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総武線でマリオネットみたいに縦揺れするおじさんに遭遇した話

3連休の初日は、1年前まで住んでいた両国で昼食を食べ、有楽町に出かけました。

両国には本当に良い飲食店が多いんです。多分お相撲さんがその辺に住んでいるし、本場所後でお金のあるファンの方が足を運ぶからなのかもしれないですけど、ちゃんこ屋だけじゃなくて何食べても美味しいんですよ。

ラーメンも、イタリアンも、とんかつも、蕎麦も、なんでも美味しいところあります。自信を持ってお勧めできる店が。もし興味があればコメント欄でお聞きいただければ、時間ある限り回答します。しかも、美味しいだけじゃなくてそんなに混まない店も知っているんですよ。フフフ

前に両国に住んでいたのは私が相撲が好きだったことと二人の職場の中間地点だったこともあって選んだわけです(妻が言い始めたんです。妻が。実話です。信じてください。何でもします。)が、妻は宝塚が好きなもので彼女にとっての聖地は有楽町でして、そんな訳でそちらに足を運びました。

来年のねこぺん日和カレンダーを入手し、好きなPatrickのスニーカーを購入し、妻はオンラインで欲しいと思っていた秋向けのアウターを見たら案外シニア向けっぽい色合いとデザインだったので購入を止め、なんか私だけ買い物をしてしまった感じになりまして。

そういや日常のありふれた光景について語るのは初めてかもしれない。
まぁいい機会だし、こんな導入でもいいのかもなぁ。

その後プラネタリウムに行ったのですが、歩き疲れたのか気温差にやられたのか、前半は私が、後半は妻が熟睡してしまいました。「プラ寝たリウム」とか言いたくないですがそうなってしましました。歳取るとダジャレ言いたがるらしいですが気を付けたいものです。

本来は夕飯を有楽町で食べて帰る予定でしたが、二人とも予想以上に疲れていたので秋葉原を経由して総武線津田沼方面に乗車しまして…


事件は起きました。


私と妻は7人掛けの長椅子に隣り合って座っていました。

多分スマホをポチポチしながらnoteの過去記事に目を通し、コメント欄が結構色々書いていただけていたのでそちらについてウィットの富んだ回答をしようと頭を悩ませていたんだと思います。

すると私の右隣の前に、一人の乗客が立っていたんです。
つり革に手を掛けて、片手にはお茶のペットボトルを持って。

普段は車中の客に目を奪われることは無いのに。長椅子で寝ている客が居れば別ですよ。たたき起こしたらおっさんに席奪われるわ、空いた席に一瞥も無く座られるわでひどい目に遭ったことはありますが、まぁそれは別の話です。

でね。
なんでこの客が気になったか。

なんかリズムに乗ってるんですよ。

つり革にだらりと手を掛けて、ちょい頭を垂れて、膝に余裕を持たせて、クイッ、クイッって妙な動きをするんです。

白髪交じりでチャラい恰好をしていたので、ああ、そういう系の音楽が好きなのかな?と思いながらもリトル西尾の危機管理センサーが注意報を出しています。この段階では私以外誰も気づいていませんでしたが、コメントを付けながら横目にこの男を追うことにしました。

すると。

彼はおもむろにつり革から手を離し、ペットボトルのキャップを外し、お茶を飲み始めました。多分ほうじ茶だったと思います。ほうじてんじゃねえよ。どこまで見ているんだよ私。もはやガン見レベルまで来ています。注意報が打ち鳴らされると基本的に私はこうなります。

そして彼はキャップをもう一度装着しようとします。しかし、膝はだらりと、頭もだらりとしながら下に重心がある状態でしたので、恐らくかなり不安定だったんでしょうね。

キャップがコロコロと転がり始めました。
そして、右隣に座っていた女性の足元に止まりました。

キャップを取ろうとする男性。
しかし、なかなか取れません。
手元がおぼつかないのです。

手元がおぼつかないのに、腰を落として重心を安定させないからそりゃなかなか取れません。頭はだらり、稀勢の里のような腰高(分かる人に分かればいい)、膝はクネってる状態で頑張ってキャップを拾おうとしているチャラいおっさんですから、見た目かなりおかしいんですよ。

