おにちゃん

Not found

おにちゃん

Not found

最近の記事

乳白色♯1

私は白いものが好きだ。 白いワイピース、白いパンプス、白い鞄。白いものならなんでも買い、お金を注ぎ込んででもなんとしても書いたい衝動に駆られてしまう。 それほど白いものが好きだ。 だが、幼き時に目の前で白い綺麗な毛並みの飼い猫が白いワゴンに轢かれる場面を見てしまった。 戦慄が自分の中で走った。 その時から白いものは儚いものであり、生き物を殺すものであるという概念が私を支配し白が嫌いになった。 それから約十二年間私は白いものを見に纏うことはなくなり見ることさえ嫌になった

    • 『日が落ちて朝が来ない人の話』②

      翌日の朝七時。 「やばい。遅れる」 布団から飛び起き、準備をする。玄関を開け、一歩外へ出ると、普段とは違うような妙な感覚に襲われた。 外が暗い。普段とは違って、真っ暗でまるでまだ深夜のようだが、腕時計を見ると午前七時だった。 「どうなっているんだ」 斉藤は考えを置きひとまず会社に向かった。 会社に着くと、社員は半分しか出勤しておらず、その光景を見た部長も仰天していた。 「斉藤くん。これは一体どうなっているんだ」 「わかりません。とりあえず、来ていない後輩に電話してみ

      • 一輪花

        私にとっての生きがいは貴方だけでした。 毎日そばにいてくれて、 ずっと私を見てくれていた。 それなのに貴方は一輪の花と一枚の手紙を私の家の前に残して居なくなってしまった。何処へ行ってしまったのと毎日探しているけれど貴方は何処にも見当たらなくて。 私は毎日泣きました。 目に見えない貴方を思いながら、 止まらない滝のような涙を掬うの。 流れた涙が口に入って少し塩辛い。 口元を拭って貴方から貰った一輪の花を口に含むと、嗚呼、貴方の匂いがこの花に触れた貴方の皮脂が私の中に

        • 『日が落ちて朝が来ない人の話』①

          会社を出たのは二十二時過ぎだった。 会社に入る前は『会社は辛いもの』と考えていたが、今となってはもう有難いものに変わっていた。自分の頑張りがお金に変わりなんでも得ることができる。そんないいことはないだろう。 それに、最近やっとストーカー気味の元彼女と別れられたのだ。かと言って今もストーカーをしていないとは限らない。現に今も後ろの方で足音が近づいている。この足音がなぜ彼女ではないと言い切れるのだ。右手をスーツのズボンのポケットに入れ、その場に立ち止まり後ろを振り向く。 ほ