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モノの「声なき声」が伝わりあう

今日は、ジェレミー・リフキン氏(文明評論家・経済評論家)による書籍『限界費用ゼロ社会 - <モノのインターネット>と共有型経済の台頭』より「モノのインターネット」という一節を読みました。一部を引用してみたいと思います。

このような生産性の桁違いの飛躍が可能になるのは、現在姿を表しつつあるIoT(モノのインターネット)が、史上初のインフラ革命だからだ。
二〇一三年、その数は三五億を超えることになったが、さらに感心すべきは、二〇三〇年には一〇〇兆個のセンサーがIoTにつながると予想されていることだ。空からの測定技術やソフトウェアのログ、無線IC読み取り機、無線センサー・ネットワークといった他の検出装置なども、幅広い対象に関するビッグデータを集める助けとなるだろう。
そうなれば、企業はそのデータを高度な分析手法を用いて処理し、予想用のアルゴリズムや自動化システムを作って熱力学的効率を高めたり、生産性を劇的に上げたりバリューチェーン全体の限界費用をほぼゼロにまで減らしたりすることができる。
一〇年以内にインターネットに接続するデバイスが二兆個の域に達するには、各人が「インターネットにつながるモノを一〇〇〇個」持つだけでよいというのだ。経済が発展した国々では、たいていの人がおよそ一〇〇〇個から五〇〇〇個のモノを持っている。法外な数に思えるかもしれないが、自宅や車庫、自動車、オフィスを見回して、電動歯ブラシに電子書籍、ガレージドア開閉装置、建物の出入り用の電子パスといったものを数えてみれば、自分がどれだけ多くのデバイスを持っているかに驚くものだ。

IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノがインターネットにつながっている状態のことです。

モノ同士が直接つながるようになると、何が起きるのでしょうか。なぜモノはつながろうとしているのでしょうか。いや、なぜ人はモノをつなげようとしているのでしょうか。

「モノ同士がつながる」ということは、モノが自分の状態を察知してそれを他のモノに伝える、あるいは他のモノから情報を受け取って動作する。なんだか人と人の対話みたいだな、と思えてきます。

たとえば、人は体調が悪い時は「体調が悪い」と感じて熱を測ってみたり、休んだり病院で診察を受けたりして、体調を改善しようとします。その起点は「体調が悪い」と自分で感じること、です。

同じように、たとえばモノを長く使っていて擦り減ってきたとき、モノ自身が「調子が悪い」と思っていても今までは伝える術がなかった「声なき声」を「センサー」という感じる能力を使って自主的に測定、伝達することで、自ら必要なときにメンテナンスを受けることができます。

今ではモノが「どのような状態にあるか」を抽出する際は得てして人が介在していたわけですが、人の認知の限界や時間的な制約がある種の「摩擦」となって、モノの情報がなめらかになっていなかったのですね。

「あらゆるモノは流れやすくなっていく」

そのことをあらためて感じました。

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