【映画】ミッドサマー感想文1 率直な感想編

なんだかすごい映画を見てしまいました。

概要

表題 ミッドサマー
監督 アリ・アスター
出演 フローレンス・ピュー ほか
公開 2020年

 主人公・ダニーはある事件がきっかけで心に深い悲しみを負ったまま、恋人と彼の友達と共にスウェーデンのホルガ村を訪れます。村では90年に1度の祝祭が行われるところでした。村で起きる様々な恐ろしい、残虐な出来事が見物のフェスティバル・スリラーです。

 元々、Base Ball Bearの小出さんが監督にインタビューされた記事をみて、怖いけど気になる、でもホラーだし、血が出るシーンとかあるよなぁ...と躊躇しておりました。しかし、だんだん気になって仕方なくなってきて、ついに先日見てきました。

※以後ネタバレを含みます

観終わった直後の感想

 「怖い」より「不気味」という表現がしっくりくる映画でした。ホルガ村の様々な儀式と、それを粛々と執り行う人々が、自分と同じ人間なのに全く違う価値観のもとに生きており、それがひたすら不気味でした。

 例えば「アッテストゥパン」という儀式。これは、ホルガにおいて寿命を全うしたとされる年齢(72歳)に達した者が、崖から飛び降りて自死する儀式です。村人全員で飛び降りて死ぬ様を見届けます。飛び降り方がまずくて上手く死ねなかった者は、ハンマーで撲殺します。
 ダニーたち、アメリカから祭に訪れた一行は当然、驚愕します。罵声を浴びせる者も、嘔吐する者もいました。ですがホルガ村の者は、これは名誉なことであり、もっと年を取って自分の世話を自分でできなくなることの方が恥なのだと説明します。彼らの論理もある程度、筋は通っているのです。

 ですが現代のヒューマニズムに基づく社会に生きる私たちには、到底受け入れられる論理ではありません。先日『いじめの構造』という本を読んだときに出ていた、一般社会と学校社会はもとにする秩序や根本的か価値観が異なる、という話を思い出しました。ホルガ村と私たちの社会では、根本的な価値観が違うのです。私たちにとってはおぞましくてたまらないことも、彼らにとっては崇高な儀式です。

 そんな、言ってみれば「文化の違い」をまざまざと見せつけられ、しかもその異文化の中で幸せに暮らす村人を見て、自分が拠って立つ価値観や自分の生きる世界が揺るがされるような気分になります。その気持ちが一言で現すと「不気味」ということになるのかと思います。

話をしたくなる映画

 この映画は、一人で消化するには難しい映画だ...と、今、思っています。見た人と感想をシェアしたくなります。

 大抵の映画は、幸せになってよかった、とか、迫力のある映画だった、とか、ある程度、観終わった後に自分の中で映画を消化して、落ち着けることができます。ところがこのミッドサマーは、ひたすら不気味な上に、結末も「このあとこの主人公はどうなってしまうの?」と気になる終わり方です。
 具体的には、主人公はホルガ村の儀式の1つであるイベントで優勝し、女王に祭り上げられます。が、家族は無理心中し、ホルガ村へ一緒に来た恋人とその友人は、ホルガ村出身の1名を除いて全員死んでしまいました。主人公はこのあと、ホルガ村に残るのか、帰るのか。これまであった人間関係をほとんど全て失ってどう生きて行くのか、そんなことが気になりました。
 不気味なうえ、このように結末も後を引くので、自分一人で気持ちを消化しきれない状態です。

 また、SNS等で感想をみていると「癒された」という感想を持つ人もいて、自分とは全然違う捉え方をしている人もいることに驚きました。人によって捉え方が全く違う、まるで現代アートのようです。
 
 また、自分のなかでも、観終わった直後と今では抱いている感想が違っています。観終わった直後は、先程も書いたようにひたすら不気味だと感じていましたが、今は示唆に富む面白い映画ではないかと捉え始めています。

 私がミッドサマーを見て何を考えたかについては、また次のnoteで書いていくつもりです。

ホラー映画と片付けるには勿体ない映画だと思いますので、興味のある方はぜひ映画館でご覧になることをおすすめします。

以上
 

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