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パクって何が悪い。

ここはとある一室、男女二人が炬燵を囲い今日は音楽を聴いているようだ。
傍にハチワレの猫が一匹、眠いのか大きな欠伸をしている。
女が言った。
「この曲知ってるよ!Nirvanaでしょ?」
男が返す。
【違うんだな〜、Seetherってバンドだよ。】
「えっ!?Nirvanaじゃないの?声とかKurtそっくり!曲もこんなのNirvanaになかったっけ?」
【声そっくりだよね、曲調もリズムもNirvanaに似てる。】
「はっ!これは…パク…パクさんなのでは?」
【うん、パクリかもしれない。】
「オマージュなの?」
【オマージュかもしれない。】
「わからない?」
【うん、声もバンドサウンドもリズムも似てるから、かなりNirvanaっぽいって言えるね。】
「うん、Nirvanaかと思った笑。」
【パクリって世間だと悪い事みたいな風潮あるけど、どのアーティストもパクリはやってるし、そんなに悪いことでもないよ。】
「パクるって言い方が悪いね、盗むって意味でしょ?実際盗んでるけど、リスペクトしてマネしてるんだよね?」
【そうそう、カッコいいと思ったからマネをする。】
【そもそも、音楽やら絵やら創作するものって、何かしらパクってるものなんだ。】
【オレは絵も描くんだけど、絵って巨匠の絵画とかを模写したりしてタッチとか色使いとかを勉強したりする。】
「ふむふむ。」
【音楽なんかは、もうなんかやり尽くされた感があって、これ以上は積み上げてきた音楽理論からはみ出したりしてたりとかになりそうなんだよね。】
「なんか難しい話?」
【昔々、ヨーロッパで聖歌隊みたいのが教会で聖歌を歌って、それからクラシック音楽が流行って、でも、そのずっと前から森に住んでる部族はありえないぐらいグルーヴィなリズムを鳴らしてて、アメリカが開拓されてジャズが産まれて、ブルースが産まれて、他の地方で様々なワールドミュージックが奏でられ、その後も様々なジャンルの音楽が流行って、音楽が続いてる間にピタゴラスが音階を作ったり、著名なミュージシャンが様々な音階、リズムを作ったり、バークリー音楽院やらなんとか音楽院が音楽理論をシステマチックに作ったりしてきた。】
「うん。」
【その中でどれだけのものがパクられて、パクったうえでオリジナリティをだして、様々なミュージシャンがパイオニアになってきたか。】
「ほう。」
【0から1にするのって限られた天才じゃないと出来ないんだよ。】
【でも、1から2はパクればいい。】
「そんな天才ばかりがいたわけじゃないもんね。」
【でも、パクっても結果認められたら、それはオリジナルになるし、オリジナルを超えてるかもしれない。】
「そうね。」
【だからパクるのは悪い事じゃないんだよ。】
「なるほど〜。」
【いい作品、曲を作るための勉強なの、パクリって。】
「音楽って学問だものね。」
【でも、DTMが流行って音の流れを切ったり貼ったりで繋げられるようになって、これまで考えられてきた音楽理論が通用しなくなる未来になるかもしれない。】
【これは菊地成孔さんの本に書いてあって、それを読んでそうかもな〜ってオレも思った。】
「音楽の理論が瓦解する?」
【瓦解まではいかないと思うけども笑。】
【そもそも、音楽理論って後付けでこうこうこうゆう理由でこうなってますっていうのが多いと思う。】
「こうが多いね。」
【だから、今までの音楽理論に当てはまらない音楽が作られたら、理論づけたい人が分析して、また新しい音楽理論が産まれると思うよ。】
「そういうもん?」
【音楽は学問だけど、実技、演奏の方がメインだからね。】
【理論は分析したい人が勝手に考えて理論づけしただけ。】
「じゃあ、音楽理論は知らなくてもい音楽はできるの?」
【うん、パクればいい笑。】
「ご利用は計画的に。」
『にゃ〜。』

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