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パラスイマー久保大樹さんとの対談でパラ競技の見方が劇的に変わったという話

久保さんとのコラボ配信は全くの初対面だった


さて、先日パラスイマー久保大樹さんとVoicyで対談しました。その時の様子もアップしているので、過去放送をお聞きいただけると嬉しいです。



で、今回のお話についてはVoicyにも上げていますが、noteだと5000字近い巨編なので、聞き流すくらいが丁度いいっていう方はVoicyからお聞きいただけると嬉しいです。


正直ね、Voicyで初めてのコラボ対談ですし、何よりも久保さんと私はお互いのSNSとかVoicyは聴いているし、どんな人かは知っているんですけど、なにせ初対面なんですよ。喋りの空気感とかよくわかんないし、面識がない、あと予備知識もそれほどない方との対談って結構久しぶりで。


いや、初対面の方とのインタビューってたまにやりますけどね。ここ最近で一番ヤバかったのって貴闘力さんっていう、相撲界の闇を暴露しまくっているユーチューバーで元力士の方が居るんですけど、あの方とやった時なんですよ。


まぁあの時とくらべたら、久保さんの方から持ち掛けていただいた話でもあるので、あとは私が久保さんを事前に丸裸にすればいいだけっていうやりやすさはありました。


久保さんとの会話はパラスポーツなどの専門から離れても面白い


でね。

このパラスイマー久保大樹さんとの対談が本当に面白かったんですよ。


久保さんと私が単純に合うのか、それとも久保さんのコミュニケーションのスキルが高くて私にも合わせてくれたということかはちょっとわかんなかったですけど、でも少なくとも1時間の配信があっという間に終わって、最初はお互い自己紹介ムードでしたけど段々打ち解けていく感じで。


あの、パラスイマーとスポーツライターっていうお互いのバックグラウンドがかみ合いやすいっていうのもあったとは思うんですけど、でもね、あ、これは楽しく喋れているなぁと思う一つのバロメーターがあって。


それはね、本題と違うところで盛り上がれるかどうか、ってことなんです。


つまり、今回の話ってパラ競技とか、スポーツジャーナリズムとかそういうことで楽しかったのは勿論なんですけど、生身の人間として久保さんと喋れたことそのものが面白かったってことなんですよね。


案外これって出来ないことで、仕事の話とか、趣味の話で盛り上がれる人って居るけど、そこを離れたときに面白い人ってそこまで居ないんですよ。でも久保さんとはそれが出来たってことが面白いなぁって思えたんです。


久保さんはハードな経験をしているのに、根っから明るいのが凄い


それで、ちょっと自分の中でのふと思ったのが、久保さんってとてつもなく重い経験をされている方だということなんですよ。


先日の放送でもお話しいただきましたが、元々水泳をしたくて日体大に入って、体育教師をしていて、24歳の時にギランバレー症候群になって、そこからパラスイマーになった方なんですよ。


これ何が凄いって、元々水泳をしたかった方が、思ったように体さえも動かせなくなった。いや、自分の中心にあったもの、生きがいをいきなり奪われて、耐えられますか?って話ですよ。


まぁもう10年経っているからなのかもしれないですけど、久保さんって本当に明るくて楽しい方で、そういうしんどい経験をあんまり感じさせないんですよね。


障害をもっていた父と久保さんの違いは?


なんでそれを思ったか?といえば、実は私の父も障害を持っていまして。


それまで本当に好きなものを食べて、泥酔するまで飲んで、お客さんをうちに連れてきて5分で寝ちゃうみたいな、昭和のおじさんですよね。舞台照明の会社を経営していて、それなりに収入があって、奔放に仕事をしながら生きていることが本当に楽しくて。


でもそれが、2003年を境に変わってしまって。

脳梗塞になったんです。


その数年後に会社はほぼ開店休業状態になりましたし、半身不随は残りましたし、生きるために節制が必要になりましたし、もう全部楽しみが無くなっちゃったんですよ。


明るく振る舞ってはいましたけど、病気で生きがいを失って、楽しいこともあったんでしょうけど、でもどこかに寂しさとか諦めみたいなものが見えて、3年前に亡くなったんです。


だから、久保さんの明るさと父の明るさってちがうものだったんですよね。


障害を持っている方の苦労を思って勝手に辛くなっていた私


人って明るく振る舞うことはできるんですよ。

でも、それって根っから明るい人と、明るく振る舞おうとする人との違いがあって。


ちょっと話が違いますけど、プラス思考ってよくプラスに考えようとする人がいると思いますけど、そういう人って根っこはマイナス思考なんですよ。だから、プラスに考えようと意識することによって自分を良い方に導こうとしている。


私の中で障害を持っている人のイメージって父だったので、あのハードな経験をするとなかなか根っこからポジティブに、明るく、楽しく振る舞うっていうのは出来ないんだろうなぁっていうものがあって、だからちょっとパラスポーツっていうのも観ていて勝手にその人のそれまでの過酷さみたいなものをイメージして、勝手に辛くなっちゃっていたんですね。


そのイメージが久保さんによって覆されたっていうのが大きかったんです。


パラスイミングをされている方は明るい人が多いという驚き


そんなことを考えながら久保さんとお話ししていたら、点と点が線で結びつくことがありまして。


パラスイミングをしている方ってみんなすごく明るいらしいんですよ。


いや、これって別に私が久保さんに対して父とくらべてどうしてそんなに明るいんですか?って聞いたわけでも何でもなくて、話の流れの中で出てきたことだったんです。


さすがに久保さんもギランバレー症候群になって1年くらいはもう落ち込んだらしいですし、そこからパラアスリートになるっていうのもなかなか大変だった、いや久保さん的には歩いたりするリハビリよりも水中のほうが楽だったと振り返られていますけどね。


