月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ?

だんだんと肌寒くなってきたこの季節。秋の夜空に浮かぶ月から感じるもの悲しさを歌にした、百人一首でお馴染みの大江千里のこの一句は、「わがみ一つの 秋にはあらねど」で結ばれ、いにしえから月を愛でてきた日本人の風情を感じさせます。

そんな秋の月(&火星)も、今日(9/29)の朝日小学生新聞では、キッズ目線で「この秋は見ごたえあり!」と紹介しています。今年2020年の10月は満月が2回(10月2日、31日)見られるほか、10月6日には地球と火星の距離が最も近くなるという天体好奇心をググっとそそられる月なのだそう。

月の自転周期と公転周期はともに約27.3日と一致しているため、月はつねに地球側に同じ面を向けています。月の模様は、日本人は古くから「餅をついているウサギ」にたとえてきましたが、ところ変わって海外では、「大きなはさみのカニ」だったり「本を読むおばあさん」だったり「ほえるライオン」だったり。。。見え方、感じ方もさまざまです。
*「27.3」日は、中学受験で問われます(参考:SAPIX「理科コアプラス」)

この表の模様を織りなしているのが、明るくてクレーターの多い高地と、暗くてクレーターの少ない「海」と呼ばれる場所です。月には大気がないので、隕石が燃え尽きずに月面に届きます。そのため多くのクレーターが作られています。また、大気もない、水もない!ということで、月面では浸食作用が起きず、クレーターはそのままの形で残っています。

ところで、地球からは月の裏側を見ることはできません。見られないと知ると、見たくなるのが人間の性ですが、2007年に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」が、裏側も含めたすべての月の地形データの取得に成功しました。そこから知ることのできた月の裏側は、ぼこぼこのクレーターの跡だらけ…。「海」と呼ばれる部分がほとんどないことが判明しました。

先の歌人・大江千里の生きた平安時代には、貴族の姫君たちは御簾や扇で顔を隠していたそうですが、多くの歌人が愛でた月もまた、裏の顔を隠し続けていたんですね。

今年の「中秋の名月」は10月1日。今年も我が家では恒例の月見団子づくりに励む予定です。

天体空間に興味を持った子どもたちには、東京ドーム(東京都文京区)にある宇宙ミュージアムTeNQ(https://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/)もおすすめ。ちょっと本格的なミュージアムなので、小学校高学年くらいから楽しめるのではないかしら。そこにある「太陽系テーブル」には、惑星の大きさの比率どおりに円形の穴が空いていて、木星や土星ってこんなに大きいのか!と肌で感じることができて驚いたことを、今でもおぼえています。

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