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プロはゴールをどうやって決めるのか?

前回は、「プロと素人の仕事、どこが違うのか?」という話をさせて頂きました。

 そして結論は、「プロはゴールを先に決める」ということでした。コンサルタントなら、「支援先のあるべき姿を先に決める」ということになりますね。

 じゃあ、ゴールはどうやって決めるんでしょうね?

【分析って重要】
 一つは分析だと思います。診断士も好きですよね、SWOTとかVRIOとか。
組織そのもののこと(内部環境)や、その組織がおかれている状況(外部環境)を分析して、あるべき姿を導き出すことはすごく大切です。これをやらないと、そもそもゴールが実現できない方向になったり、市場や顧客から求められていないものになったりしてしまいます。

 前回お話をした、写真を撮る時もきっと同じですよね。被写体の魅力を分析して「強み」や「弱み」を知って、魅力を最大限に引き出すシーンを思い描くから、ゴールが見えるんですよね。

 でも、分析だけでは足りません。

【当事者の思い】
 そしてもう一つ。こちらの方が重要。
こうなりたいという、当事者の思いですね。当事者とは、組織のメンバーだったり、組織の長(社長)だったり、様々ですかね。その組織が「どういう状態に至りたいのか」を決めることは、分析以上に大切と感じます。分析と違い、そこに理屈は要りません。ストレートに「かくありたい」というシンプルな思いがあれば十分かと。

 そして、「分析」と「思い」のバランスが取れて、初めて実現可能なゴール設定ができると考えます。では、当事者ではないプロのコンサルタントである診断士が、他人のゴールを決めるためにできることは何でしょう?

【診断士にできること】
 診断士も同じです。診断士も「分析」と「思い」のバランスが取れて、初めて実現可能なゴールが設定できます。

 そして分析は得意ですよね、一次・二次試験でも、実務補習でもさんざんやってきました。なので、ここはこれ以上触れません。

 では、「こうあるべき」という「思い」はどこから出すのか?

 業界や競合企業の成功事例から学ぶこと、この一点に尽きますね。成功事例を見ることで、ゴールを抽象化できて、自分なりの支援先に対するゴールを設定することができます。

 診断士は、これを学ぶのは簡単ですよね。研究会等で事例発表とか、たくさんやってますからね。

 ただし、成功事例はたくさん学ばないとダメです。少ないと、そこにとらわれますから。たくさんたくさんたくさんたくさん見て聞いて、抽象化したゴールが設定できるようになって、初めて成功事例を学ぶ価値があります。

 逆に成功事例を学ぶ理由はただ一つ、たくさんのゴールを見ることだと思います。ちなみに成功事例のプロセスは学ぶ価値はありません。成功事例なんて、いわゆる偶然の産物にすぎません。他人と同じことをやってうまく行く・・・ハズもないかと。プロセスは失敗事例に学ぶべきですね。この話もいずれそのうち。

 この、診断士としてのゴールイメージは当事者のイメージとは必ずしも同じである必要はありません。社長とは違うゴールのイメージを持ち、常に提案をできないと、プロの仕事とは言いにくいのではとも自分は思います。
社長のゴールが正しいとは限らない、そもそも目指すべきではないゴールである可能性もあります。

 「社長の思いを聞き、そこに向けて伴走するのが診断士だ」という方もいます。確かにそれも、一つの考え方とは思います。

 が、自分は違います。自分なりの「こうすべき姿」を持って、社長と話ができないと、プロの仕事とは言いにくいと考えています。もちろん、押しつけにはならないことは大事ですね。「俺が言ってることが正しいのだから、それを後は実行すればいい」、みたいなことをいう方もいますが、それは、どうですかね?

 一方で、コロナ騒動のゴールは・・・・・・見えませんな・・・。

ITベンダに勤務する、中小企業診断士です。得意のITを活かしつつ、常に楽しく前向きに、中小企業の方々と一緒にいろいろ考えていきたいと思っています。