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今年最後の札幌駅前読書会@作文教室ゆう 筒井淳也『仕事と家族』(中公新書)

今年最後の札幌駅前読書会(作文教室ゆう主催)が先日行われた。コロナ禍でなければ、終了後に各自持ち寄りかデリバリーで軽くおつまみや飲み物(お酒)を用意して忘年会っぽく打ち上げを予定していたのだが、そういったお楽しみは残念ながら中止(涙)。いつもと同じように読書会の形式のみとなった。今回で87回目の開催、課題本は筒井淳也『仕事と家族』(中公新書)である。書店の働き方改革に関するフェアで、よく平積みされている本である。近所の大垣書店で在庫があったので、そこでゲットした。初版は2015年5月だが、4年半経った現在も有効な示唆にあふれている。

内容としては、大きな政府と小さな政府の代表とされるスウェーデンとアメリカの分析を中心に据えつつ、そのどちらにも属さない日本においては、「大きな政府vs小さな政府」という対比構造に当てはめてどちらかを参考にすることは全く役に立たないことが強調されている。

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参加者から出た感想としては
・前半部分の分析がわかりにくい。
・第5章で描かれる夫婦間における家事分担の心理分析は非常に秀逸。
・閣僚や経団連のメンバーに女性がほとんどいない。
・女性政治家も少ない、
・菅総理もアメリカのバイデンも(トランプ大統領も)社会のトップに就いているのが高齢の男性である。若いトップは出ないのか?
・日本の「メンバーシップ」型雇用による弊害が大きい。「ジョブ」型雇用を増やすべきではないか?
・女性が働く方が幸せという価値観はどうなのだろうか?→個人の価値による。
・同棲の場合、同居人は「ペット」的な扱いに等しいため、公的な手続きによる恩恵が全く得られない。
・同棲でなくても、コミュニティ的なメンバーで「家族」になれる方法はないのか?→『万引き家族』のような問題が起こる可能性もある?

・・・などなど、いろいろ盛り上がった。

深刻なのは、政界でも経済界でも要職に就いている女性の数があまりにも少ないことであろう。男性政治家が多いのは、女性もまた「おっさん」に投票しているという現状がある。また、政治家志望の優秀な女性が立候補したとしても、女性の支持を集めるかどうかはまた別問題だ、という意見が女性参加者から出た。これは男性だと全く気がつかない視点であった。

また、2106年頃に話題になった、神奈川県による「女性が、どんどん主役になる」というポスターの言及がなされた。

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「女性が、どんどん主役になる」と謳っていながら、スーツを着た高齢のおっさん達がずらーっと横一列に並んでいる構図は、ツッコミどころが満載である(本当の意図は別の所にあるようだが、このポスターでは全く伝わらない)。将来的には「女性が進出する」といったスローガンやポスターが登場しなくなるくらい、女性の進出が当たり前になる世の中になれば問題ないわけだが、そんな世の中をどうやって作れるか、本当に難しい問題である。制度に依存しなくてもいい仕組みを、という意見に、一同が大いに頷いた会であった。

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