2020/12/20 いずこへと去ったあなた

 淡い黄色のドミノが一斉に倒れ始め、周囲は騒ぎ始める。ザーッという音に気をとられ食事から目をそらし、そしてテーブルの向いに座る人と目が合う。この人は、誰だっただろう。そうだ、大学の授業でたまたま同じ科目をとり隣の席だったことから、なんとなく話すようになった彼女だ。夢の中で現実の記憶を振り返ることの、なんと奇妙なことだろう。そうだ、彼女はある日突然にSNSに連絡が付かなくなると書いて、いずこへと去ってしまった。そこには悲観的な要素は微塵もなく、新たな将来へと歩み始めるすがすがしさが確かにあった。彼女は今、どうしているのだろう。彼女と私は一瞬一瞬の友情を交わし、回数こそ少ないが、濃く楽しい時間を過ごした。夢から、眠りからゆっくりと覚醒しながら、彼女に会いたいとぼんやりと考える。そしてどこかで健やかに過ごしていて欲しいと。

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