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9月議会の一般質問と回答 vol.1

私が五城目町の2020年9月定例議会にて
一般質問した内容と答弁を記載しました。

今回は国際教育、農林業の若手育成、ICTによる地域医療・介護・保育の充実、地域図書室整備事業の4テーマについて質問しました。

量が多いので、3つに分けております。

Vol.1: 教育について(こちらの記事です)
Vol.2: 農業・ICTについて
Vol.3:  新しくできる図書室について

どのような質問・回答があるか、ぜひ御覧ください。

議会質問の流れ

1、質問の〆切。メールにて議員から議会事務局へ提出(9/1)
2、議会運営員会での確認のち、議会事務局より議員の各質問が、それぞれの担当課へ。(9/2)
3、担当課が、議員の質問に対しての回答を作成(9/2~9/8)
4、議会で議員が質問し、担当課もしくは町長が、あらかじめ作成した回答を答える(9/9)


質問(1)コロナ第2波によって国際教養大学(AIU)は後期も授業をオンライン中心に行っている。五城目小学校が連携している今年のAIUとの学びはオンライン中心に進めると思う。すでにあるPCタブレットを活用し、今後のGIGAスクール構想に向けた一人ひとりに向けた学びのきっかけにすべきと考えるが具体的な構想や目標設定などはすでに進めているか?

■前提■
五城目小学校でこれまで行われてきた国際教養大学と連携して進めている国際理解教育「五城目で世界一周」は文部科学省や内閣府などからも注目されている教育プログラムです。参考動画およびURLは下記から

回答(教育長/学校教育課)

教育長:現在、五城目小学校では、6年生が「広い世界へつなげよう」を単元として年間70時間の計画で総合学習を実施しております。年度初めの臨時休業などにより、計画を見直しながら進めているようですが、国際教養大との交流も新型コロナの影響により、中断を余儀なくされている状況にあります。
 これまでのように、対面での交流はできないことから、2学期からPCタブレット一人一台を活用し、オンラインで学びを深めることとしております。オンラインによる授業実施のために教職員も研修を深めており、今後の実施に向けて万全の態勢を整えつつあり、ICTの学びへの活用についての具体的な構想や目標設定について現在構想の段階にあります。
 今後、一人一台を活用して「すぐにでも」「どの教科でも」「誰でも」使えるICTを目指して、学校の取り組みを支援してまいります。

質問(2)世界一周の小学校の取り組みは素晴らしいと思うが、身近に海外の学生と日常的に学び合う機会をつくらない限り、単発のイベントで終わってしまう。コロナ禍の危機をチャンスと捉えてオンラインを用い、継続的な学び合いの機会を行う施策について教育委員会の具体的な考えを教えてもらいたい。
たとえば、TOEFLが61点以上(英検2級~准1級程度)あれば、オンラインで入学することができ、学費も4年間で40万円というUoPeopleという大学も存在する。このような学び方の先進事例を町民に知ってもらい、AIUの学生などとオンラインを用い共同で学び合うサテライト教室を図書室や公民館や馬場目ベースなどに設立するなど

■前提■
高等教育に進学する人口が日本でも増えているが、全世界的にそのニーズが増える一方で大学進学にかかる費用が全世界的に向上し、家庭の経済格差が子どもの学力格差・教育格差に直結するケースが増えています。

一方で五城目町の平均所得は、239万2554円で全国順位1741番中1619番目です(総務省統計資料 2019年)
この所得から考えて、秋田県全体の大学進学率は45%(2019年の都道府県別大学進学率)ですが、五城目町はさらに少ないと想定されます。
この状況下で、家庭の経済格差に寄らない学び方を作り出すことが五城目町の20年後を考えていく上で重要な指標となると考えられます。
そこで、下記URLにあるUoPeopleなどにオンラインで学びはじめる高卒生、社会人が増えるまちづくりを意識することも、「世界一子どもが育つまち」にとって必要な施策であると考えて質問を行いました。

■回答(教育長/学校教育課)

