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警告!この記事を読んではいけない72「銃」について38<飛行機の機動と静安定3>

前回の記事で、飛行機の機動が、鳥さんが飛ぶ様子を真似しよう真似しようとしていた事をお話ししました。特に、飛行機には動翼がいっぱい付いていて、飛行中の様々な場面で、この動翼をいろいろと使い分けて、様々な飛行ができるという事もお話ししました。

鳥さんのように飛べるようになった人類

さて人類は、飛行機を発明、開発し、鳥さんのように飛べるようになりました。第一次大戦の少し前、20世紀初頭の頃でしょうか。この頃の飛行機は、今考えてみると、実にのどかで微笑ましい乗り物であったと思います。たとえ第一次大戦で、機銃を搭載して空中戦を行うようになったとしても、まだまだ、のどかで微笑ましい印象は、崩れませんでした。

初期の飛行機や飛行艇はカワイかった

はい、思い出してみましょうスタジオジブリの「紅の豚」。あれに出てくる飛行艇たちは本当にカワイイです。実にのどかで微笑ましいです。よく故障したり、壊れたりします。そこがまた、好感が持てます。手押しポンプで、ガソリンを入れる描写など、たまりませんね、実に絵になります。

なんたって人が手と足で動かしてたんです!操縦桿やスロットルレバーや、ラダーペダルを、両手両足を使って動かしてました。そしてレバーやペダルの先にあるのは、フライバイワイヤーの電線などではなく、ワイヤーです。このワイヤーが、人の力を各動翼やエンジンに伝えて、飛んでいたんです。

人の手足の力がそのまま動翼を動かす力でした。だから、力が強くないといけなかったし、疲れて手足が自由に動かなくなると、操縦できなくなって、即落っこちるような代物でした。確かにエンジンは積んでましたよ。でもこれも自動車のエンジンと同じピストンが上下動するレシプロエンジンです。

初期の飛行機や飛行艇は、速度も鳥さんと同じ位

初期の飛行機や飛行艇がカワイイ理由は、速度も鳥さんの速度と同じ位だったってことです。鳥さんで一番早いのはハヤブサの急降下時で、時速300キロくらいだそうです。ちなみに水平飛行で一番早のはツバメで時速170キロ位だそうです。

驚いた事にこれ、紅の豚のポルコロッソの戦闘艇のモデルになった、マッキという実在の飛行艇の最高速度も300キロ位、モデルになったと、宮崎駿さん自身が言っていた(おそらくかん違い)サボイアの最高速度も300キロくらいです。これ、ハヤブサの最高速度と同じ位なんです。

更に考えると、飛行機の最高速度って、昔も今も、その速度を出すときは、機動なんかできないんです。全く同じ姿勢で、エンジンのスロットルを全開にして、物凄い風の抵抗にじっと耐えながら飛んでるんです。これもまた、ハヤブサの急降下と似ています。

最高速度ってのは、飛行機が壊れないギリギリの速度の事ですから、自由に機動なんかできっこないんです。機動するために動翼を少しでも出そうもんなら、たちまちバラバラに空中分解してしまうんです。ですから、動翼を出して起動するためには、まず速度を落とさなくちゃなんです。

そうすると、動翼を出して機動するためには、おそらくは時速200キロを下回るような速度まで落とさなくちゃなりませんでした。これもちょうど、ツバメが水平飛行するような速度です。そう考えると当時の飛行機や飛行艇って、何から何まで鳥さんと同じようだったんですね。カワイイです!

「紅の豚」でも、ポルコとカーチスの空中戦、あれ、本当に上手に美しく描かれていたと思いますが、地上すれすれという高密度空気の空で、2機の戦闘艇が、ベイパートレールを引きながら機動している様子の描写、そして、それを操縦する二人のパイロットが機動のGと戦いながら、肉弾戦のような操縦合戦を繰り広げる様子、

あれ、おそらくは時速170キロくらいで機動しながら飛んでいたんです。あんな激しい機動、それ以上の速度でやったら、本当に飛行艇なんて、バラバラになっちゃいます。そしてその前に、パイロットが機動Gに耐えられなくて、気絶しちゃいます。ああ、昔の戦闘機同士の戦いって、本当にロマンが一杯!美しく感動的な図でした!カワイイですっ!

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そこいくと、最もカワイクナイ感じがするのは、X-47Bペガサスでしょうか。ペガサス、知ってますか?米海軍に配備されるはずだった、ノースロップ・グラマンの作った、無人戦闘攻撃機です。もっとも特徴的なのは、「無人」だってところです。ちゃんと実際に概念実証機を作るところまではいきました。無人なのに空母からのカタパルト離陸や着陸までやってのけ、さらには空中給油までやってのけたんです。スゴイ飛行機でした!

電子戦装備が主兵装のはずでしたが、通常のミサイルや爆弾なども運用する事ができ、もしこれが採用されて実用化されたら、米海軍の戦力は、貴重なパイロットを一人も失うことなく、この無人戦闘攻撃機が戦地に赴き、人間の感性を通すことなく、容赦なく無慈悲に敵を殲滅、抹殺する兵器になっていた事でしょう。

ところが戦力的に素晴らしいこの無人戦闘攻撃機、採用されませんでした。主な理由は、現場の海軍パイロットの抵抗によるものだったそうです。パイロットたちは、自分たちの仕事がなくなる事を嫌がったのかもしれません。しかしそんな事以上に、パイロットたちはこの無人機に、言葉で表現しにくい嫌悪感を持っていたようです。要するに嫌いだったんです。

しかしパイロットというのは、言い方は悪いですが末端の兵士です。いくらパイロットたちが「あいつ、気に入らねえっ!」と叫んだところで、上官がそれを無視したならば、パイロットたちの声は上に上がってきません。ここから先は想像ですが、ペガサスを嫌いだったのは、パイロットたちだけではありません。パイロットの声を上にあげるかどうか決める上官も同じく嫌いだったに違いありません。更にそれを決定する将官クラスの「エライサン」も、嫌いだったに違いありません!

つまりこの飛行機「カワイクなかった」んです!みんな、こいつの事が嫌いだったんですっ!  カワイクない奴は、嫌われるんですっ!

今日はここまでにします。すみません💦、なんだか、紅の豚の戦闘艇の機動についてで、盛り上がってしまいました。ちっとも「静安定」のお話しまでたどり着きません💦少々時間はかかりますが、いずれ必ずたどり着きたいと思います(笑)。

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