『日が落ちて朝が来ない人の話』①
会社を出たのは二十二時過ぎだった。
会社に入る前は『会社は辛いもの』と考えていたが、今となってはもう有難いものに変わっていた。自分の頑張りがお金に変わりなんでも得ることができる。そんないいことはないだろう。
それに、最近やっとストーカー気味の元彼女と別れられたのだ。かと言って今もストーカーをしていないとは限らない。現に今も後ろの方で足音が近づいている。この足音がなぜ彼女ではないと言い切れるのだ。右手をスーツのズボンのポケットに入れ、その場に立ち止まり後ろを振り向く。
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