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Winter Cup 2019 カードプールレポート:エルフ編【Shadowverse】

 Shadowverseにて12/15から開催されているオールスター2Pickフォーマットのグランプリ、Winter Cup 2019。あっという間に第1ラウンドが終わり、第2ラウンドに突入しました。独特のカードプールに手を焼いているかたも少なくないのではないでしょうか。

 かくいう自分も各クラスの特徴やPickの方針、相手クラスに応じた立ち回りなど、まだまだ手探りの部分が多いです。少しでも地に足をつけて第2ラウンド以降に挑むため、Shadowverse Portalで公開されているカードプールを集計し、クラスごとにいくつかの指標でまとめてみました。それらのデータからクラス毎の傾向や戦略をざっくりと考えてみようというのが本稿の目的です。多量の実戦を伴っているわけではないので、個人の感覚とのズレについては悪しからずということでお願いします。

 途中で力尽きなければ全クラス見ていけたらと思いますので(多分力尽きる)、前置きは手短にして、早速今回はエルフのカードプールを整理していきましょう。

エルフの掲示カード一覧はこちら

コストカーブ

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「エンハンス等込み」では、エンハンス・アクセラレート・結晶・一部チョイスを該当コストに集計(一部チョイスとは、元カードとは異なるコストを支払い異なるカードとしてプレイするもの。異なるコストを支払い異なるカードを手札に加えるものはコストの分割などができるため計上せず)

 エルフに与えられたカードプール95枚のコスト分布はグラフのようになります。「2コストを頂点とする右肩下がり」という、いわゆる理想的なコストカーブを描いています。Pick段階での事故率が低く、欲しいカードを伸び伸びとPickしやすいカードプールと言えるでしょう。あえてケチをつけるなら、やや5コストがかさばっている点、2コスト帯のフォロワーが実はそこまで多くはない点あたりでしょうか。

 特に5コストのカード数は全8クラスの中でもトップクラスで、無作為にPickしても5枚ほどデッキに入る計算です。このクラスの5コストにはお馴染みのフィニッシャーである《ジャングルの守護者》をはじめとして強力なカードが首を揃えているため、Pick序盤で不用意に5コストを取りすぎると、いくらクセの少ないカードプールといえど、後半でコストカーブとPickのどちらを歪めるかという二者択一を迫られうる点は押さえておきたいところです。

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エルフの5コスト群。これに加えて、ニュートラルだが《歴戦の傭兵・フィーナ》もエルフ限定カード。プールに《ナテラの大樹》生成カードがないためラティカは進化権の踏み倒しができない点には注意が必要だが、ファンファーレの4点除去は達成しやすい。

基本能力の傾向

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ダメージ量や守護の体力などを集計。
打点:疾走やバーンダメージ、潜伏など相手リーダーにダメージを与えやすい能力について集計。相手のターン終了時にフォロワーを出す能力も含む
守護:1枚のカードから複数体の守護が見込める場合、体力の合計値を集計
回復:リーダーの体力を回復するもののみ集計
トークン:カードを生成して手札に加える能力のみを集計
ドロー:デッキからカードを引く能力を、即時性を問わず集計

 ごちゃごちゃしたグラフが出てきました。棒グラフが各能力のパラメーターを、折れ線グラフがカードプールにおけるその能力を持つカードの割合を示しています。例えば上のグラフでは、守護カードはカードプールの約 15% を占め、その体力の平均は5〜6ほどといった具合です。

 各項目について見てみましょう。

打点

 カードプール内の打点カードの割合は 20% 強と、8クラスの中ではやや低めの比率となっています。一方の平均打点は4超え。比較的高い水準となっており、少ない打点カードを丁寧に通すことさえ意識すれば、飛び道具でのフィニッシュも現実的に見えます。

 ちなみに、最大値の9点は《白銀の矢》によるもので、無条件に固定打点を見込めるものとしては《ジャングルの守護者》の8点が最高となります。ただ《不殺の絶傑・エズディア》が疑似打点として機能すること、高コストの打点カードが《古き森の白狼》と噛み合うことを踏まえると、コンボによるワンショットを狙うこともできるのが実態で、グラフの見かけよりも実際の決定力は高めだと言えそうです。

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前回からある《不殺の絶傑・エズディア》や《白銀の矢》を連れてくるコンボに加え、今回は自分が連れてきた《プライマルギガント》から割と再登場する恐怖の当たり屋

