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人との関係性の質が知覚に影響を与える、ということ。

今日は「近くにいる人との関係性の質が知覚に影響を与える」ということを学びました。後ほど社会心理学的な効果を確認した実験に関する言葉を引きますが、自分事に引き寄せて考えてみたいと思います。

私の場合は趣味で管楽器(サクソフォン)を演奏しますので、誰かと一緒に演奏している状況を思い返してみます。

所属している楽団で演奏する時と、一回限りで初対面の方達と演奏する時とでは、たしかに演奏の感覚が違うように思います。

所属している楽団で演奏する場合、少なからず演奏以外の時間をメンバーと過ごす中で、それぞれの方の人となり(性格、キャラクターなど)が見えてきます。

すると、一緒に演奏する時に「この方は、この箇所はきっとこう表現するのだろうな…」という予感、インスピレーションが降りてきます。

どこか緊張感はありつつも張り詰めていない、独特のやわらかい空気、自然と互いの息が合ってゆく力を生み出しているように思います。身体も適度にリラックスしている。

一方、初対面との方と演奏する時は「手探り」という表現が近いかもしれません。私の場合は、身体が緊張していると感じることが多いです。

そう思うと、一緒に時間を過ごす人との「距離感」や「関係性」が知覚に影響を与えるということの実感が湧いてきます。逆に考えると、「どのように物事を知覚したいのか(たとえば、味わいたいのか?)」に合わせて、一緒に時間を過ごす人を決めることも大切なのかもしれません。

シュナールたちは、傾斜の知覚における別の種類の非視覚的な影響を見出した。今回は、疲労や年齢といった身体的な効果ではなく、社会的サポートの有無という心理社会学的効果であった。参加者は近くに友人がいる状態で傾斜を推定するとき、もしくは横に友人がいると想像したときに、一人で立っていたり、自分にとって否定的な人や中立的な人が立っていたりする状態を想像したときよりも、傾斜を緩く推定した。

レベッカ・フィンチャー - キーファー『知識は身体からできている 身体化された認知の心理学』

過去の研究と同様、これらの効果は傾斜の言語的推定と視覚的推定で起こったが、触覚的推定ではみられなかった。身体的なコストが世界の知覚を調整するのと同じように、心理社会的資源も同様に知覚的判断に影響するのである。興味深いことに、関係性の質はこの研究における社会的サポートの効果に影響した。すなわち、友人関係の期間が長かったり、親密さや温かさがより強いと感じるほど、傾斜をより緩いと知覚したのである。

レベッカ・フィンチャー - キーファー『知識は身体からできている 身体化された認知の心理学』

シュナールたちのこれらの結果が示唆するのは、意識的な知覚はエネルギーコストや資源に依存し、心理社会的資源はそれらのエネルギーコストを相殺したり、補填したりするかもしれないことである。

レベッカ・フィンチャー - キーファー『知識は身体からできている 身体化された認知の心理学』

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