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脱線のループ 著: 茶藤自微手


本編

第1幕

Z氏は朝の通勤電車に身を委ねていた。彼の目は窓の外に注がれ、街の風景が流れていくのを眺めている。電車のアナウンスが静かに流れる。

「次は、桜田駅。桜田駅です。」

彼は軽くうなずき、本に目を戻す。しかし、数分後、再び同じアナウンスが耳に入る。

「次は、桜田駅。桜田駅です。」

Z氏は顔を上げる。外の風景は変わらない。彼の目は疑念で曇る。

――「次は、桜田駅。桜田駅です。」

再び同じ言葉。彼の心臓が速く打つ。アナウンスはループしている。他の乗客は無関心で、彼らの日常は変わらない。

――「次は、桜田駅。桜田駅です。」

Z氏は立ち上がる。彼の目は疑問でいっぱいだ。電車は何度も同じ駅間を繰り返している。時間は進んでいるはずなのに、風景は変わらない。

彼は窓の外を凝視する。同じビル、同じ看板、同じ木々。彼の心には恐怖が広がる。このループは何を意味しているのか?そして、なぜ彼だけがこれを感じ取るのか?

アナウンスは続く。

――「次は、桜田駅。桜田駅です。」

彼の決意は固まる。この繰り返しから脱出しなければならない。何かを変えなければ、彼はこのループに永遠に囚われる。

第2幕

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は電車の窓から外を見つめていた。窓の外の風景がループするたびに、彼の心の中で何かが切れる音がした。

次は、桜田駅。桜田駅です。

彼は立ち上がり、電車の中を歩き回り始める。乗客たちは彼の異変に気づき始める。彼の目は野生の動物のように燃えていた。

次は、桜田駅。桜田駅です。

突然、Z氏は大声で叫び始める。「私はこのループから抜け出します!」と。乗客たちは驚きと恐怖で彼を見つめる。

次は、桜田駅。桜田駅です。

彼は電車の非常用ハンマーを手に取り、窓ガラスに向かって振り下ろす。ガラスは砕け散り、冷たい空気が車内に流れ込む。乗客たちは慌てふためき、電車の中は混乱に包まれる。

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は窓から外に飛び出し、線路沿いを走り始める。彼は自由を求め、社会のルールや制約から逃れようとしていた。彼の心には、もはや恐怖や不安はなかった。ただ一つ、自分の人生を自分の手で切り開くという強い決意があった。

第3幕

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は線路沿いを必死に走っていた。彼の足音が硬い線路の上で響く。背後には破壊された電車が静かに佇み、他の乗客たちの叫び声が遠くに聞こえる。

次は、桜田駅。桜田駅です。

彼は走りながら考えた。今までの人生は何だったのか。ループする電車の中で過ごした時間は何を意味していたのか。彼は自分自身を見失いかけていた。

次は、桜田駅。桜田駅です。

しかし、今彼は違った。彼は自由を手に入れようとしていた。彼の心は明確な目的に向かっていた。社会の枠を超え、自分だけの道を切り開くこと。

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏はついに、ループの終わりにたどり着いた。駅のホームには人々が驚いた表情で彼を見つめていた。彼はホームに上がり、深呼吸をする。彼の心には、これまでに感じたことのない清々しさが広がっていた。

次は、桜田駅。桜田駅です。

しかし、それはZ氏にとってはもう過去のことだった。彼は新たな人生への一歩を踏み出していた。社会的な規範や期待から解放され、彼は自分だけの道を歩き始める。もはや彼にとって、ループする電車はただの遠い記憶に過ぎなかった。

第4幕

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は新しい自由を手にしたと信じ、街の中を歩き始めた。彼の心は興奮と期待でいっぱいだった。しかし、彼の行動が社会に与えた影響は、まだ彼自身が認識している以上のものだった。

次は、桜田駅。桜田駅です。

ニュースでは「電車破壊犯」として彼の行動が報じられ、人々は恐怖と不安を感じていた。彼は、自分の行動が引き起こした混乱に気づき始める。しかし、彼の心は自由への欲求によって曇り、その重大さを完全には理解できていなかった。

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は自分が社会的な規範を完全に破ったことに自信を持ち始める。彼は周囲の人々の反応を無視し、自分だけの世界に没頭する。しかし、その結果、彼はますます孤立していった。

次は、桜田駅。桜田駅です。

彼の周りの人々は彼から距離を置き始める。友人たちは彼との関わりを避け、家族も彼を理解しようとしない。彼の行動は社会からの孤立を深めることになった。

次は、桜田駅。桜田駅です。

ついに、Z氏は自分の行動の真の結果に直面する。彼は社会からの拒絶を感じ、深い孤独と絶望の中に沈んでいく。彼は自分の人生を思い通りに操れると信じていたが、実際には自らを破滅へと導いていた。

次は、桜田駅。桜田駅です。

Z氏は一人、街の中を彷徨い続ける。彼が探していた自由は、孤独と絶望の中で失われていた。彼は自分の選択によって、自らの世界を壊してしまったのだ。

茶藤自微手 あとがき

この物語は、個人主義と自由への渇望がもたらす複雑な影響を巧みに描いています。Z氏のキャラクターは、社会的規範との対立を背景に、独自の道を模索する過程で生じる内面的な葛藤が鮮明に表現されています。彼の行動による破壊的な結果は、自由への探求が時に予期せぬ代償を伴うことを示唆しており、深い印象を与えます。

また、電車とそのループするアナウンスを用いた表現は、Z氏の心理状態と社会的ループからの脱却を象徴しており、読者に強い臨場感と緊張感を与えます。物語全体を通じて、Z氏の決断、行動、そしてその結果に至る過程が、読者に深い思索を促すような内容になっています。

総じて、この物語は、自己実現と社会的規範との間の緊張関係、個人の自由の追求がもたらす可能性とリスクについて、鋭い洞察を提供しています。読後感は深く、物語のテーマとメッセージが心に残ります。

まとめ

そういうわけでChatGPT4に小説を書かせてみました。
本題はその創作過程の試行錯誤なので、会話のログを貼ろうと思ったんですが、

Z氏大暴れ問題

主人公の行動にインパクトを出そうと色々指示していたらコンテンツポリシーにひっかかったようです…
お話だから!有害な行動を戒める話だから!!ってフィードバックを送りましたが、通るかはOpenAIのみぞ知る…

肝心の内容ですが、退勤時間の数十分で素人が書いたにしてはそこそこですが、
短編のキモだと思ってる緩急が弱く、表現に統一感がないため読者の没入感を損ねています。
アナウンスを象徴的なフレーズとして利用しているのは理解できますが、機械的にリピートされており主人公の心情を反映しておらず、役割がぼけてしまっています。

通気電車でループに囚われる発想は汎用性が高そうなので評価したいところですが、これは8番出口を元に自分が考えたアイデアなので、ChatGPTの創造性はかなりちゃんとプロンプトを練り込んであげないと最頻値に辿り着くようです。

始まりのアイデア

とはいえ、このレベルのぼやっとしたアイデアからここまで小説のフォーマットになるのは結構面白かったので、これはChatGPTがどうこうより手綱の握り方のような気がします。

ChatGPTと会話することでアイデアが整理され、結果的に良いアイデアが思い浮かぶケースは多いので、そういう用途としては特に何も工夫しなくても有効ということが今回の知見でしょうかね?

そういうわけで、茶藤自微手先生の次回作にご期待ください。

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