死ぬことは死んだ人にとって不幸なのか

身内が死ぬことを「不幸があった」という。

私は自分ごととして人の死を経験したことがないから、その不幸を味わったことがない。(実際人の死を体験したこと自体はあるが、あまり近い存在ではなく、全くピンとこなかった)

私は、死後の天国と地獄の存在を信じている人間だ。確信をしている。
なので、親が亡くなってもあまり悲しいと思わない気がして、それに恐れている。
きっと亡くなった相手への悲しさよりも、その人が喪失した世界をいかに整えるかに気持ちが向いてしまう。そんな自分の冷たさに嫌気がちょっとさす。

残された人にとって、亡くなった人の喪失が不幸なのは、死後の世界で会うまでの「しばしのお別れ」なんかではなく、「完全なる離別」だと思っているからだろう。あの世への信仰があまりないのだろう。

とはいえ、悲しいこの現世で、好きな人すら消えてしまうとすれば、短い世とはいえ、やっぱり不幸すぎるのかもしれない。

さて、亡くなった人にとって死は不幸なのだろうか。
彼は彼の今の人生を喪失することが不幸なのか。そうである人もそうでない人もいるし、そもそも死んだその瞬間ではそれが不幸を思うほどの喪失かはわからない。だって死んだ後
死んだ後、無になるのだとすれば、それこそ喪失したことすら知らずに消える。不幸かどうかもわからなくなる。

本当の不幸は、死んだ先で会えないことかもしれない。
私と会えなくなることが、私が失ったら悲しいと思うあなたにとっても不幸であったらいいな、と、少し願ってしまった。


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