現を果たす人は少なく、さらに自己超越に達する人は極めて少ないという。
欲求と健康の関係
どのステージの欲求に取り組んでいるかとその人の健康度は比例するらしい。
①〜④を欠乏欲求と言い、満たされていないと病気になってしまうという。
※⑤〜⑥を存在欲求・成長欲求と言う。
人は過度に孤独になるとみるみるうちに精神が弱るらしいので、③④が満たされてない時は要注意!心の状態は体にも影響することをお忘れなく。
欠乏欲求と成長欲求
マズローは、欠乏欲求と成長欲求とを質的に異なるものと考えた。
欠乏欲求である安全や所属・愛情・承認などの欲求は、本人以外の別の人だけがその欲求を満足させることができるので、欠乏欲求を満たそうと生きている人は、環境や他人に依存していると言える。
逆に、成長欲求で生きている人は、自分自身の成長に集中しているため、自分の欲求を満たしていけるのは自分だけの状態。このことから成長欲求で生きている自己実現者は、自律的で独立的であると言える。
欲求の移行傾向
足りないと不満足が生じるもの(=①〜④の欲求)は、ある程度満たされると、人は飽きてしまって、その欲求自体を忘れてしまい、成長することそれ自体が目的になるもの(=自己実現の欲求)へ向かう。
一方、成長欲求で動いている人は、ある程度満たされても、満足せず、どこまでも追い求めて、飽くなき追求を続けて行く。
欲求を持つことは良いこと
人間は「欲望」を持つことを悪いことだと捉えがちだが、マズローによると「人間が一定して持つ基本的欲求から生まれる欲望は、決して悪ではない。欲求を抑えるよりも、引き出して、満たした方が、より健康になり、より生産的になり、より幸福になることができる」と考えた。
自己分析で位置を把握したら…
自分がいるステージによって、自分が求めるべきものは変わってくる。自分自身がどのステージにいるのかを理解し、そのステージにおいて解決すべきことは何なのか、これを考える事が、自己分析に繋がる。
つまり、自分の欲求を理解して、クリアにしていけたら、最終的には、自己実現を達成する可能性が高まる!ということ。
自己実現者の15の特徴
では、自己実現を達成していくと、どのような人物になるのか?マズローの著書「人間性の心理学」を参照し、以下にまとめる。
1.現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つ。
新鮮で具体的で個別事例的なことと、一般的で抽象的で類型化されたことを識別する能力において非常に優れているため、人工の概念や抽象、期待、信念、固定概念を超えて自然という現実の世界の中で生きることができる。そのため、自身の、または自分たちの文化集団の願望や希望、恐れ、不安、自分自身の理論、信念よりも、現実にそこに存在するものの方をはるかによく知覚する。未知のものを受け入れ、気楽に接して、好む性質を持つ知識人、研究者、科学者的な存在となる。
2.受容ー自己、他者、自然
自分自身や他の人々の人間性をそのまま受け止める。(現実をはっきりと見つめることができる)罪悪感を抱く(または、恥ずかしく思ったり、不安に思ったり、悲しんだり、悔やむ)ことは①改善できる欠点②心理的疾病の頑固なおごり(怠惰、軽率さ、癇癪を起こすこと、他者を傷つけることなど)③性格構造からは比較的独立しているが、それでも非常に根強い習慣④自分たちを同一視している種、あるいは文化、もしくは集団の持つ欠点。
3.自発性、単純さ、自然さ
行動がかなり自発的で、内面生活、思想、衝動などにおいては、さらにいっそう自発的であると言える。彼らの行動の特徴は、単純さや自然さにあり、気取りや何らかの効果をねらって緊張していることがないという点にある。彼らは完全を目指して成長しているのであり、自分自身のやり方でより一層完全に発展しようとしている。普通の人の場合、動機付けとは自分たちに欠けている基本的欲求を満足させるために努力をすることである。しかし自己実現的人間の場合…動機付けとはまさに人格の成長であり、性格の表現であり、成熟であり、発展である。
4.課題中心的
彼らは自分たち自身以外の問題に強く心を集中させる。つまり、自己中心的と言うよりも課題中心的なのである。人生において何らかの使命や、達成すべき任務、自分たち自身の問題ではない課題を持っていて、多くのエネルギーをそれに注いでいる。ささいなことを超越し、広い視野を持ち、最も大きな準拠枠の中でより広い幅で未来を予見して生き、彼らと交際する全ての人々の生活をより過ごしやすいものにしてくれる。
5.超越性ープライバシーの欲求
彼らはひとりでいても傷ついたり不安になる事は無い。さらに平均的な人々よりもはるかに孤独やプライバシーを好み、客観的と言うことも事実。
6.自律性ー文化と環境からの独立、能動的人間
自律性についても超越しており、自分自身で決定し、自分自身で決断を下し、行動を開始し、自分自身とその運命に責任を持っている。彼らにとって、満足や良い生活を規定するものは、内なる個人であって社会的なものではない。他の人々の良い意見や愛情によってさえも影響を受けない。他の人が与える名誉や地位、報酬、人気、名声、愛は、彼らにとって自己発展や内的成長ほど重要ではない。
