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誰も予想しえなかった1億円超えプロジェクト 2Way完全ワイヤレスイヤホン【Kpro01】成功の秘訣

応援購入総額が1億6000万円を突破し、Makuake Of The Year2020 GOLD賞を受賞したプロジェクト『有線・無線を切り替え可能!2Way完全ワイヤレスイヤホン「KPro01」』! スタート時の目標金額は300万円に対して、1万人を超えるサポーターから1億6000万円以上の応援購入が集まりました。

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声優でありオーディオマニアの小岩井ことりさんを開発リーダーに据え、話題性は十分でした。それだけでなく、開発者やサポーターを巻き込む生配信や、こまめな情報発信、苦労をいとわない試作品の開発…。さまざまな要素や工夫が賭け合わさり、大きな成功につながったのです。実行者であるオウルテックの安藤省吾さんと、4年以上にわたり同社を担当しているマクアケのキュレーター藤下 奈緒美の対談で、成功の秘訣を解き明かします。

小岩井ことりさんがリーダーとなって開発がスタート

藤下:今回の大きな特徴は、声優さんでありながらオーディオマニアの小岩井ことりさんを開発リーダーとしたことですよね。

安藤:僕は昨年の4月からオーディオの広報と商品企画を担当することになったんです。オーディオはレッドオーシャンだし、コラボ企画はいろんなメーカーが出しているし、アーティストさんのお名前をお借りするようなちょっとやそっとのコラボ企画じゃだめだなと思っていました。いっそのこと製品企画から一緒に考えていきたいという思いがありました。

藤下:小岩井さんは、その点合致していたんですね。

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安藤:オウルテックという会社は、一般の方からはオーディオよりPC周辺機器メーカーという印象が強い。だから、雑誌『GetNavi』でコラムも書いているガチのオーディオマニアで、インフルエンサーでもある小岩井さんとコラボする必要があったんです。でも、最初は断られたんですよ。

藤下:コラボでは物足りなかったんですよね。

安藤:プロジェクトページにも書いていますが、小岩井さんは「アイドルグッズみたいなコラボ商品を作っても仕方ない」という考え。もっと突っ込んだこと、つまり開発がしたいとおっしゃってくださって。開発に入っていただくのは負担が大きいかなとは思いましたが、盛り上がるし、生きたストーリーができる。僕としては願ったり叶ったりでした。

藤下:開発はすぐに進んだんですか?

安藤:いや、実は納得してもらうまで結構かかったんです。開発したい商品アイデアがあるとは仰っていたのですが、聞いてもなかなか教えてくれなくて(笑)。小岩井さん自身も、これまで自分の欲しいイヤホンの開発をしたいと思いほかのメーカーに声をかけていたようなのですが、最小発注数量などの課題があり、作れなかったらしいんです。そこで「うちなら500個からでも作れますよ」と伝えたらやっと話してくださいました。

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藤下:一方で、社内的な許可は難しくなかったですか?

安藤:オウルテックは挑戦することに寛容な会社なので、特に問題はなかったです。Makuakeならリスクを最小限にして挑戦できるので、許可が下りやすい。リスクがあるとしたら、プロジェクトページの製作を外部に委託した場合に発生する30~50万ほどの製作費でしょうか。会社として、その部分は問題ありませんでした。

MMCXではなく2ピン+Type-Cを採用

藤下:小岩井さんのアイデアがあったということですが、それをもとにすんなり開発に入ったのですか。

安藤:ケーブルを取り外せて、有線でも無線でも使えるようにしたい、という小岩井さんのアイデアでした。小岩井さんは接続するコネクタの部分をMMCXという規格で提案してくださったのですが、最終的には2ピンを採用しています。

藤下:どんな理由で2ピンにしたのですか?

安藤:技術的で難しい話になりますが、まずMMCXは線が細くて不良率が高いと言われています。品質のコントロールが難しいんです。もう一つ、無線で使うためには充電が必要で、充電のコネクタを付けるにはMMCXでは実現できなかったという理由があります。今使っているのは、特殊4ピンという形状で、2ピンのコネクタと充電のコネクタを兼ねているんです。

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▲特殊4ピン

藤下:特殊なコネクタで充電もしているんですね。

安藤:Type-C接続で充電する仕様なのですが、そこも社内では反対意見があって。これまで、オウルテックではType-Cのイヤホンが売れていなかったんですよね。でもふたを開けてみたらこの人気。ニーズはあったんですよね。やってみなければわからないと思いました。

藤下:他にも苦労された点はありましたか?

