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マイスターハイスクール

紅葉が綺麗なこの並木を越えた先にJRAの屋内馬場があり、そこで今日、静内農業高校の生徒向けに授業があるというので、お願いして見学させてもらった。

静内農業高校には生産科学科があり、学校で馬の生産を行い、生まれた仔馬を育て、セリにかけて販売することなどを授業の一環として行っている。昨年、2750万円で落札されたのが話題になった。

参加した生徒は20名弱で、馬術部の部員も多かった。最初はJRAの職員の方が1頭の馬に乗ってデモンストレーションしつつ、他の職員の方が説明をしてくれた。言葉でコミュニケーションの取れない馬に、どう約束事を教えて行くのか、その時に大切なのは教える側がいつも同じ指示を出すことだ、と言った基本的な調教の考え方を教わった。

真面目な講義ばかりではなく、なんと、やってほしいことをリクエストもできた! ハーフパスやフライングチェンジ(踏歩変換)にピルエット(これはこの馬ではやったことがなかったそうで、それらしいものになっていたのも、雲の上の人のデモに終わらず、身近に感じられてよかったと思う)。歌手にあれ歌ってこれ歌ってって言ってるみたいで見学者の私もワクワク。

そのあと、馬術部の選ばれし4名が障害飛越の指導を受けていた。とにかく馬の邪魔をするな、とのことで、皆も上着を後ろから引っ張られたら、飛ぶものも飛べないだろう? と説明していた。納得。初めての馬で緊張したのではないかと思うが、最後は110cmくらいを飛んだのではないかと思う。こちらにすでに写真があがっている。

この後、場所を移動して、育成場で鈍化(むやみに驚かないようにする訓練)や引き馬の調教等について教わった。私にも学ぶことが多くて、耳をダンボにして聞いた。

JRAでは競馬を引退した後も馬が長く生きられるよう、人間を信頼し、人間からも好かれる馬に、と考えて調教しているそうだ。なので、教えている人の言うことは聞くけど、他の人だと聞かないと言うのでは困るので、誰がやっても同じように反応するように調教しているとのこと。ここで引き綱をとってしまった。

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でもどこかに勝手に行ったりしない。

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引き馬についての質問(生徒たちは来年のセリで実際に馬を引くのだから、真剣そのもの。質問もたくさん)に答える間も、一緒にいたいの、と言う感じ。

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丁度反対側になってよくわからないと思うが、引き綱のない馬が生徒の横を歩いているところ。全員、体験していた。この時重要なのは、馬の顔を見ないこと。横を歩く人間について行く、走れば走るし、止まれば止まる、と調教されている。が、ちょっと走り出すと、生徒は皆、馬がついてきているか心配になるらしく、馬の顔を見てしまう。そうすると、えっ、止まるの? と馬は混乱して減速していた。

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最後は馬も生徒の一人みたいに話を聞いていた。(生徒が馬が可愛すぎて手をおいて触っているが、引っ張ったりはしていない。)

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高校生が熱心に質問し、学ぶ姿勢が真剣で、きっと今日学んだことを、もう明日から自分たちの馬で試し、活かして行くのだろうと想像する。この文部科学省によるマイスターハイスクール事業、素晴らしい取り組みだと思う。その道の一流の人から教えてもらうのは、きっとものすごく刺激になるのではないだろうか。

私はといえば、透明人間になったつもりで参加していたのだ(質問したくても、ちゃんと黙っていました)が、なんだか高校生になった気分をちょっと味わっちゃったかも。若返ってたらいいんだけどな。


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