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一話完結まんが量産マニュアル

序文

世に漫画の描き方の教本が溢れるようになってから幾星霜、それでもなお漫画を一作も完成させられない志望者はあふれています。なぜでしょう?

答えは簡単です。ひとつは「漫画の描き方と言いながら絵の描き方しか教えていない本がある」こと。絵がどれほど上手かろうが「まんが」が自動的にかけるようなことは断じてありません。なれてイラストレーターです(イラストレーターはイラストレーターでデッサンが上手ければなれるものじゃあないですけども)漫画家というものはおそらく世界でも唯一「デッサン力が低くてもなれる絵を使った仕事」です。またプロの編集者・漫画家は口を揃えて「絵は描いていれば上手くなるから」と言います。絵を鍛えるよりも先に鍛えなければならないものがあるということです。

この記事では「漫画の描き方において優先して修めるべきは話作りである」として話作りについてのみ述べます。

もうひとつ、「教本のレベルが高すぎる」のです。喩えるならば小学一年生に微積分を教えているようなもの。微積分の教科書は微積分を修めるものにとって有用な本かもしれませんが、小学一年生にはまだ早いですよね。まずは「たしざん」を修めないことには微積分はもちろんかけ算も修めることは難しいのです。まんがだって同じことです。まず初歩の技術を修めなければ世にはびこる教本の言っていることは理解のしようがないのです。

そこで私は「初歩の技術だけ」を教える本記事を書きました。微積分を修める者にとって足し算が無用の知識ではないように、この記事にしるす初歩の技術もまたプロデビュー以後も末永く使える知識であると信じています。

加えて、「作らせようとしている話のボリュームが大きすぎる」。何を隠そう脚本術の教本って「2時間映画用」なので一話20ページ未満の漫画には向いていないのです。漫画家という仕事はお話を一本作れたらそれで終わりではありません。漫画家として生き続けていく限りいつまでもいつまでも新しい話を週刊ペース月刊ペースで描き続けなければいけない職業です。また娯楽作品にテーマも感動も必要ありません。漫画とは「よき暇つぶし」です。それ以上の高尚なものだという勘違いは捨てるべきです。

この先の有料分にも補足説明などを含みますが、私が皆さんに伝えたいことの核はストーリーの基礎構造7字とキャラクターの基礎構造6字の13字に集約されます。そこだけ覚えてください。そこ以外はただのデコレーションです。「ブレイクスナイダービートシート」のような構成パーツの多いものは暗記できません。週刊ペースで漫画を描くのに逐一テンプレートを確認しながらプロットを突き合わせたりする暇があるでしょうか?無いでしょう。だから基礎構造は暗記できるような簡素に簡素を重ねた最小構成の極地である必要があります。一度聞いたら二度と忘れようがないようなほんの数文字の情報にこそ価値があるのです。教本を読みながら何本もマーカーでラインを引いたところで覚えようがありません。だから13字、そのための13字です。

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