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座右の書「貞観政要」 出口治明

【印象に残った文章】

・「ここからここまでは、自分で決めていい」と権限を与えて部下に仕事を任せたのなら、たとえ皇帝であっても、部下の決定に従わなければなりません。

・太宗は、臣下の諫言を積極的に受け入れ、彼らの批判に耐えることで、自らを鍛え上げていきました。

・理想を「演じ続けた人」は、やがて本物になる

・組織はリーダーの器以上のことは何一つできない。

・何もしなくても組織が成り立つのは、適材適所に人を配置できている証拠

・今、どの方向に風が吹いているか、社会がどの方向に変化しているかを見極め、その変化に適した人材に任せる。適材適所に人材を配置し、チームとしてのパフォーマンスを上げる。それが上司の機能です。

・強い組織を作るには、上司も部下も、君主も人民も、与えられた役割に注力すべきです。人間にはそれぞれ、組織上、仕事上の本分があります。自分の本分でないことには手を出すべきではありません。・・・「権限を与えたら、あとから取り戻すことはできない」「上司といえども、部下の権限を代行することはできない」という権限の感覚

・見たくないものを見ないのは、人間に備わった自衛の手段かもしれません。なぜなら、見たくないものを見なければ、それはなかったことと同じなので、心の平静を保つことができるからです。

・上に立つ人には、自分がやるべき仕事の範囲を把握する能力が必要です。これも重要な権限の感覚、秩序の感覚のひとつです。

・リーダーには、相性の悪い人、嫌いな人、厳しいことをいう人の意見にこそ耳を傾け、それを正面から受け止める姿勢が求められているのです。

・上に立ったら、わがままをいってはいけません。我慢しなければいけません。そして節度を持って、権限を正しく使わなければいけません。

・君主と臣下を対等に考えていて、部下に直言させる以上は、自分も我慢するのは当然だと考えていたのです。

・部下は、上司の表情を見ています

・部下は、上司の言動に影響されます。だから、上司はいつも鏡を見て、元気で、明るく、楽しい顔を見せることを心がけるべきです。

 ⇒身に覚えあり。ずっと上司から愚痴を聞かせられていたので「上には上がりたくない」という感覚が染みついてしまっている。この感覚を自分で破らないといけないのも癪だし、良いことは確かに一つもない。自分がもし上に立つことがあれば、強く心に留めていたい。

・将来を想像するには、過去の事例をたくさん勉強するしかありません。過去のケースを知っていれば、今の状況と照らし合わせながら、将来を類推することができます。

・ころころと意見が変わるリーダーは決して部下から信用されません。口に出す前に集中して深く考える。自分の言葉によって引き起こされる事態を想定して、その準備や覚悟ができているかを自分に問う。一度口にしたことには徹底して責任を持つ。そしてあとから意見を変えない。

・目先の小さな利益に目がくらむと、大きな利益を失う。

・時間軸を正しく設定するのも、リーダーの重要な役割のひとつです。

・「人間はちょぼちょぼであり、どんな人間にも欠点がある」ということがわからない人が上に立つと、思いやりを欠き、まわりは息苦しくなってしまうばかりです。

・「熟考して任せて」いないから心配になる

・何事であれ、アウトプットをするときは、メモを取ってキーワードを残すより、文章にしたほうがいいと思います。文章に書き起こし、一つの文脈として覚えたほうが、記憶に残りやすいのです。

・困難に遭ってはじめて、その人間の本当の価値、本当の強さ、意志や信念の固さを見分けることができるのです。

・名トレーナーは、担当した選手のタイプをよく観察しているので、個人の特性に合わせて、負荷のかけ方を変えることができるのです。

・君主が命令をしてもしたが行動を起こさないとしたら、それは、君主の命令の言葉に信念や誠実さがないからだ

・上司が本心から「これをやりたい」と思い、自分の信念から発した指示であれば、部下には必ず伝わります。部下は上司の信念に応えようとするでしょう。

・どんな部下でも信頼したほうが得だと考えています。仮に裏切られたとしても、信頼したこちらが悪いと割り切ればいいのです。「先に自分からギブをして、テイクがいくつか取れたら御の字。世の中には本当に悪い人はそうはいないので、上司が部下を本気で信じたら、相手の信頼も育ってくるだろう」と楽観的に考えています。

・部下が自分のことを信頼してくれているから、自分も部下を信頼するのではありません。順番が逆です。上司が部下を信頼するから、部下は上司を信頼してくれるのです。

・何か物事を決めるときは、感情をベースにしてはいけません。数字・ファクト・ロジックで正しいと思うことを、嫌われようが文句をいわれようが、きちんと主張すべきです。

・少数精鋭という言葉は、優秀な人を少数集めることではありません。「少数だからこそ精鋭になる」という意味だと僕は考えています。

・「人生意気に感ず 功名誰かまた論ぜん」(人生は相手の心意気に感激して行動するもので、鉱石や名誉などは問題ではない)


【感想】

 結局のところ、「本の読み方」は「人それぞれになる」と感じました。「人それぞれでよい」というよりも、「人それぞれになる」の方が、今の感覚にぴったりな気がします。

 その人の置かれている状況によっても、同じ本から受け取る印象はかなり異なりますし、まして同じ人生を歩む人はいないのだから、どう読んでも「人それぞれになる」のだと思います。

 私は短絡的な「答え」を求めて読書を始めていたことにも気づきました。早く今の悩ましい状況から抜け出して、また何も考えなくてもある程度うまくいく状況になればいいなと思っていました。

 しかし、読書の習慣がある程度身についてきて思うのは、読書によって即効性のある「答え」は得られない、ということでした。いろいろと本を読み進める中で「自分の考え」のようなものが少しずつ幅広くなっていく感覚があります。人生をかけてその領域を大きくし続けることが柔軟に社会の中で生きていくのに必要な要素の一つなのかと思っています。

 その時その時の自分の心に響いた文章を大切に吸収しながら、自分の思考の幅を広げていこうと思います。


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