成果発表公演「スケッチ」
雲が厚い。冬の空は見ただけで、冬ということがわかる。福井の空は厚いという話を聞いたことがある。昔を思い出すと、八戸の空も厚かった。
杞憂の語源である、中国の故事。空がいつか落ちてくるのではないかという。あれがちょっとわかるなあというくらいの空が重たい感じ。八戸も福井も同じような空かもしれない。
八戸の空を描いたことがある。
高校2年生の時、美術部に所属していた。友達もいないし、知り合いもいない。何故入ったのか思い出せない。そこで描いたこともない油絵を描いた。静物画で、油絵の道具の使い方などは、先輩が教えてくれた、か、見よう見まねで描いたか、あまり覚えてない。
ある日、夜の空を描いていた。黒で塗りつぶしていたのだが、そのとき、顧問だった年を召された先生が、夜の空と言ってもよく見ると黒ではない。青空が暗くなった色をしている。と、教えてくれた。なるほど、よく見ると青が黒くなったような色だった。後にも先にも、絵のことでその方から教わったのは、それだけだった。なんとなくいい感じの先生だなと思ったが、その年度末にはいなくなった。目の前にあるものをそのまま描くというのも、なかなか難しいものだと思った。
今、中高生と演劇ワークショップをしている。今月末に発表がある。彼らのありのままを出して欲しいと思っているが、なかなか難しいことをしてもらってるとも思う。とにかく、演劇というツールを使って、存分に楽しんで欲しいと思う。せっかく演劇に興味を持ってもらって、辛かったりつまらなかったら、もうやりたいと思わないだろう。失敗してもいいから、伸び伸びとやってくれたら、それだけでこちらは嬉しいのである。
あの頃僕が見ていた空と、今彼らが見ている空は違うんだけど、今の自分、今見ている風景をそのまま描くという行為を、同じ年でするんだなと。そう思うと少し嬉しくなる。
明日はみんなと会えるかな。
成果発表公演「スケッチ」
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※入場無料
《申込フォーム》
25日(土)19:00開演の回
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26日(日)14:00開演の回
bit.ly/3I4h9TD
公演詳細はこちら
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