教育長:五城目小学校の6年生が「広い世界へはばたこう」をテーマに掲げ行っている総合学習は、子どもたちがAIUの学生との交流も含め楽しみにしている活動であり、互いの言語や文化、生活の仕方などに対する興味・関心を高めるうえで大きな成果を上げております。ただ、身近な海外の学生との交流や学びの機会が限定され、継続性がないのも事実であります。
 そこでご質問にある「コロナ禍における国際教育プログラムの充実について」でありますが、学校教育と社会教育の両面から検討の必要があると思っております。
 学校教育においては、ICTの学びへの活用により、たとえば外国語活動として、一人一人が海外の子どもやAIUの学生とつながり、本物のコミュニケーションにより、表現力や発信力を高めることができないか検討したいと思っております。
 社会教育においては、現在、生涯学習課が国際理解講座を行っておりますが、今後国際理解教育をさらに充実させるために、松浦議員のご提案である公共施設を活用してのサテライト教室の実施などについては、検討させていただきたいと思っております。
 教育委員会としては、グローバル人材育成のために、ICTを活用した交流の仕方や外国語教育など、子どもから大人まで一貫した教育プログラムを開発できないか、調査研究してまいります。

質疑を終えて感じたこと

今回の9月補正予算のGIGAスクール構想推進予算はタブレットPCおよびルーター機器購入などで6000万円程度かかります。しかし、その予算を使っての具体的な目標、イメージが議会にも町民にも共有されていないため、今回の質問を行いました。

その結果が上記の答弁です。予算を導入した結果の事業目標を教えてほしいと質問しても、検討してまいります。という返事でした。

上記の回答後に「検討が終わるタイミングがいつか、その目標に対するKPIはあるのか」と再質問をしました。しかし、教育長からは具体的な数値目標、KPIが出てきませんでした。
議会終了後、役場の別の関係者の方に聞いたところ、5年間程度の中期計画であればKPIがいくつかは出てくるそうですが、普段の予算付けにはまったく事業目標の数値がないそうです(目標数値設定の習慣がないとのこと)

目標数値がないとPDCAサイクルを回すこともできませんし、予算と数値目標の関係性についてレビューすることもできません。近隣市町村との比較もできないため、町政運営の効率、効果についての質問もできなくなります。

議員として質問をより具体的にしていくためにも、このKPIの設定を習慣化し、データに基づいた政策立案を町の執行部側が当たり前のようにできる状況を今後も毎回の質問で求めていきたいと思います。
また、KPIの重要性を伝える研修などへの職員の参加も促しつつ、カタチだけの職員研修ではなく本質的な研修内容になるような研修内容の改善も今後質疑していきたいと思います。

教育長の答弁の中で

これまでのように、対面での交流はできないことから、2学期からPCタブレット一人一台を活用し、オンラインで学びを深めることとしております。オンラインによる授業実施のために教職員も研修を深めており、今後の実施に向けて万全の態勢を整えつつあり、ICTの学びへの活用についての具体的な構想や目標設定について現在構想の段階にあります。


とあります。まずは前向きな答弁だとは思いますが、小中含めて教職員の研修内容のレビューも必要だと思いますので、新小学校がはじまった際にどのようなICTを用いた学びを具体的に各教室で実現していくのか。また、授業内におけるICTならではの活用方法を模索するプロセスもぜひ公開していってほしいと思います。
今後はコミュニティスクールにもなることから、授業づくりに町民の意見もどんどん反映してくことができます。私も微力ながらできる事があれば一緒に取り組んでいきたいと思います。

また質問にもあるように、高齢社会で人口減少した地域が高等教育を受ける機会として、UoPeopleなどを用いたオンライン学習のイメージが少しでも町民や教育委員会の中で共有され、学校現場でも反転学習やブレンディッドラーニングなどが理解されていく契機になってほしいと考えます。
教育移住層が関心を持ち、秋田県五城目町の社会的資源を有効活用していくは、五城目町が「世界一子どもが育つ町」になるために必要なキーワードになります。

公共施設を活用してのサテライト教室の実施などについては、検討させていただきたいと思っております。

この社会教育のサテライト化も検討結果がどのように進んでいくのかも毎回定期的に確認しつつ、教育委員会にも情報提供しながら今後も、地域まるごと学びの場になればと考えています。

なお、今回は一般質問の一文が前回よりかなり長くなっています。
前回の6月議会でも一般質問を行ったのですが、こちらからの質問内容が「五城目町の移住政策はどうなっているか」など一般的な事柄でした。
その結果、回答内容がすでに実施をしている事業についての一般的な返答しかありませんでした(本当は町独自の取り組みや方向性やKPIを明確にした返答が欲しかったのですがその回答がありませんでした)

そこで、今回は質問をより具体的に、かつ提言内容も踏まえて全文質問に記載してみました。(一般質問自体の質問ページ数は何ページになってもよいですが、持ち時間60分以内に収める必要はあります。今回、私は50分質問できました。コロナ対策のため換気時間の10分も考慮したのでちょうど良い時間配分でした。)

この再質問を含めた一般質問は、vol.2 vol.3に続きます。

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