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 ウクレレ片手にジャズ小唄。

ウクレレが好きだ。それもウクレレの弾き語りがいい。
クリフ・エドワーズというアーチストを知ってから、ウクレレの弾き語りで歌われるジャズ・ソングを、俄然好きになった。

クリフは、1940年のディズニー映画「ピノキオ」において、ピノキオの友人、コオロギのジミニー・クリケット役を担当した声優さん。冒頭と最後に歌われる主題歌「星に願いを」を始唱した。

彼は、またの名をウクレレ・アイクという。その名の通り、ウクレレの名人だ。ウクレレ片手にさらっと歌うジャズ・ソングが、とにかくイカしてる。

そんなことからウクレレの弾き語りスタイルのルーツは、ウクレレ・アイクに違いないと思い込んでいたところ、先日、とんでもないことと知った。とある20年代のヒット曲のことを調べている際に、ふとこんな映像と出会ったからだ。

歌っているのはジョニー・マーヴィン。1920年代半ばから、20年余に渡って歌手として活躍した。26年からの3年間で、全米20位以内のヒットを16曲も放った。これは、1928年、全米18位のヒット「アイ・スティル・ラヴ・ユー」を歌う映像だ。ウクレレを巧みに弾きながら歌ったかと思うと、間奏になるとのこぎりを手に、流麗にメロディを弾いている。これにも驚いた。

どうやらウクレレの弾き語りは、必ずしもウクレレ・アイクがルーツだったとは言いがたいようだ。20年代には、その種のノヴェルティ・タイプの歌手や芸人たちが複数いたらしい。ポルトガルからの移民が持ち込み、ハワイで大きく花開いた楽器、ウクレレ。1920年代といえば、ハワイからのミュージシャンがウクレレやギターを手にアメリカでの公演旅行を始めてから、すでに3〜40年ほど経っている。なるほど、ウクレレはこの間に、アメリカ本土に相当に浸透したのだろう。

そんなことを思ったのも、この映像を見たから。歌うはウクレレ・アイク。美男美女のバックダンサー達に注目して、最後の最後までご覧戴きたい。ウクレレ・アイクの音楽は、ウクレレを手にする時こそ素晴らしいことも、改めて実感したのだった。


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