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続けるという選択

  週一回通い始めて一年ほど経った頃、通っていたクラスがスタジオの都合で終了することになりました。仕事の都合でちょうど良い時間・場所だった私はショックでした。せっかく楽しくなってきてある程度踊れるようになって、そこにきていたメンバーの個性豊かさも心地よく思い始めていたからです。

 クローズの案内を聞いた日、「私これからどうしたら?」と先生に問いかけました。「どこかよそのクラスを探してあげようか」先生はそう言ってくださったけれど、不安は消えずにいました。
翌週、クラスの中で年長の方が私の隣の席に来て言いました。「このクラス、好き?続けたい?それともタンゴが好き?」「どっちも好き。でもこの雰囲気が好き。」そう答えた私に彼は言いました。「同じ曜日の同じ時間に別の場所で同じメンバーでクラス作ろうか?手伝ってくれますか?」答えは迷うまでもありません。結局私は何にもしないまま、彼が全て整えてくれたのでした。

 新しい場所でのレッスンが始まってすぐ、私は彼に言いました。「私、何にも手伝わなかった…」
「いいの、いいの、続けてくれるだけで。続けると言ってくれるならやろうと決めてたんだよ。君は続けたほうがいい。」
私にタンゴの女神様が降りてきた初めての瞬間でした。また一つ目の前の扉がひらいたのです。

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