7.認識が絶えず新鮮である
自己実現者は何度も何度も新鮮に、純真に、畏敬や喜び、驚きをもって物事を認識できるという驚くべき能力を持つ。自己実現者は、神が我々を祝福してくださっていると思うことができ、そしていつでも幸運だと思い、それに感謝することができる。
8.神秘的経験ー至高体験
とてつもなく重要で価値のある何かが起こったと言う確信があり、変化し、力づけられている。
9.共同社会感情
彼らは、人類一般に対して、ときには怒ったり、いらだったり、嫌気がさしたりするにもかかわらず、同一視したり同情や愛情を持っている。それゆえに、彼らは人類を助けようと心から願っている。
10.対人関係
自己実現者は、他のどんな大人よりも心の広い、深い対人関係を持っている。彼らは、他の人々が考えている以上に、他者に溶け込むことができ、愛し、完全に同一視し、自我の境界を取り去ることもできるのである。ほとんどすべての人に親切であり、少なくとも忍耐強い傾向を持つ。彼らは子供には特に優しい愛情を持ち、たやすく心を動かされる。しかしながら、これらの関係にはある特殊な特徴が見られる部分もある。彼らが相手とする人々は、平均的な人々より健康で自己実現に近く、しばしば非常に近いところにいるようだ。この現象からして、自己実現者はどちらかと言うと少数の人々と特別に深い結びつきを持つということが言える。この理由の1つとして、自己実現的方法で誰かと非常に親密であるためには、かなりの時間を必要とすることが挙げられる(=献身は瞬時にできることではない)また、彼らは少なくとも何人かの賛美者、友人、あるいは弟子や崇拝者さえも惹きつける。彼らが与えたいと思う以上のことを要求する相手に対し、苦悩や不愉快を感じることもある。このような関係を余儀なくされた時は、親切な感じの良い態度をとりながら、通常はできるだけ優雅にこれを避けようとする。
11.民主的な性格構造
彼らは階級や教育程度、政治的信念、あるいは人種とか肌の色などに関係なく、彼らにふさわしい性格の人とは誰とでも親しくできる。ただ同じ人間だからという理由だけで、どんな人にもある程度の尊敬を払うという傾向がある。邪悪な行動に対しては、あくまでも戦うという傾向を持つ。平均的な人間に比べて、自分の怒りについて心が揺れたり、心を乱したり、意思をくじかれたりする事は、はるかに少ない。
12.手段と目的の区別、善悪の区別
自己実現者の中に、日常生活における正邪の違いに関して慢性的に不確かになってしまっている人は見当たらない。非常に倫理的で、はっきりとした道徳基準を持っていて、正しいことを行い、間違ったことはしない。ほとんどの場合、自己実現者は手段と目的を明らかに区別でき、概して彼らは、手段よりも目的のほうに惹きつけられる。しかし、他の人々にとっては手段に過ぎない多くの経験や活動を彼らは目的とみなし、目的地に到着することと同様に、その過程そのものを楽しむことができる。ときには彼らは最もつまらない決まりきった活動の中から、本質的に楽しいゲームやダンスや遊びを作り出す創造性を発揮する。
13.哲学的で悪意のないユーモアセンス
自己実現者のユーモアのセンスは通常のものとは異なっている。平均的な人がおかしいと思うことをおかしいとは思わない。例えば彼らは、悪意のあるユーモアや、優越感によるユーモア、権威に対抗するユーモアでは笑わない。彼らがユーモアとみなす者の特徴は、思慮深く、他の何よりも哲学に類似していて、ただ笑わせると言うこと以上の働きを持っている。
14.創造性
彼らはいずれかの点で、ある独特の性質を持つ特殊な創造性、独創性、発明な才を示す。自己実現者に見られる創造性は、歪んでいない健康な子供の天真爛漫で普遍的な創造性と同類であるように思われる。それは、すべての人間に生まれながらに与えられた可能性でありながら、ほとんどの人は社会化されるにつれて、これを失ってしまう。しかし、ごく少数の個人は、この人生の新鮮で純真で直接的な見方を持ち続けるか、あるいは大部分の人たちと同じようにそれを失ったとしてもそれを回復する。
15.文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越
自己実現者は、文化を承認し、それと同一化するという素朴な意味では、良い適応をしてるとは言えない。彼らは深い意味においては、文化からある種の内面的な超越を保持している。
最後に
いかがだったでしょうか?
定期的に自己分析をして、今の自分と向き合い、自分の現在地を把握して、これからどこへ向かって進みたいかを明確にすると、ただただすぎる毎日ではなく、目的地に向かう(=なすべきことがわかる)有意義な毎日を手に入れることができると思います☆そんな毎日にシフトしたい方はぜひ、自己チェックをしてみてくださいね(^^)
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