なんか、ヤバい奴が居る。
そして奴は恐らく酔っ払いだ。

私以外の客も気づき始めました。
妻もガン見してます。

キャップに手が掛かる。
弾く。

フラフラしながら腰高で迫る。
また弾く。

そして、どうにか掴む。
ようやく平和が訪れたかに見えました。

彼はめでたくほうじ茶のペットボトルにキャップを装着し、つり革に手を掛け、稲穂のように頭を垂れ、腰をちょい落として、膝を余しながらまたリズムに乗り始めました。

しかし。
なんか前の倍くらい縦ノリになってるんです。

最初は「スリラー」のPVでマイケルジャクソンの後ろのゾンビが総武線に降臨したのだと思いましたが、2秒くらい見ているうちにこれは例えるものが異なるということに気づきました。

上の方で誰かが別の意思を持って動かしているように見えたんです。
つまり、マリオネットみたいなんですよ。

両腕と、両肩と、頭辺りに糸を付けて、上からリズミカルに操作していなければあんな動きは不可能です。あれは単なる酔っ払いの動きではありません。

ありゃあ鏡の中のマリオネットですよ。
ボウイですよ。
Oの間に1本線が入ってる訳ですよ。
操る糸を断ち切りたいんですよ。

まぁこの時点で単なる酔っ払いから誰もが危険人物に認定した訳です。

右隣の女性の隣にいた男性、恐らく交際相手だと思うのですが、機器を察知して彼女と席を入れ替わりました。かなり真剣な面持ちです。

私と妻は隣でこのマリオネットをニヤニヤ笑いながら「あいつ動きおもしれえなぁ」ってささやきながら見ています。これが四十代の余裕ですよ、皆さん。

不思議なことに、このマリオネット野郎は後ろの席が空いているのですが全く座る様子はありません。

私もふと彼に席が空いていることを告げようと思いました。座らせれば彼女たちの恐怖は終わるからです。ただこの動きをしている不審者ですから、人に何かを言われることに腹を立てて別のモンスター(ボクオーンとか)に昇格する可能性も捨てがたいのです。

あと、席に座らせたらその両隣も危険なんですよね。これって危険人物を自分の圏外に置く行為なんですよ。それもマズいじゃないですか。

ということで、とりあえず様子を見ることにしました。

隣のカップルのヒソヒソ話が止まりません。そりゃそうです。加速度的にマリオネットおじさんの縦揺れが酷くなっているのですから。

しかもタチが悪いことに、せっかく席を変わったのに彼女の方に方向転換して縦揺れをしているのです。つまり彼女を追跡して揺れているのですから、二人からすると完全にホラー映画です。

もうこの頃には私もnoteのコメントは差し控えています。マリオネットおじさんもそうですが、隣のカップルの真剣な面持ちが気になって仕方ありません。

揺れるおじさん。
緊迫感あるカップル。
そして、ニヤつく西尾夫妻。

均衡を破ったのは、カップルでした。

男性が網棚に置いたnorth faceのデカいバッグを取り、彼女の手を引き、平井の駅で降りたのです。様子を見る限りでは彼らの家は平井にあったのでしょう。出口に向かって進んでいることがうかがえました。

そして、次に動いたのはマリオネットおじさんでした。

目の前の二席がいきなり空いたので、縦揺れがピタッと止まりました。

もう彼の視界にカップルは居ません。どこに行ったか知る由もありません。元々単にリズミカルに揺れていただけで、彼らに危害を加えたり、嫌な思いをさせようとしていた訳ではないのは明白です。

座るのかな?
座るとしたらどんな動きをするのかな?
そんなことを考えていたその瞬間。





おじさんも平井で降りていきました。


総武線のあの車両中の乗客から漏れる笑い。
お前ら駅同じなのかよ。

マスク社会になって久しいのに、皆声が出てしまいました。村田諒太がゴロフキン相手に闘い、ダウンを取られた後もそうでした。人は一つの意思が統一された時、マスクとか関係ないのです。

いやーそんな偶然ってあるんですね。
笑いが止まりませんでした。

本八幡で降りた私たちが最初にしたことは、勿論この一件の反省会でした。

皆さん、いかがでしたか?
電車の中で変なお客さんに出会ってしまったエピソードや、この3連休で何をしているかなど、お気軽にコメントいただければと思います!

■挨拶・自己紹介・雑談用の記事も作りました。

■共同マガジン作りました。

これはヤバい。全部面白い。
略称「面ゆる」でみなさんとお話しできる日が来ることを楽しみにしています。

個人的にはさぼてん主婦さんの記事がとにかく笑いが止まりません。これは名作中の名作だなぁ。。私の記事だとこれに対抗できそうなのはポロロッカくらいだ。。


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