毎日どこかに、嵐がいた。

きっかけはただの打算だった。

高校3年生の冬。私は推薦入試を使い、周りよりも早く大学受験を終えていた。友達は当たり前のように受験勉強に必死で、長々とおしゃべりできる状況でもなかったので、これから先の話に目を向けることにした。

友達を作るのが上手い方ではなかったから、大学で一人ぼっちになってしまったらどうしようと不安になった。そこで当時の私は、何か共通の話題があれば盛り上がりやすく友達も作りやすいんじゃないかな、という考えに至る。我ながらとてもいいアイデアに思えた。採用。次は「共通の話題に何を据えるか」を考えることにした。

結論が出るまでに、そう多くの時間はかからなかったと記憶している。確か、まさにそのとき、ジャニーズに詳しくない私ですらその人気を痛感するほどに、至るテレビ局で彼らの10周年・アニバーサリーイヤーを取り上げていたからだ。11月3日にCDデビュー10周年を迎え、その後も勢いが衰えることなく人気を増していたグループ。

世間の認知度が日に日に高まっている。若い女性からの人気がとても高い。それに何より、話題が尽きない。テレビ、雑誌、中吊り広告、ラジオ、店内BGM……毎日どこかに、彼らがいた。

これを好きになってみよう、と決めた。

これを好きになってみれば、大学生活が円滑に進むかもしれない。2009年の12月、そんな打算から私は嵐に触れた。

そこから丸11年が経ち、私は今でも彼らのファンだ。

嵐に触れた私は、あっという間に彼らのファンになった。きっかけこそ打算だったけれど、こんなに心を掴まれたのは初めてだと思うほどに、ずぶずぶと"好き"の沼にはまった。

Crazy moonのMVに衝撃を受けて、すぐにMV集を買った。ひみつの嵐ちゃん、VS嵐、嵐の宿題くんのリアタイを始めながら、過去のバラエティを見漁る日々が続き、大学に入学する頃にはすっかり嵐に詳しくなっていた。当時の目論見どおりに嵐きっかけで多くの友達ができて、毎日のように嵐の話をした。夢中で嵐のことを話して盛り上がったあの空間の中に、打算はひとつもなかった。心の底から嵐が好きで、嵐について語り合えるのが楽しかった。

楽しい思い出が沢山ある。

嵐がきっかけで親友ができた。
生まれて初めてコンサートに行った。
「嵐ファンがダサい」と思われたくなくて化粧を覚えた。
毎日のように露出があることが誇らしかった。
リアタイ視聴+録画は当たり前。HDDの容量が足りないよ、と贅沢な悲鳴もあげていた。
遠征もした。北海道、大阪、名古屋。福岡のコンサートには当選できなかったけれど、アリーナツアーで長野に行った。運良くハワイにも行った。出不精な私には、嵐というきっかけがなければ訪れなかったであろう場所たち。ああ、卒業旅行の行き先もニューヨークだった。2013年に訪れた嵐の足跡を辿りたい、と、親友と二人で決めた行き先だ。

もちろんつらいことも沢山あった。

コンサートのチケットが取れなかった年は本気で落ち込んで、コンサートグッズに出会うことすら苦痛で電車に乗るのが怖かった。サークルの同期が親のコネでコンサートチケットを手に入れたとSNSで自慢していたのを見て泣きながらブロックしたことがある。2011年の国立コンサートが台風で日程振替になって、mixiで激病みしている人に友達(だと当時は思っていた)子が「行けなくなったならチケット譲ってくれませんか?」ってコメントしていてドン引きしたこともあったな。
FNS歌謡祭で披露した迷宮ラブソングは未だにトラウマだ。舞台裏を教えてくれたチカさん(当時の相葉くんのラジオのお相手)のツイッターが消えたことも覚えてる。
AKBとの年間CD売上枚数を競っていて「あっちは握手会があってずるい!」ってイライラしたりもした。

忘れもしない2019年1月27日、ニュースを見て、ベッドから起き上がれなくなり、翌日は会社を休んだ。

いろんな出来事、いろんな感情を、嵐を通じて経験した。私の人生には、彼らを好きになった11年の間、ずっと嵐がいた。

それは嵐ファンでなくともそうなのだろうな、と思っている。
2009年がピークかもしれないと思っていた。けれど、彼らはスターになってからもずっと、毎日どこかにい続けてくれた。

「毎日どこかに、嵐がいた。」

先日、嵐にしやがれの最終回で流れたこのCMを、私は生涯忘れることはない。こんなに刺さるメッセージがあっただろうか。
本当に、ただただ「そうだよね」と思う。


本当にとりとめなく文章を書いてしまった。
嵐がくれた2年という優しい時間で、ちゃんと心の整理はつけた。間違いなく2年分の質量はあったけれど、体感値としてはあっという間だった。
あと30時間ほどで休止に入ってしまうだなんて、ちょっと信じられない。実感が湧かない。たぶん年を越さないと実感しないんだろうな。元旦の嵐にしやがれスペシャルがなくて、3日のVS嵐スペシャルもなくて、そこでようやくじわじわと実感するのだろうな。

2021年の自分がどんなふうに生きていくのかは分からないけれど、「いつか笑ってまた再会」したいなと思っています。

大好きな嵐に心からの感謝を。ありがとう。大好き!

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