住人のキロク#4


 私はままごとがお腹を抱えて思いっきり笑える場所だと思う。

 笑いの源その1は母のご飯。仕事から帰えるバスに揺られ、急坂を前屈みで登りながらのままごとのドアを開けるとあーいい匂い。今日は揚げ物だ!今日は煮物だ!毎日毎日ママが試行錯誤して作り出すご飯が目の前に現る。手を洗ったらわたしのベスポジに座って箸を持って食べる。私の欲求は満たされる。それだけじゃない。夏には、家庭菜園クラブから得た情報を駆使して栽培したとれたての野菜をこれでもかとボウルにもって出してくれる。これもパリパリシャキシャキああうまい。今日はしのちゃんの好きなごぼうを煮たよ。今日はなみちゃんの好きなナス。ママはご飯を通してありったけの愛を私たちにくれる。そりゃあ笑顔になってしまう。

 笑いの源2は話す相手がいること。私は仕事での失敗を引きずるタイプで、不安や悩みもある。「あれでよかったのかな。今後どうすればよいのかな。」など考えると頭の中をぐるぐると駆け回り、スッキリしない。そんな時ご飯を食べながら話をする。私の話に真剣に耳を傾けてくれる時もあれば、ただただ聞き流してくれる時もある。それがまたよいのだ。私のもやもやは自然と解消されまた、笑顔になる。

 笑いの源3は自分が自分でいれる場をつくってくれていること。どんな姿も受容してもらえる。例えばリビングでひたすら寝ているとき。普通だったらはしたないとか、邪魔だとか、ちょっとでも動けなんてことを言われるはず。だけれどままごとでは、「気持ちよさそうに寝ていたね。」ってそんな言葉をかけられる。ボサボサの頭でもすっぴんの顔でもありのままの自分でいられる環境は住人たちみんなで作り上げているもの。この心地よさに、またまた笑顔になる。

 人はいつもどんな時でも笑っていることはできないけれど、物事を面白いと思える、笑うための源を作ってくれているのがままごとという場所なのだと私は思う。だから私は今こんなにもお腹を抱えて笑っている。そしてそんなままごとが私は大好きだと思う。

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