所得連動課税条件付現金給付制度

「所得連動課税条件付現金給付制度」というアイディアがあることを知った。耳慣れない言葉だ。ふだん、いろんなニュースや投稿を見ているとき、記事のタイトルや本文で「所得」とか「課税」という文字があると、ほぼすべて無意識に反応してしまうクセがあり(笑)、今回もそうだった。そして、ほとんどの場合はそれが表すものについて想像がつくのだが、この「所得連動課税条件付現金給付制度」は、文字を見た瞬間にはその内容を想像することができなかった。

この記事だ。

わかりやすいことばで説明すると、少し長くなるが、こういうことだろう。
「お金が必要な人に、まずお金を渡す。ただ、渡してしまってそれで終わり、ということではなく、一定の時間が経ったあと、そのお金を返せるようになった人からは、お金を返してもらう。お金を返してもらう方法として、その人の所得に連動して計算した税をその人の所得税に追加して払ってもらうことにより、渡したお金を返してもらったことにする。」
このように、事後に「その人の所得に連動して」返してもらう金額を計算することによって、その人が、先に渡したお金を返せるようになったかどうか、またいくら返せるようになったかを判断することができる、ということだろう。

このアイディアは、オーストラリアの所得連動型学生ローンを基にしているようだ。オーストラリアの所得連動型学生ローンは、最初に大学に入った学生たちに、政府が学生ローンとして学費を立て替えて払う。そして、学費を立て替えてもらった学生が卒業した後、就職したり起業したりして高い所得がと得られれば、その人からは高い率で課税して追加で払ってもらい、政府が学生ローンとして立て替えた分を回収する。一方、所得が低い状態の卒業生からは回収をしない、あるいは低い率で回収する。その結果、その卒業生はそれほど政府に返さなくていいことになる。

形式としては金銭消費貸借で、返済を一定期間猶予し、その後の返済額・返済時期を所得に連動させるということだ。返済方法をどのように制度として仕組むか、いろいろ考えるところはあるけれど、おもしろい取り組みだと思う。

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