守護・回復

 いずれのクラスも強力なフィニッシャーを擁し、ゲーム終盤では、強力な飛び道具が少なからず現れるのがこのオールスター2Pickというフォーマットです。したがって、相手の飛び道具を阻む守護・回復の価値も通常の2Pickに比べて高いというのが個人的な見立てです(それでも他の要素より優先度は低いですが)。

 さて、エルフの守護・回復についてですが、先ほどのグラフによれば守護持ちはカードプールのおよそ 15% 、回復持ちは 8% ほど存在します。いずれも8クラス間で比較すると平均的なボリュームであり、毒にも薬にもならないというのが率直なところです。どちらかというと、エルフを相手取る際の終盤、エルフ側の守護の最頻値である体力5を意識したいですね。

トークン・ドロー

 トークン生成はエルフのお家芸ということで、なんとカードプールの3割以上が何らかのカードを生成します。ドローソースの割合はカードプールの 17% ほどということでこちらは並なのですが、豊富なトークン生成のおかげで、継戦能力は高めと見ることができそうです。とはいえトークンの大半は《フェアリー》なので、ただの1/1/1として雑に運用するのではリソース面でのタフさも感じにくく、きちんとコンボなどに絡めて使用していくことを念頭に置いたほうがいいでしょう。

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毎ターン1コストトークンを供給してくれるコンボの要。今回はカードプールから《森の戦士》が落ちているため以前ほどのパワーはないか。

除去カードの傾向

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突進や進化時効果による盤面干渉も集計対象。「ランダムな相手フォロワー2体に」などのテキストは1体あたりのダメージで集計。
「可変」は条件によって除去性能が変わるもののうち、その幅がとりわけ広いもの

 こちらがエルフの除去カードのスペックとなります。残念ながら、4点までの軽量除去はプール全体の 10% ほどに留まります。他のクラスに比べると低めの値です。本来であれば打点カードを一部除去に回して補いたいところですが、既に見たとおりエルフの打点カードは「枚数は多くないが、1枚あたりの打点は比較的高め」というのを特徴としており、軽量除去の役割を期待するのはなかなかに難しいでしょう。

 一方で、除去点数が条件によって変わる「可変」にカテゴライズされるカードは全体の12%を超えており、非常に高い水準となっています。こうしたカードで低コストのものはそう多くないので、軽量除去不足という弱点をカバーできるかは微妙なところですが、上手く扱うことで破格の除去性能を発揮するのも事実です。多くは手札の枚数やプレイ数を参照するものなので、豊富なトークンを活かして手札の枚数を保つよう心がけたいですね。

 AoE(全体除去)についてはどうでしょうか。なんとこちらも固定点のAoE枚数に関しては、8クラス中ワーストとなっています。「可変」のAoEについては他クラスに比べてやや多い傾向にありますが、これは《森の意志》や《カシオペア》などを含んでおり、最大で計8点までという制約がつくため、必ずしも強力とは言えません。総じてエルフは除去カードの層が薄い傾向にあるようです。

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《森の戦士》がないため、実は柔軟かつ高パフォーマンスが見込めるAoEは《アリアの旋風》くらい。フェアリー生成のカードも多いためテンポロスも抑えやすい。

ギミックの傾向

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カードプールのうち、Pickやプレイに影響しうるギミックの割合を集計。
「常駐効果」は場にある限り能力が働くカードのうち、アミュレットなど除去手段の限られているものを集計

 エルフのカードプールは上記のようなギミックを備えています。やはりフェアリー生成が多いですが、最も比率が高いのはプレイ数参照。やはり手札管理を重視して、プレイ数を安定して稼げるようにしておきたいですね。

 また、バウンスも 7.1% と思いのほか多く、無作為にPickした場合2枚ほどデッキに入る計算となります。Pick段階で他カードとの組み合わせとの関係で枚数が多くなる可能性も十分考えられますが、シナジーのないカードをバウンスする動きはテンポロスとなってしまうので、他クラスに比べて若干ファンファーレに意識を置いたPickをしたほうがリスクを下げられるかもしれません。

カードプール総評

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主観混じりのレーダーチャート。この手のチャートを作ってみたかっただけかもしれない……