安藤:何度もサンプルを作り直していることでしょうか。1回のサンプルに1か月くらいかかります。みなさんの意見を参考にしていろいろ変えていくわけですが、コロナ禍で部材が手に入らなかったり、サンプルが遅れたりといった支障が出ました。今もなお苦労の連続で、7月だったお届けが10~11月ごろになってしまう予定なんです。

藤下:支援者の皆さんには温かく待っていてほしいですね!

挑戦の場にMakuakeを選んだ理由

藤下:改めて、Makuakeを選んでいただいた理由を教えてもらえますか。

安藤:日本なら、Makuakeさんが一番だと思っています。ちゃんと広報チームがいるのが大きいですね。メディアへの露出を担ってくれるので助かっています。Makuakeさんで露出ができなかったら自分でやればいいので、2段構えができますよね。また、藤下さんとはツーカーですから。

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藤下:もう4年になりますね。私、安藤さんの感情の起伏に合わせているつもりなんです。

安藤:僕のわがままを聞いてくれて、上手く転がしてくれていると感じます。

藤下:安藤さんが快適にやっていただけるようにしているだけですよ。

安藤:ちょっと試しに無理難題を言ってみると、いつも「ダメ」って言われますね(笑)。僕は友達だと思っているからすごく話しやすい。上手く受け流してくれるんですよね。

藤下:わかっていただいていましたか。受け流していることを(笑)。

安藤:まじめな話をすると、前半と後半でページ構成を変えましたよね。前半は小岩井さんメイン、後半はプロダクトメインにしました。その際には、藤下さんに意見をいただきました。また、マクアケ内の様々な人を動かしてくれたのは藤下さんの功績だと思います。

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藤下:正直、ここまでの応援購入総額が集まるとは思いませんでした。社長の中山や、オーディオに詳しい社内のメンバーにも聞いて「すごいプロジェクトだからしっかりフォローしよう」と言われたんです。

安藤:そもそも300万円をゴールに設定して、500万円に到達できればいいな、と思っていたくらいで。

藤下:私も1000万円ですら予想していなくて…。それなのに初日から3000万円も集まりましたよね!

安藤:それが最終的には1億6000万円を超えましたからね。先日開催されたMakuake Of The Year2020 でもGOLD賞をいただいて、本当に苦労が報われたと思いました。

友達になればいろいろなことがうまく行く

藤下:応援購入総額が伸びるにしたがって設定していた、ストレッチゴールを達成したことでアプリ開発もすることになりましたね。

安藤:7000万円到達でアプリ開発をすることになり、システム音声を担当してくださるFREE☆STARという5名の声優さんを小岩井さんが連れてきてくださった。小岩井さんと共同開発したおかげです。

藤下:そうした話題性も手伝い、1億円まで伸びたんですよね。

安藤:もともとはリアルイベントを開催してお客さんに音を聞いてもらい、拡散してもらって流入につながるという予定でしたが、コロナ禍でそれができなかった。その分予算を生放送に投下し、ライブコマース的な盛り上がりを演出することができました。活動報告も、今までよりこまめにコミュニケーションするよう心がけました。

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藤下:安藤さんの活動レポートはうまいですよね。途中から「アンディ」って改名したのも話題でしたよ!

安藤:社内での通称がアンディなので……。同僚にも「こんなにマメに返信する人いないよ」という評価があったみたいです。ちょっと余談になりますが、オウルテックはJリーグの横浜F・マリノスのメインパートナーなので、個人的にTwitterで横浜F・マリノスサポーターアカウントを作り、日頃からサポーターの方々と絡んでいるんです。小まめなコミュニケーションを重ねるうちに800フォロワーくらいになりました。その経験が活きていますね。

藤下:すごい。有名人じゃないですか。

安藤:友だちになればいろいろなことがうまく行く、という実感です。それを今回のプロジェクトでも活かせたと思っています。友だちがMakuakeを実施していたら応援しますよね。そういう感覚でいてもらいたいと思うんです。

藤下:まさに応援購入そのものですね。モデルケースになりますよ。

安藤:ありがとうございます。今後も、友だちのような感覚で付き合ってもらえたらいいなと思っています。

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▲息ピッタリの二人。一緒にオウルテックポーズ!

◎株式会社オウルテック 企画部 広報 安藤 省吾

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1978年生まれのA型、身長179㎝、23歳で単身オーストラリアへ留学し26歳からスマートフォンアクセサリー業界に入り、同業他社への転職を繰り返してオウルテックは4社目。クラウドファンディングは前職から挑戦を続けています。
趣味は、バーベキューとキャンプなどアウトドア系。自宅は365日バーベキューができる環境を選んで建てた程のこだわりがある。
商品企画に携わって15年目。前職から広報も担当し世の中の事象や商品をどのように伝えるかを意識したものづくりを心がけています。

株式会社オウルテック
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安藤 省吾
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文:栃尾江美