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J信用金庫 v.s. MBA交流クラブ vol. 15

前回のつづきです。
vol. 14はこちらhttps://note.com/male_childcare/n/ndac1941c1116

 一般市場で価値のある物か、藤岡は少しの間、考えてみる。
「貴金属や宝石、腕時計とかですかね?」
「さすが、良い勘をしているな。使われているのは貴金属、地金だ」
「地金⁉︎加工品ではなく、地金ですか⁉︎地金が景品で賭博にならないのですか・・・」
 佐伯はライターで煙草に火を着ける。吸い込んだ煙をうまそうに吐き出した。
 煙草を吸わない藤岡は、こんな煙の何が良いのか全く理解できない。流煙を眺めながら藤岡は疑問を口にする。
「景品が地金だったら、景品交換所は不要になりませんか?遊戯者は受け取った地金を市場でそのまま売ったら良いじゃないですか」
「確かにな。しかし実際はほぼ全ての遊戯者が地金を景品交換所へ売りに行く。なぜだと思う?」
 理由は1つしかない。
「景品交換所の買い取り価格が市場より高い、そういうことですか?」
「その通り。金の市場価格は今いくらだ?」
「最近ですと、グラム当たり8千700円位で推移していますね」
「景品交換所での買い取り価格は1グラム9千円だ。0.3グラムの地金は4000円で買い取っているから、実質1グラム1万3千円以上だ」
「景品交換所は買い取った金を市場で売っているっていう話でしたよね?高く買い取って安く売ったら完全に赤字じゃないですか」
 なぜそんな無駄なことをするのだろうか。何か理由があるに違いない。
 藤岡の思考を読み取ったように佐伯は言う。
「景品交換所が、なぜ市場よりも高い価格で地金の買い取りを行うのか。それを理解するためにはこの地金がどこから来たのかを知る必要がある」
「どういうことですか?」
「この世界には市場にそのまま流せない地金が存在する」

 藤岡は考える。金は紙幣と違いそれ自体に価値があるのではないか。市場に流せない金などあるのだろうか。
 お皿に残った焼き鳥は冷え切って、タレが皿にこびり付いている。いつの間にか店内は静まり返っていた。他の客はもう帰ったのだろうか。
「市場で売れない地金ってどういうことですか?」
「単純な話だよ」
 佐伯は最後に残った焼き鳥に手を伸ばしながら言った。焼き鳥のタレが佐伯の指にべっとり付く。それを気にする様子はなく、硬くなった肉を咀嚼しながら佐伯は話す。
「経済制裁を受けている国は国際市場で金の取引ができない。そういう国で採れた金は国際市場に持ち込むことができない。例えば、某国は金の採掘量が豊富だが、通常のルートでは国際市場で売り捌けない。つまり、外貨の獲得ができない。さあ、どうする?」
「なるほど。ゴールドとしてではなく、特殊景品として輸出するわけですか」
「その通り。中国を経由してシンガポールに輸出された特殊景品は景品問屋を通して日本のパチンコ店に卸される」
「景品交換所が一般市場より高く地金を買い取る理由が見えてきましたよ。ゴールドにもロンダリングが必要、ということですね」
 
 地金の売買記録については厳格な管理がなされており、そこには国税の調査も入る。特殊景品として出された地金が一般市場に大量に売られ始めたら、間違いなく調査が入り、売買ルートが探られるだろう。某国から輸入された金だと分かれば国家に対する重大な違反行為と断定されるはずだ。
 そこで、景品交換所の仲介が必要になる。景品交換所は市民が持ち込んだ特殊景品を買い取った上で、ゴールドとして市場で売り捌く。高く買って安く売るという一見ビジネスではありえない行為だが、一度市民の手を経由することで、景品交換所はあくまで「何も知らない善意の第三者」という立場を取ることができる。
 景品交換所とパチンコ店の繋がりを警察や国税に気づかれてしまえば、もちろん全容は明らかになるだろうが、今のところ気づかれる気配は一切ない。
 
つづく

※本事件は本人訴訟で裁判中です。応援していただける方は、記事のシェアもしくは”♡”をクリックして下さい。

 (参考資料)

パチンコ店と景品交換所の繋がりがバレる日は永遠に来ない

※実際の人物・団体などとは関係ありません。

【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
メールアドレス:mba2022.office@gmail.com

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