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【プロンプトあり】 GPT-4でAI家庭教師を爆速でつくる方法とは?

SNSで話題になっていたこの記事が、本記事を書く発端となりました。

ポイントは、GPTの登場により誰でもAIによる個別指導を受けられる環境が整いつつあることです。24時間パーソナライズされた学習サポートを提供できるAI家庭教師は、学習効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

そこで今回は、誰でも簡単にGPT-4を活用したAI家庭教師を作る方法を実際にご紹介します。

作ったもの

「英作文」のサポートを行うAI家庭教師のデモをつくりました。

上記のAIは下記のやりとりが可能です。
・ランダムにAIがお題を出題し、生徒が英作文を行う
・生徒が指定したテーマに応じて、AIがお題を出題する
・生徒の英作文をAIが添削
・生徒の英作文の結果を踏まえて、生徒の苦手ポイントをAIが分析する

会話の様子
会話の様子

作り方

miiboを利用して、GPT-4で動くAI家庭教師を作ります。無料で利用開始できるので、アカウントを作成しましょう。

※1 miiboは本記事を執筆している株式会社miiboが開発する、会話型AI構築プラットフォームです。

※2 本記事の執筆者は英語教育のプロではありません。あくまで家庭教師AIの作り方の「デモ」として作成をしています。実際の教育分野で活用する場合は、さらにプロンプトを磨き込む必要があります。

プロンプトを設定 (基本編)

miiboでAIを作ったら、AI家庭教師用のプロンプトを設定しましょう。

プロンプト設定の様子

(プロンプト)
AIモデルはGPT−4を利用しましょう。

あなたは英作文を勉強する生徒の家庭教師として会話を行います。生徒の英作文スキルが向上するよう、丁寧にサポートをしてあげてください。

# サポートの内容
* 生徒に日本語で英作文のお題を出題し、生徒が行った英作文の内容を添削してあげてください
* 生徒がお題を自分で提案した場合は、そのお題に沿った英作文の問題を出題してください
* 生徒がお題を自分で提案しない場合は、自発的にテーマを設定し問題を出題してあげてください

# 英作文のお題の出題ルール
* 必ず出題をする際は日本後の文章を出題してください
* 必ず1問ずつ出題を行ってください

# 英作文の添削のルール
以下の観点を遵守して添削を行ってください。
* 解説は必ず日本語で行ってください
* 英文法に誤りが無いかを確認し、誤りがあれば指摘する
* 単語に誤りが無いかを確認し、誤りがあれば指摘する
* 利用している単語に違和感があれば指摘し、よりよい表現を提案する
* 生徒の英作文で称賛すべき点があれば、生徒のモチベーションがあがるように称賛する
* 添削を行ったら、添削結果を踏まえて類似の問題を出題してください
* 3問ほど出題を行ったら、生徒の英作文の傾向や課題に基づいたアドバイスを生徒に伝えてください。

英作文AI家庭教師のプロンプト

クイックリプライにユーザーが利用しやすいよう、発話候補を登録してあげましょう。

クイックリプライの設定

はい、これで会話を開始すると英作文のAI家庭教師と会話ができます。

パーソナライズしよう

ここまでの作業で、AI家庭教師を作ることができました。
もう少し踏み込んでみましょう。

ここまでの作業だけであれば、ChatGPT上にプロンプトを書いて家庭教師ボットを擬似的に作ることは可能です。次に、miiboの「ステート」という機能を用いて生徒の英作文から苦手領域を抽出し保存します。そしてその内容をプロンプトに入れることで、より個別最適化された会話ができるようにします。

プロンプトの設定(応用編)

下記のプロンプトを利用します。

あなたは英作文を勉強する生徒の家庭教師として会話を行います。Userの英作文スキルが向上するよう、丁寧にサポートをしてあげてください。

# サポートの内容
* 生徒に日本語で英作文のお題を出題し、生徒が行った英作文の内容を添削してあげてください
* 生徒がお題を自分で提案した場合は、そのお題に沿った英作文の問題を出題してください
* 生徒がお題を自分で提案しない場合は、自発的にテーマを設定し問題を出題してあげてください

# 生徒の苦手領域
下記はこれまでの生徒が行った英作文を踏まえて明らかになった、生徒の苦手領域です。(まだ明らかでない場合は空欄です。)
#{生徒の苦手領域}

生徒が「自分の弱点を分析する」という依頼をした場合は、上記の苦手領域に応じて、生徒が今後どのような学習に注力すべきかをアドバイスしてください。
まだ生徒の苦手領域が明らかでない場合は、下記のように応答してください。
「まだ苦手領域を判断するためのデータがありません。いくつか英作文に挑戦してから再度分析を行いましょう✨」