・決定力
打点源こそ限られているものの、1枚当たりの平均打点はそれなりに高く、とりわけ10ターン目以降は《不殺の絶傑・エズディア》が強力です。9ターン目の《プライマルギガント》という分かりやすいパワースパイクが存在するため、必ずしも《古き森の白狼》が要求されない点や、10コストのため《森の女王・リザ》によるサーチが可能な点なども高評価につながります。

・展開力
スタッツやカード1枚当たりの展開量などは、考察に耐えるレベルのデータにまとめることが自分の力量では難しいため、主観評価ですごめんなさい……。
高コスト帯に《クイーンセイバー・シンシア》や《始祖の大狼・オムニス》、《プライマルギガント》など強力な盤面展開カードを多数抱えるだけでなく、必要に応じて《フェアリー》による展開サポートも可能なため、能動的な盤面展開においては非常に高水準なカードプールという印象を受けます。

・防御力
前述のとおり、8クラスの中ではいたって平均的なスタッツや割合。直接的なダメージカットもなく、一部デバフカードの存在以外に特筆すべき点はなさそうです。

・除去力
残念ながら、8クラス中最も低いかもしれません。打点カードもそう多くないため、あまり除去に回してしまうと今度はリーサルが遠のきかねないカードプールです。ただし、《プライマルギガント》などによる盤面の押し付けで勝てそうな場合は打点を除去に回してもかまわないため、手札読みが問われる状況も少なくなさそうです。ちなみに、確定除去自体はそこまで少なくないので、勢いそちらまで取りすぎないようには注意が必要でしょう。

・安定性
綺麗に整ったコストカーブに、シンプルかつバランスの取れたギミック構成。特に言うことはありません。5コストのかさばりとバウンスのクセだけ、慣れるまでは扱いにくそうだなという偏見で満点ならず。

Pick・プレイの指針

① 軽量除去カードを特に意識してPick
② AoEも極力Pickするが、手札枚数を参照するものはデッキと要相談
③ 5コストのPickし過ぎにはやや注意
④ 見てからさばくのではなく、率先して盤面を作る
⑤ 打点カードは基本大切にしつつ、盤面だけでの削りきりや終盤のバーストダメージが見込める場合はしっかり除去に回す

 ここまでカードプールをさらってみて、概ね「自発的な展開は得意なものの守勢に回ると脆い。終盤の決定力は非常に高い」というエルフ像が見えてきたので、それを踏まえていくつか指針を立ててみました。

 プレイ指針に関しては、「豊富に除去を取れた」「軽いフォロワーに寄ってしまい終盤までゲームしたくない」などその時のPickの影響を受けるので、あくまで目安です。標準的なPickとなったときは先に盤面を作っていきたい都合上、相手の手持ち除去を読んだり、必要に応じたケアが求められることも多くなりそうで、頭を使うクラスという印象になります。

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《プライマルギガント》本体はAoEに強いため、9ターン目までに相手の確定除去を吐かせておいて、本体除去 → AoEという流れでの全処理を避けやすくするなど、ターンを大きくまたぐケアもしたいところ

エルフと対戦する時のポイント

① フォロワーの横展開を継続して、相手の9PPまでに大勢を決する
② 詰めの段階で体力5の守護は最低限突破できるよう意識しておく
③ 10ターン目以降までもつれこみそうなら、《古き森の白狼》ケアは緩めない
④ AoEの使い所は慎重に判断する

 9ターン目以降はカードパワーが恐ろしく、盤面・リーダーの体力ともにケアの難易度が一気に跳ね上がります。そのため、理想は相手の9ターン目までに削りきってしまうことです。エルフは展開力はありますが、1体1体のサイズが大きくなってくるのはゲーム後半なので、序盤の有利トレードと相手より多いであろう除去カードを活用して自分の盤面を残し、積極的に相手の体力を奪いにいくことができると比較的戦いやすいのではないでしょうか。

 単体・全体を問わずエルフは除去が少ないというのはここまで見てきたとおりなので、一度強力な除去などでさばかれても怯まずに再展開を狙えば、ダメージを稼ぐチャンスもあります。最低限横展開への対応で相手の手札を消耗させることができれば、後半戦の多彩なコンボや《白銀の矢》の出力を抑えられるため、素早い決着が困難な場合でも、積極的な横展開の価値は大きそうです。

 さて、駆け足でエルフ編を進めてきましたがいかがでしたでしょうか。グランプリの開催期間と己のスケジュールと戦いながら、可能な限り他クラスについてのレポートも書き上げていきたいと思います。

 次回はロイヤル編を予定しています。


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