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早く正しく決める技術 出口治明

【印象に残った文章】

〇「新しいことをやる」ことは、「既存勢力に嫌がられる」ことと同義です。既存勢力に嫌われるのがイヤなら、新しいことをやらなければいい。どちらもうまくやるなんて絶対に不可能です。世の中「いいとこどり」はありえません。トレードオフです。

〇何事であってもきちんと数字にあたり、ファクトを元にロジックを組み立てていくことが大切です。

〇元データにあたるクセをつける…ニュースではこう言っていたが、本当にそうなのか、海外と比べるとどうなのか

〇複数のデータにあたり、比較など辛抱強い作業を通じてはじめて事実が見えてくるのです。

〇提案が簡単にひっくり返されるのは、皆さん自身の土台がグラグラしているからです。…しかし、ほとんどの人は、「一般的な社会常識と思われていること」や「過去の実績」「周囲の人の意見」といったところをベースに考え始めてしまいます。

【感想】

 ちきりんさんの「自分のアタマで考える」をはるか昔に読んだ記憶がすこし呼び起こされました。読んだときは「よし、自分で考えるぞ!」と意気込んでいたのに今の今まで感情に流されていろいろな決断をしてきたなと反省です。

 数字・ファクト・ロジックを使って考えることの重要性を最近よく感じています。きちんと元データの情報を自分で取得し、その情報をまとめているとその過程でこの社会を取り巻く状況が少しずつ見えてくる感覚があります。今は論文を書こうとしているのでそういう機会に恵まれましたが、もしその機会すらなかったら今までと同じくメディアの言っていることをそのまま「事実」として受け入れていたんだろうなと思います。

 出口さんの本を読んでいると、今の時代は恵まれていることがよくわかります。歴史的にみてもまだまだ豊かな時代ですし、人口減少や少子高齢化などの「悲観的」な社会状況であっても、やはりその前提は変わりません。ここ数百年で人間が爆発的に増えただけであって、かつ日本は戦後すぐに奇跡的な特需環境があったために経済を立て直すことができ、とにかく働けば給料が10年程度で倍々ゲームで増えていく時代が到来しただけのことであって、むしろその状況のほうが特異な状況だと学びました。

 「バブルおじさん」たちに「今の若いやつらはかわいそうに」と言われ、素直に「ああ、自分たち世代は、何も考えずに働けばよかった、ラクができていた人たちをさらにラクさせるために尻ぬぐいする世代なんだ」と思い込んでいたのですが、それはまさに時代の雰囲気に流されていただけだったことが今ならよくわかります。

 まだまだ数字・ファクト・ロジックをうまく操れていないですし、特に一次データを見て、「~ならこうではないか」などと仮説を立てるのは非常に苦手です。でも、今後の自分の人生に、この能力は必ず必要となることが分かりきっていますし、少なくとも今は喉から手が出るほど欲しいと思っている能力です。

 ニュースや友人同僚の会話などで「本当にそうなのか?」と思えるキーワードがあれば、それをきっかけにいろいろと調べて、数字・ファクト・ロジックを使った自分なりの仮説作りをやっていこうと思います。

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