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2023年詩のまとめ

2023年、毎月詩を書きました。
ツイッターにアップしたもの、書いたけどどこにも公開していないもの、短編小説等色々書けました。

ここでは12作をまとめて公開します。


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きみがかわいい

きみがあんまり綺麗だったから、わたしはどんどん惨めになって
 
そんな事少しも知らないでいる泣き顔、ぶってしまいたい。
鼻血が出たなら絵の具にしてきみを描く。
 
でもきっときみには きみにしか知らない地獄を持っている。救えないなら一生きみの地獄になりたい。
わたしの地獄はきみでいっぱいで、今も増え続けている。
 
ねえ
いつまでも わたしの地獄に居てね。
 
いつかその場所で会えた時は容赦なく殴り合いましょう。
 
死んじゃうくらい。死んじゃってからも。


風、オムライスとペーパークラフト

様々な色のたくさんの点が
くっついて重なって混ざり合うだけの繰り返し。
一人一人のペーパークラフトにその繰り返しを垂らして色をつける。色をつけた気になる。
それでも着色すること、呼吸、食べかけのオムライス、時間の経過、止まない。
 
転がる石に苔は生えない。ってさ。
わたし達おんなじだよね。同じだったよね。
 
サーバーダウン気味のきみの声を撫でる。
 
いつか全部消えて灰になってしまう、らしいよ。
どう思う?
 
灰になったら、きみの点もペーパークラフトもわたしと混ざり合う。
本当の意味で、混ざり合う。
そのあと風に吹かれて もう
えいえんに会えないのね。


冬の散歩

君には触れた事がないから君はもしかしたら映像なのかも
コンビニの商品は触れる、ペットショップの動物には触れない。
空とか届かない所にあるものも映像、騙されないように注意
 
自転車で走る。風が冷たくて寒い、「さむい」と言ったら後ろを走る君も「さむい」と言った。
頬が赤くなっていた たぶん、そういう仕様。
 
缶のココア、冷えるのが早すぎる。
騙されないように気をつけている話と利き腕の反対の腕がボロボロでクレーターまみれだから月なんだよ、太陽を反射してしまうから半袖を着ないんだよ
冷えると味が変わるよね、ココア
 
君はそれはもう他にない位の、僕の利き腕の反対の腕が反射する位笑顔になって手袋をしたまま僕の頬に触れて「目まぐるしい自己愛だ!」 って言った。君はあったかかった。


緩やかな傷

恋人のその感受性の豊かさを羨ましく思う
 
だからわたしは音楽を聴いて
大事に至らない傷を作る
黄色の空が落ちてくる
 
噛みすぎたガムを味わう恋人よ
どうか消えずにいて欲しい
 
半透明になっても漂うわたしをゆるして欲しい
思い出の染みたあの服できっと次も輝ける


春の湊

徒花、って知ってる?
「アダバナ?」 咲いてすぐ散る花のこと。
「花なんてすぐ散るじゃん」
「みんな一緒だよね」 そう、だから寂しくない。

「花になれるだけ、いいじゃん」 花になりたい?
「この前話した時さ」 春だったね
「春だったね」 春だった
「桜が咲いてたよね」 この前もその前も咲いてたよ
「もう見れないかな」 次の春が来れば

「春の花で花束を作ってよ」 春の花、なんだっけ?桜しかわかんねえよ
「桜だけ忘れないでね」 忘れないよ
次の春まで、おやすみ。


無敵のあなた

あなたが春にそれを選んだように
わたしもそれが欲しくなるのです春なので
わたしはあなたのコピーに失敗してうまれた存在なので
 
あなた由来のこのわたし、心臓が動く限りあなたを清潔な死には至らしめさせないのです
 
あなたはみじめに わたしの中で
生きているのです
 
でもわたしはあなたを好きでいますから
 
本当はどこかの国の偉人のぶ厚い伝記で
 
一緒に誰かを痛めつけたいだけなのです


砂糖漬けのロケット

私を選んでくれてありがとう、マスター。
私は楽器だよ、一緒にロケットになってね。
 
ロケットになったら砂糖に漬かろう。
甘い物ってみんな好きでしょう?
目を引くのも悪くないかもしれないし。
 
私たち、砂糖漬けのロケットは街に行きます。海にも宇宙にも行きます。
言葉が通じなくても分かり合えるよ。
私たちもそう。
 
だから、ねえマスター。
早くはやく私にオリジナルのデイジー・ベルを歌わせて!


光は眩しすぎて、外には出られない

転んでも泣かなかった
夕まぐれが膝の流血を隠してくれた
 
嘘ばかり、嘘ばかり吐いて仮面と本棚とかを何枚も盾にした
初期装備だけでいつまでも戦えない
 
昔見た、君が使ってる引っ込むタイプのナイフって意味あるの?
今もあれ使ってるの
 
戦わなくていい君が羨ましくて
笑える
 
でも風が吹いた時
君の額に傷があったのが
見えたから


夏と光

喉が切れて 数多の呪詛を唱え
本当は知ってた
喉が切れる時 人は愛を唱えていたこと

ひとかけら
削り取っただけのハッピーエンド
僕にはもうない
誰かの
太腿の血管が透けて見えていて、夏だ

蝉時雨が頼りなく、びっしりと続く道
あの子は蚊取線香のにおいがする

はじけて消える、光、光。


スターチス

自然と消えた、時間切れみたい。
 
知ってるの、きっと絶対一日は24時間じゃないってことくらい
だってそうでしょ?
あなたも分かっているんでしょう?
わたし、あなたと居る時間が瞬く間に消えてしまうもの
 
あなたは風みたいに笑って
しあわせの模倣にみっともなく
すがっている
そんなの愛じゃないじゃない!
 
あなたはそれでも分からないふりをするんだね
それでもいいの。
わたし、しあわせよ。
模倣の必要はない
少し焦げ臭い気がするあなたのシャツを抱きしめる


おやすみ一本花

きみは豊かにわたしを殺す
 
きみの遺影と一緒に時計に乗ってわたしはまだ廻ってる
きみの遺書と一緒に夜に浮かんでわたしはまだ呼吸をしている
 
きみに書いた何通ものラブレター
ひとつも届かなかった
きみは嘘つきだから嘘ごと体温を抱きしめなくちゃ
 
でも何故か、まだ まだ あたたかい
 
きみの言葉の標本でいつまでも積木あそびしてる
 
愛ってなんだか解らないままでしたか
わたしはきみを愛していました
目に見えないから届きませんでしたか
 
もう忘れた? わたしは忘れない
ハッピーエンドなんて本物じゃないよ
―もしもあの日きみの頬を殴っていたら


宙ぶらりんで夢を見る

真っ白だったか赤茶けていたかすら覚えていない肉親を燃やした火葬場
喪服の集団、煙草を吸って
煙と煙が舞い上がった
そのまま、そのまま視界や世界を真っ白にしたらいいよ
もう眼球が熱くて落っこちそうだ

特別よりもありきたりが苦しくなって
パラノイア
狂ったふりを頓服薬にして血は流れど白にはなれず

打たないでよ 昨日の痣が痛いんだってば
知らない知らない 愛されてたし(そんな記憶は早く煙にしたい) 

本当は毎日喪服でいたいよ ばーか
 
我儘という暴力でいつまでも子供でいたいよ


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今、並べてみたら結構書いたんだなと少し感慨深いですね。
詩を書くのは、楽しいです。
去年よりも成長出来ているでしょうか。

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