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掌編・短編集

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単発の掌編、短編小説を集めたマガジンです。様々なジャンルを展開します。
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2020年7月の記事一覧

【掌編小説】桃

気になるあの娘を思い出しながら、僕は桃を食べる。 彼女のSNSのアイコンは桃だった。 僕は自分の好きな、いろいろんな果物の話をしたら、 「すみません、桃以外は好きじゃないんです。興味がないんです」 と言った。 そして 「桃だったらお菓子でも大好きです」 なんだそうだ。 面白い子だな、と思った。 彼女は少年のようにひょろっとして、透き通るような白い肌をしていた。 そんな彼女の頬はまさに桃のような色づきだった。 いつもキリッと口許を結んでいて口数は少なく、どこにいても控えめ