サザエさんの日本人像

今日王将でだいぶんご飯を食べ残して席を立ったおっさんが居て、自分の食べる量の加減も出来ず、そのご飯になった生き物たちに謝らんかいと思ってこの話を書くことにした。

サザエさんの物語は東京に一家で移り住む前の小倉時代から語られる。
サザエさんで描かれる日本人像というのは、実は重大な省略のされているものである。
九州人は一般的に自分たちを九州人とは自称しない。日本人と自称する。
真善美を基調とする価値観というものを日本人像で描くということは実は一般的な日本人像の描き方ではない。一般的な日本人は偽りを纏い悪いこともするし醜いこともする。
サザエさんの物語の日本人は真善美で描かれていて、それは原作者の生活習慣がキリスト者のものに近いものだったからのようで、原作者の中に理想の日本人像があったらしい。
ある話でサザエは夕食の鶏鍋のために飼っていた鶏を絞める。ワカメがこの鶏はどうしたのと聞いたとき鶏を絞めたのとだけサザエが言って、一家は沈黙して夕食を食べる。
真善美で語るならば命を頂き食べるということを正確に描写することになるわけでそこを省略は出来ない。
九州人は早くからキリスト教に触れており禁止されても頑としてキリシタンだった人々も居て、九州人の文化で語る日本人像は真善美であることが多い。
サザエさんは九州人の物語なのである。