サイエンスで白黒つけようと思うな.
コロナが始まってからフラストレーションが溜まっている人も多いと思う。
結局ワクチンは効くの?効かないの?マスクしてれば大丈夫?どのマスクだったらいいの?
ワクチンは効くという人もいれば、その横には効かないという人もいる。
いったいどっちなんだ!研究してるんだろ?はっきりしてくれ!!!
…と言いたくなる気持ちはすごくわかるのだが、サイエンスの世界にそもそも白黒つけられるものはひとつもない。
サイエンスの分野に広がるのは果てしないグレーの世界。
そのグレーの世界を織りなすのは、数々のグレーの絵の具。
濃いグレーの絵の具もあれば、限りなく白に近い絵の具もある。
真っ黒か真っ白のものはひとつもない。
絵の具は、サイエンスを構成するファクター。人の年齢や既往歴、人種、行動パターンなどもあるし、薬や治療法や検査方法もみんなグレーだ。
例えば「ワクチンが効くか」は年齢によっても違うし、人種によっても違うだろう。だから「68%」とかどう捉えていいか迷う数字が出てくるのだ。
コロナの検査も同じ。白と黒のテストなんて存在しない。
コロナが始まった頃の検査の正確さは60%くらいだった。つまり陽性でもコロナでない確率が高かったし、陰性でもコロナである確率が十分にあった。
かなり改善が進んだ今でも、簡易型家庭用テストキットは15%の感染が偽陰性となる。陰性だからといって大手を振って遊びに行ってはいけないのだ。
全ての検査は偽陽性と偽陰性がある、グレーな絵の具のひとつでしかない。
ではどうやってサイエンスを使ったらいいか、それはたくさん絵の具を集めて混ぜ合わせれば良い。
実際にグレーの絵の具を混ぜても白くはならないが、サイエンスの絵の具は確率の問題なので混ぜれば混ぜるほど白っぽくなったり黒っぽくなったりする。
マスクをつけてワクチンを打って三密を防いで症状があったら家にいる、それは全てちょっとグレーの絵の具を集めて混ぜているのだ。そうすればまあまあ白いものになる。
検査もグレーだが、何度も陰性なら確実に白に近づく。
リスキーな行動(黒っぽいグレー)をしたのなら、何度も検査して白に近づけることが医学では行われる。
サイエンスはグレー。それを覚えているだけで、白黒つかない現実に怒ったり理性を失うことなく、冷静でいられるヒントになると思う。
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