帝国の要件
帝国というのは複数の民族で構成されていることをその要件とする。
英国は海外領土を現在も領有しており、そもそも四つの王国の連合王国である。また英国王はカナダ王でもある。英国王は英連邦の首長でもある。
チャールズ3世は皇太子時代はウェールズ王で、ウェールズ公と呼ばれていた。
そのような英国は帝国の要件を満たしており、その王位継承権第一位は王太子ではなく皇太子である。
同様にフランスも海外領土を有しており、選挙で大統領を選ぶ。
神聖ローマ帝国の皇帝はある時以降選挙で選ばれており、ハプスブルグ家もホーエンツォレルン家も皇室ではない。
つまり皇帝を選挙で選ぶことはある。フランスは皇帝の位置にある人間を大統領と呼んでいるだけでフランスも帝国の要件を満たしている。
アメリカもフランスと同じ要件を満たしており帝国である。
オーストリアはかつては複数の民族で構成されていた帝国だったが解体されて現在は帝国ではない。サラエボ事件で暗殺されたのはオーストリア帝国の皇太子でその当時オーストリアは帝国だったので皇太子と呼んだ。
ドイツは現在は複数の民族で構成されておらず帝国の要件を満たしてはいない。ドイツ帝国の時代は国内に複数の民族がいたので帝国だった。
トルコもかつては複数の民族で構成されていた帝国だったが解体されて現在は帝国ではない。
ロシアはロマノフ家断絶以後も帝国の要件を満たしているので現在でも帝国である。大津事件で襲撃されたニコライ2世は事件当時皇太子であった。
中国もロシアと同様の要件を満たしており現在も帝国である。
日本はというと呼称こそ天皇と、皇帝と同じ扱いだが歴史的にみて天皇が皇帝であった時代は大日本帝国時代だけでそれ以外の時代は王である。大日本帝国は複数の民族で構成されていたので帝国である。
日本の天皇が天皇と自称するようになったのは中国の冊封から出て独自の元号を使用してからで帝国を自称したわけでも皇帝を自称したわけでもない。天皇という名称は中国で北極星のことを指す言葉であったものを日本は王の対外呼称にしただけのことである。
歴史的に皇室とは呼ばず王家と呼ぶ。日本は帝国の要件を満たしていない。
現在の日本が天皇と皇室という名称を自称するのは帝国の要件とは別の大日本帝国の継承国家としての意味からのことである。
欧州とアメリカの帝国の要件を満たす国はローマの継承国家である。ローマの継承国家はキリスト教会のエリアで区分けされていて、オーストリア帝国はカトリックと東方正教会(オーソドックス)だがドイツはプロテスタントである。ロシアはオーソドックスである。カトリックは西ローマでオーソドックスは東ローマの系譜である。ロシアはオーソドックスを権威として継承したのであり、オーソドックスの領域であった東ローマはトルコ帝国に滅ぼされる。オーストリアの領域は旧のローマ帝国の領域からはみ出ており、オーソドックスの領域も帝国に組み込み成り立っていて、サラエボ事件はオーソドックスの領域のボスニアヘルツェゴビナで起きた。もともとオーストリア帝国になる前は神聖ローマ帝国の領域で神聖ローマ帝国の領域の外も帝国としてオーストリア帝国となる。
帝国かそうでないかは最初に述べたように複数の民族で構成されているかいないかである。
英国王はかつてインド皇帝だったので、現在もインドは英連邦ではあるものの帝国の要件を満たす帝国である。
皇帝の語源のカエサルは人名であり、カイザーもツァーもそれぞれドイツ語とロシア語になっただけのことである。
ナポレオンの系譜は1世は自ら皇帝となり3世はフランス皇帝だった。ナポレオン1世時代もナポレオン3世時代もフランスには複数の民族がいたので帝国の要件を満たしていた。
ローマ帝国は複数の民族で構成されていたので帝国であった。東西にローマが分裂したので東ローマ、西ローマとなっただけでどちらも時代が下って消滅する。
この記事は歴史的社会的に見てかなり偏狭な意見を述べており客観的妥当性を著しく欠く。本質に言及する時には客観的妥当性は必ずしも必要ではない。