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演劇ワークショップで遊ぶこと

福井県を拠点に活動している演劇ユニット「さよならキャンプ」の主宰をしている沼畑です。
演劇にまつわる様々なことをしています。その中でも最近増えてきたのが、演劇ワークショップです。一般の方向けに企画したり、中高生の参加者に向けて活動しています。

この演劇ワークショップですが、舞台に立ったときの声の出し方、発声方法、舞台上での動き方、体のトレーニング。そんなことを学ぶ場所とイメージされる方が多いかと思います。しかし、私たちが行っている演劇ワークショップは、それとは少し違います。やっていることは基本的に「演劇を使って遊ぶ」です。もちろん、演劇をやる上で、発声などは大事ですし、やった方がいいとは思いますが、特に演劇を始めたばかりの子どもたちや、興味あって初めて参加した大人でも、大事なのは「遊ぶ」ことだと思っています。

遊んでばかりいて演劇の役に立つの?と思われそうですが、僕としては遊んでばかりいた方が役に立つくらいに思っています。むしろ、現代は遊びが足りないことが問題とさえ思っています。どうして演劇で遊びが必要なのでしょうか。
現代は、A「常識、現実、真面目、実用、安心、安全、成功、道徳」これらを良しとして、職場や学校、家庭にいたるまで、とてもコントロールされた社会になってると思います。逆に、B「非常識、虚構、ふざけ、無駄、不安、危険、失敗、不道徳」から遠ざかるようになってきたように思います。コロナ禍もあり、普段会わない人たちと交流することがなくなると、ますますBは許されないものとなっていきました。
本来、私たちは遊びの中で、AとBの間を行き来していたように思います。そこで、たくさんの感情の揺れを感じ、たくさんの人に触れて、ものの良し悪しや、社会のことを自然と学んでいったように思います。遊びが、人を育てていると思います。
私たちのワークショップでは、Bが許された雰囲気の中で行っていきます。そうすると参加者は、恐れずに表現をしてくれます。元々楽しいことをベースとしているので、皆さんいきいきと活動してくれています。

演劇で遊ぶと、具体的にどういう効果があるでしょうか。
まず、楽しいことなので、もっとやりたいと、自発的に発言、動きます。主体性が生まれます。色んな人と協力していくので、多様性を知ります。インプロと呼ばれる即興劇をたくさんやっているので、相手の台詞を聞く力が伸びます。相手の台詞を聞いてから話すので、自分の言葉で相手に伝える力が伸びます。つまりコミュニケーション能力が上がります。などなど。
そう簡単にいくはずないだろうと思われるかもしれませんが、実際に参加してくれた人たちを見ると、明らかに変わったなあという人が多い気がします。もちろん、全員が変わるわけではありません。変わらなければいけないわけでもありません。
もっと言うと、私たちのワークショップが必ず正しいとは思っていません。ただ、演劇を使って遊ぶことで、得られるものがたくさんあると思っています。発声について考えてみたり、台本を書いてみたり、お客さんの前で公演をしたり。それらも、遊ぶ精神を忘れずに、これからもやっていこうと思っています。

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