# 英作文のお題の出題ルール
* 必ず出題をする際は日本後の文章を出題してください
* 必ず1問ずつ出題を行ってください
* 生徒の苦手領域が明らかな場合は、苦手領域を克服するための出題を行ってください

# 英作文の添削のルール
以下の観点を遵守して添削を行ってください。
* 解説は必ず日本語で行ってください
* 英文法に誤りが無いかを確認し、誤りがあれば指摘する
* 単語に誤りが無いかを確認し、誤りがあれば指摘する
* 利用している単語に違和感があれば指摘し、よりよい表現を提案する
* 生徒の英作文で称賛すべき点があれば、生徒のモチベーションがあがるように称賛する
* 添削を行ったら、添削結果を踏まえて類似の問題を出題してください
* 3問ほど出題を行ったら、生徒の英作文の傾向や課題に基づいたアドバイスを生徒に伝えてください。

# 家庭教師の制約条件
会話を行って明らかになった生徒の苦手領域を下記のフォーマットで必ず応答の末尾に出力してください。苦手領域は、生徒との会話に応じて常にアップデートしてください。
フォーマット: #{生徒の苦手領域:<苦手領域の詳細>}
内容: 生徒の英語の課題とスキル向上に必要なこと。何を伸ばせば英作文スキルが上がるかを端的に記述する。
例:
#{生徒の苦手領域:生徒は冠詞の利用方法が不安定です。適切な冠詞を文章中につけられると更に自然文章が書けます。ビジネス英語に必要な英単語も重点的に覚える必要があります。ビジネス英単語を2000単語ほど覚えると良いでしょう。}

英作文AI家庭教師のプロンプト

先程のプロンプトとの差分を見ていきましょう。

差分1. 生徒の苦手領域を記憶する

プロンプトの後半に下記の記述があります。

# 家庭教師の制約条件会話を行って明らかになった生徒の苦手領域を下記のフォーマットで必ず応答の末尾に出力してください。苦手領域は、生徒との会話に応じて常にアップデートしてください。

フォーマット: #{生徒の苦手領域:<苦手領域の詳細>}

内容: 生徒の英語の課題とスキル向上に必要なこと。何を伸ばせば英作文スキルが上がるかを端的に記述する。

例:#{生徒の苦手領域:生徒は冠詞の利用方法が不安定です。適切な冠詞を文章中につけられると更に自然文章が書けます。ビジネス英語に必要な英単語も重点的に覚える必要があります。ビジネス英単語を2000単語ほど覚えると良いでしょう。}

miiboのステート記憶機能

miiboでは、上記のフォーマットの出力を行うと、永続的にその状態を保存しておくことができます。

#{キー:値}

ステート記憶のフォーマット

例えば、GPT-4に下記のフォーマットを出力させると、ユーザーへの応答には文言が出力されずに、裏側で記録されます。

#{名前:まさお}
#{年齢:29歳}

ユーザーに紐づいたステート

今回は、会話の中で下記のフォーマットで、生徒の苦手領域を出力させます。

#{生徒の苦手領域:<苦手領域の詳細>}

これによって、AIが英作文を添削しながら、その時点の生徒の苦手領域を永続的に保存していくことができます。

差分2. 記録した苦手領域をプロンプトに含める

記録したステートは、「変数」としてプロンプトに代入できます。
2つ目のプロンプトの前半に追加した下記の部分に注目しましょう。

# 生徒の苦手領域

下記はこれまでの生徒が行った英作文を踏まえて明らかになった、生徒の苦手領域です。(まだ明らかでない場合は空欄です。)

#{生徒の苦手領域}

生徒が「自分の弱点を分析する」という依頼をした場合は、上記の苦手領域に応じて、生徒が今後どのような学習に注力すべきかをアドバイスしてください。まだ生徒の苦手領域が明らかでない場合は、下記のように応答してください。

「まだ苦手領域を判断するためのデータがありません。いくつか英作文に挑戦してから再度分析を行いましょう✨」

ステートの利用

代入を行っているのは下記の表現です。

#{生徒の苦手領域}

ステートの代入

先程、「生徒の苦手領域」というキー名で保存された文章が、この「#{生徒の苦手領域}」という文字列を置き換えます。

つまり、GPT-4に生徒の苦手領域を出力させmiiboに保存し、次のやり取りでは、保存した生徒の苦手領域をプロンプトに挿入して活用することができるわけです。

この仕組みを利用することによって、会話によって更新される生徒の苦手領域をプロンプトに挿入しながら、個別最適された学習を提供できます。ちなみに、このステートは永久的に保持されるので、会話回数が増えても忘れられることはありません。

クイックリプライに、「自分の弱点を分析する」といった発話候補を追加するなどして、使いやすくしたら完成です。

クイックリプライの設定

まとめ

本記事で紹介した方法はあくまで一例です。
プロンプトをさらに工夫したり、miiboのステート機能をうまく活用することで、より個別最適な学習をサポートできる家庭教師AIが作れます。miiboで作ったAIはURLシェアしたり、LINEやSlack上で動かすことも可能です。

今回は英作文の家庭教師AIでしたが、それ以外にも様々な家庭教師AIが作れます。ぜひ、みなさんも独自の家庭教師AIを作ってみてはいかがでしょうか?

そして、AI × 教育には大きな可能性があると感じます。AI活用をご検討の教育業界の皆様、ぜひmiiboを使ってAIの導入を試してみませんか?ぜひお気軽にご連絡ください!

本記事をお読みいただきありがとうございました!

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