前代未聞ジョーショーグン

 大学時代、友人のS君とC君と雑談していた時に、何故だか忘れたがロボットアニメの話になった。で、ロボットアニメのタイトルって、四文字熟語みたいのが頭についてるの多いよね、みたいな話になった。
 完全無欠、とか完璧超人、とか。では絶対タイトルにならなそうな四文字ってなんだ?という話になり、私が「前代未聞ってどうかな」と言った。前代未聞に弱いという設定のロボットなのだ。まるで勝てない。まるで勝てないのに、常勝ってついてたら面白くないか?という話になり、ついでだから将軍もつけてジョーショーグンてのはどうだ、わはは。と笑い合った。とても大学生の話題ではない。
 翌日である。
 S君がノートの切れ端を私に見せて言った。
「昨日の話さあ、おれ、感動しちゃって、歌詞書いてきたよ」
 なんとS君は「前代未聞ジョーショーグンのテーマ」を作詞してきたのである。

 確か、こんな歌詞だった。

 みたことない きいたことない
 前代未聞の この弱さ
 正義が力か 力が正義
 それなら弱いやつ 悪人か
 いったい誰が決めたんだ
 こんなヒーロー 見たことない
 いつかは決めるぜ勝利のVサイン
 前代未聞のジョーショーグン

 このS君の遊び心に私はいたく感心し、その晩、その歌詞に曲をつけて、テープに歌って吹き込んで、翌日、学校に持っていった。「作曲、してきたよ」S君とC君に聴かせた。C君はニヤリとして、「アレンジしてくる」と言った。
 翌日、いくつかの楽器がオーバーダビングされたテープをC君は持ってきた。我々はそれを聴き、にやりと笑った。
 こうして、存在もしないアニメのオープニング曲が完成した。
 大学生のやることか、微妙ではある。まあ今もあまり変わらないが。

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