で、そこから横のつながりが出来てきたときにパラアスリートの方と接したらみんな明るいってことに気づかれたみたいで。


何だろう、私が勝手に思っていた、過酷な過去を乗り越えて大変な想いをしているから勝手に観ていて辛さを感じているっていうのは別に思わなくていいことだったんだなって思えたんですよ。そのときね。


久保さんを通じてパラスポーツやパラアスリートへの印象が大きく変わった


今にして思うと久保さんにそんなに皆さん明るいのってなんでなんですかね?って直接聞いちゃってよかったと思うんですけど、多分これは私が雰囲気の中でパラスポーツをするということ自体、そして新しいものに挑戦して壁を破り続けて、自分の限界に挑むっていうことがものすごくポジティブなことだっていう印象を受けて、その質問をすることを全く思いつきもしなかったんですよ。


普通にアスリートをしている方もまた超人的な部分で凄みってあると思うんです。でも、パラアスリートの方っていうのはどうしてもそこに障害という不便とか、人生のなかでの大きな試練っていうものにも同時に直面していて、それは現在進行形だったりするわけです。


もう一つの闘いと向き合いながら、人生をこちらの想像以上にポジティブなものにしているということに対して私は大きな感銘を受けたんですよ。勿論久保大樹さんという方との出会いって素晴らしいもので、今後もとても大事にしたいご縁だとは思ったんですけど、でもパラスポーツやパラアスリートそのものに対する意識が変わったっていうのが本当に大きかったんですよね。


パラスポーツと健常者スポーツは比較される


とはいえ、パラスポーツに対してちょっと言いづらい部分を私自身抱えていたことがあって。それは、健常者の競技との比較って言う観点でした。


これって男子スポーツと女子スポーツとの比較であったりとか、プロアマの比較だったりとかってところに掛かってくるもので、要するにより競技レベルが高い方を見ちゃうってことだと思うんですね。


別にパラスポーツに対する差別とかそういうことじゃなくて、むしろフラットに見ているが故に起きちゃうことだから、純粋に競技を見比べると高いレベルの方が盛り上がれるし、報道もそっちの方が多くなるっていう構図じゃないのかなって。


サッカーの分配金について女子の連盟が男子と平等に分配してほしいっていうのがニュースになっていましたけど、客入りも違えば放映権も違う訳で、そこに差が発生するのは仕方ない部分もあるのかなっていう見方をしてはいるんですよ。


「パラ水泳を盛り上げたいから、どんなことでも言ってほしい」


そういう中で久保さんの方から言われたのが、パラ水泳を盛り上げたいから、どんなことでも言ってほしいって言うことだったんです。


つまらないってことでも何でもいいって。

これって競技者だとなかなか言えないと思うんですよ。


だって、自分たちがプライドをもってやっていればいるほどに大抵の場合って自分たちの立場の擁護になりがちなんですよ。競技者目線でつまらない理由を否定してしまいがちで、仕方がないことではあるんですけど、でもそれって見る側に寄り添っていないから、皮肉なことに競技の発展の妨げになることなんすよね。


ただ、これは本当に難しい問題だなぁとは思ったんです。

競技レベルでパラスポーツが上回るっていう方向での発展って非現実的だからです。


競技を見せることとその人のドラマを共有することの両方が大事


となると、パラスポーツに対する注目を上げるにはどうするか?って言ったら、競技レベルではない部分にフォーカスしていくことじゃないかと思いました。


つまり、久保大樹さんが為さっているように、単に競技を見せるというだけではなく、様々な方と交流し、久保大樹さんという人間と触れ合うことやこれまでの苦労や人生に触れることによってドラマを共有すること。これじゃないかなと思ったんです。


オリンピックでスポーツが注目されるのって、スポーツそのものが面白いからではあるんですけど、だとしたらその後もずっとその興味は継続されるわけで、オリンピック期間になると出てくる、その人を深堀したドラマにこそ人を引き付けるものがあるんじゃないかと。


競技を知ってもらうこと、そしてその人を知ってもらうこと。

その二軸が必要になるってことに近しい何かを配信の際に私はお話ししたように思います。


久保さんのレースを見たらパラ水泳への興味の連鎖が始まった


で、久保さんがその週末に記録会があったんですけど、私その放送を見たんですよ。


正直なところ、パラリンピックでさえ私殆ど見たことなかったんですよ。でも、久保さんが出るからという理由で見ました。


そしたらね、久保さんはそのレース2着だったんです。

あー残念だなって思ったんですけど、そこで私は興味が出てきたんですよ。


一着の人は何者なんだろう。

日本記録と久保さんの記録はどれくらい開きがあるんだろう。

って。


今の時代って面白いですよね。そういう疑問は手軽に解決しちゃうんですよ。で、解決したら今度はその一着の大学生の人に対して興味が出てくる。もうこれは興味の連鎖ですよね。


今日のまとめ:


今日の話をまとめると、パラスイマーの久保さんとのコラボ配信を通じて今までどこかひけめというか、気の毒な部分みたいなものを感じていた障碍者の方への見方が大きく変わったし、パラスポーツそのものに対する私の感じ方は大きく変わったという意味で本当に意味があったなぁと思いました。


ただ、パラスポーツそのものってまだまだ注目度が低いし、でも構造的にはなかなか注目度を上げにくい面もあるということに気づきました。でも、パラスポーツにしかない、人間的なドラマが生まれるという意味では注目してもらえる可能性を秘めているとは思うんです。だから、これからも久保大樹さんをはじめとするパラ競技の今後の発展を祈りたいなと感じた次第です。

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