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大学構内でアオサギに出会った日

 5月4日がみどりの日という訳ではないが、鹿児島大学の植物園でミニ森林浴をしようと出掛けた。この植物園の歴史は古く、同大農学部の前身である鹿児島高等農林学校が開校した1909年に設置された。約1㌶ある園には、南九州から南西諸島の約250種の樹木が植えられている。絶滅が危惧されるハナガガシや固有種のケラマツツジなどの希少種もある。農学部の実習場だが、一般開放されているため市民の憩いの場にも。

 玉利(たまり)池の縁を通って植物園に向かった。私の学生時代は、この池の周りは大学祭の神輿(みこし)づくりの場所に使われるくらいだった。池の水も濁りきっており、水溜(た)まりの「溜まり」池と思うほどだった。十数年前から水抜き清掃をし、池を囲むようにベンチが置かれ、学生や教職員の親水性のくつろぎの場に変わっている。

 池を巡りながら、池に突き出た築山に鳥の置物が見えた。「これはいらないな」と思いながら見るとゆっくり動いている。本物の鳥だった。細長い首にグレーの胴体。90㌢くらいの体長なので小さなツル?頭部に長さ10㌢ほどの黒い冠羽が見えた。アオサギだった。

 飛ぶところを見たいなと思ったが、一動作をすると1分ぐらいそのまま。大声で通り過ぎる学生がいたが、まったく臆することなくじっとしていた。池にはウナギもいるので、その獲物をずっと待っていたのかもしれない。

 アオサギは甲突川では時々見かけるが、キャンパスの一角で遭遇するとは。自然のままの隣の植物園と池の再生で住みやすい環境になったのかもしれない。ミニバードウオッチングも楽しめたみどりの日だった。

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