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餃子と酢コショウにまつわるハナシ

先日、久々にお店で餃子を食べてきた。
このお店に行くのは、これで4回目である。
酢コショウで食べるとこれまた絶品だ。

このお店の餃子は本当に美味しい。
そして、おじいちゃん店長が餃子を焼いているのだが、この方がまた非常にチャーミングなのだ。

いくつになっても可愛いだとか、愛でたくなるような雰囲気を持っている人には言葉では形容できない、何かこう『あったかい特徴』がある気がする。

ああ、そういう人の特徴の一つとして『人が好きな人』っていうのがあるのかもしれない。

人が好きだから、受け入れてもらえているような、そして変に攻撃性や敵意を全く感じない、自分に向けられる純粋な興味と笑顔を感じるから、ほっと出来るのかもしれない。

私もこんな風に人に安心感を与えられるように生きられたらいいなぁ、とこの人を見る度に思う。

ところで、わたしは中学生くらいまで私はお刺身に醤油を付けないで食べる人間だった。

今の私からすると、生臭いのによくやってたなとか思ったりもするが、当時の自分は『素材の味』とか何とか言って調味料をかけずに食べる事が好きだった。

お刺身以外にも揚げ物にもソースをかけず、これまた素材というか衣というか、そのままの味を好んでそうして食べていた。

そんな私は、当時家族からは薄気味悪がられてた。
別に本人が美味しい美味しいと言ってるのだからほっとけばいいのに、「こうした方が美味しいよ」だとか言って調味料をかけない私に対して顔を顰めたりしていた。

そんな私が今や、冒頭で軽く触れた『餃子に酢コショウ』である。
酢自体嫌いだった当時の私からすれば、びっくり仰天な話だろう。


この食べ方を私に教えてくれたのは、あっさりとこってりを併せ持つ不思議な人である。名前をAさんとしよう。

Aさんは元々同じ部署の先輩だ。今でこそ定期的に会う人になったが、出会った当初は話す機会もほとんどなかった。

当時の私が今の私達を見たら顎が外れるくらい驚くだろう。(それは言い過ぎか)
それくらいAさんとの関係は希薄だった。

今でこそ、これまでの様々なやり取りがあるおかげで何となく分かってきたが、Aさんはとにかく感情表現が少ない。

その上、仕事中もいつもポーカーフェイスであったため、正直『何考えてるか全く分からない人』であった。今でも、この手の話をするとAさんには苦笑いされる。

また、Aさんはふんわりとしたパーマが似合う中性的な外見をしており、THE⭐︎ミステリアスの塊みたいな人だった。

他人と余計な話はせず、笑顔も少なかった。そのため、冷たい印象を持っていたが、ほんの少し話をしてみると軽い冗談やボケをたまに言ったりと案外可愛らしい人だなとも思った。

この人が他人との会話を得意としていたら、きっとすごくモテただろうなと失礼ながら勝手に思っていた。(ほんと失礼。笑)

ふんわりとしたAさんのパーマとは反し、話してると何となく感じる人との境界線。
会話してても自分自身に触れる話になるとさりげなく避ける。少し違和感を感じた。

他人との境界線をハッキリさせたい人なのかなとも思った。どんなに話をしてもどこかいつも表面的で、踏み込まれるのが嫌なのかな?とも思っていた。

そのため、何となくどんな人なのか気になってはいたが、あまり話し掛ける事も出来ず何ヶ月か経っていった。

そんな中、部署が同じであったためたまたま帰るタイミングが一緒になった。
フロアに人も少なかったため、久々にAさんと話した。周りに人が少なかったからか会話が弾んだ。Aさんがこんなに話す人だとは思わなかった。

話してみると何と年齢も近く、趣味や音楽等好きな事にも共通点がある事を知った。嬉しかった。
ああ、この人もこんなに楽しそうに笑ってくれるのだな、と思った。この人の柔らかくて優しい笑顔をまた見たいとも思った。

それから、一緒に帰る日が何となく次第に増えていった。

そんなAさんと今では週一に会う仲だ。もう同じ部署ではないため、連絡を取り合わない限り会う事は出来ない。

それでも、お互い会いたいと思うから会う、そんな関係になった。
仲良くなってから2年程経つが、あの人の声と笑い方が今でもすごく好きなんだよなぁ。


色々と話が飛んでしまったが、調味料の好みのように変化する物もあれば、昔から何となく惹かれるタイプの人のように変わらない物もあるんだなぁと感慨深くなってしまった。(好みのタイプはよく変わると言うけれども。笑)

個人的な趣味の話になってしまうが、好みのタイプは漫画やアニメ、現実世界でも何となく中性的な雰囲気を纏っている人に惹かれてしまう事に気付いた。
この事についてもたくさん話せる気がするからいつか書けたらいいなと思っている。


ひととの思い出が詰まった餃子屋さん。
いくつになっても、このお店は行きたいし、行くならAさんと一緒に行きたいんだよなぁ。

そんな、餃子にまつわるわたしの話。

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