読書会@狼スープ
読書会には2種類のフォーマットがある。本を紹介し合うタイプと、課題本を設定し、内容をディスカッションしたり、じっくりと読み込むタイプの2種類だ。どちらもそれぞれの面白さがあるが、共通しているのは、主催者の本への愛や人柄、ファシリテーションの力量がそのまま面白さに反映されることである。結局は内容よりも、主催者と集まる人の相性の方がはるかに重要でもあったりする。
そういうわけで、主催者の本への愛が半端ないSさんが開催する本の紹介型の読書会に、月に一回参加している。今回はレギュラー参加者の一人、Kさんが東京へ異動することになったため、送別会を兼ねて、読書会が中島公園近くの狼スープにて行われた。もちろん、新型コロナ対策を徹底して行ったのは言うまでもない。
元気が出る本を、というSさんからのリクエストに応じて紹介したのが次の2冊である。
渡辺一史『北の無人駅から』(北海道新聞社)
ROLAND『俺か、俺以外か』(KADOKAWA)
『北の無人駅から』はJR北海道にある無人駅にいくつか焦点を当て、そこにまつわる人を取材した骨太のノンフィクションだ。北海道の辺境でたくましく生きる人たちの歴史と棟を揺さぶる熱い物語に感嘆のため息が出る。Kさんが埼玉出身であるため、北海道ゆかりの本を読んで欲しいという意味でも、推薦図書に挙げた。
もう一冊は、新宿歌舞伎町のホストにとどまらず、サッカー解説やNHKの番組コメンテーターに到るまで八面六臂の活躍を見せているROLANDの初著作『俺か、俺以外か』。
彼の破天荒な自己肯定感から紡ぎ出される言葉は、天才的なコピーライティングの技術が遺憾なく発揮されている。どのページを開いても、ポジティブな気持ちにさせてくれる言葉が満載だ。
これまでこの読書会でブームとなったのが、平野啓一郎『マチネの終わりに』や渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ』である。共に映画化される前に紹介したところ、面白そうだということで、参加社のほとんど全員が後に「読んだよ♪」と報告してくれた。一方的に紹介するだけではなく、仲間内での「ブーム」を作り出すことが大事なことだと思う。
Kさんは、札幌に転勤してきた当初、「おまえは新しい土地に来たから友達にないだろ。だから読書会に出ろ」と上司に言われて、「読書会????」とはてなマークが飛び交ったが、読書会に出ることで読書の面白さに目覚め、小説を中心に読むようになり、今では本棚がパンパンに溢れるほどの読書家に変貌した。それも、作者を応援するために、古書店ではなく新刊本で買うことにこだわっているという。こういう若い人が一人でも増えると、日本経済も大きく立て直るのではないかと思う。
まず書店が潤うことで出版業界が活性化する。なによりも読書で培われた読解力によって、仕事への波及効果も表れてくるだろう。将来はとても有望で、再会する日がとても楽しみだ。
最後に店主からお土産をいただいた。こういう心遣いができる店主の気持ちが、おいしいラーメンをさらにおいしくするのだろう。
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